すばるに恋して∞に堕ちて

新たに。また1から始めてみようかと。

STORY.32 漆黒の刃

2009-11-19 08:00:43 | 小説
早朝よりお目汚しですが、
またしても真夜中の妄想をひとつ。

どうしてこんなこと。
よっぽど淋しいのかしら、私。

浮かんだたった一つの情景は、読んでいただけたらすぐに分かると思います。

お引き受けした情景から紡いだお話ではないので、あらかじめ。
というか、
そこへ繋がっていたらいいな、という思いで書いてはありますが。

(ごめんね、はるさん。そちらは、鋭意、言葉をため込んでる状況です)

短くて、意味もない、
お話、にすらなってないのかもしれません。

この話は、このまま、手の施しようがなくなってしまったので、
恥を承知で、UPさせました。

それでも、お付き合いいただけるかたは、続きから、でお願いします。

いつものように、お話の最後にはランキング先が貼りつけてあります。
よろしければ、ご協力くださいませ。










STORY.32 漆黒の刃





薄い月あかりに浮かび上がる、彼の横顔。

伸びた髪、
ゆるくうねる毛先。

遠くを見つめる瞳が映しているのは、何?

指に挟んだ、細身のシガレット。
ゆらめく紫煙。

苦い香りとともに吐き出されるのは、何?

隣にいるのに、
ここにいない、あなたの、

横顔。



「ん?」

気づいて振り向いたあなたの、無邪気な顔。

「寒くないか?」

私の肩を引き寄せて、自らの腕の中に入れてくれるあなた。

あなたの腕の中は、暖かくて、
わずかにかかるあなたの息が、苦しい。

「明日、どこ、行く?」

「どこにも行きたくない」

「またそんなこと言うて。今しか休み取れへんねんから、いっぱい遊ぼうや」

「ううん、いい」

「なんでや。どこでも、ええぞ。あ、テーマパーク、行く?」

「そんな人の多いところ、いや」

「おかしなヤツやな」

「あなたと、二人きりでいたいの」

嘘じゃない。
雑踏にまぎれて、あなたを見失うのが、怖いから。

広い空間で、
心を飛ばしていくあなたの隣にいるのは、つらいから。

つなぎとめていたいの。

あなたの体温の中で、
あなたの香りに溶けて、ひとつになっていたい。

きらめく朝の光の中でも、
あたたかな昼下がりのひだまりの中でも、
たよりなく遠い星の瞬きの中でも、

私の中の、あなたをカンジていたい。


私の首すじに口付けて、あなたが囁く。

「それも、悪うないな」

低く流れる音。
あなたから流れる、音。

私を包み込んでゆく。

この瞬間が、好き、だわ。





何を不安がってるんやろ。
何を怖がってるんやろ。
何に怯えてるんやろ。

俺とおるときのこいつは、いっつも哀しそうな瞳をする。

そばにおるのに、まるきり、俺を見とらへんような、
気にさえなってくる。

俺は、ここやで。

それを伝えたくて、俺は彼女を抱きよせる。

抱き締めたら、ちゃんと反応すんねん。

俺に寄りかかってくる甘い香り。

石鹸の匂いでもない、シャンプーのにおいでもない、
ましてや
香水みたいな、人工的なキツイ香りやない、

彼女が奏でる体臭。
入り混じる体温。

温かいのに、
なんで、
こんなに遠くにおる気がすんねやろ。

こいつは、誰を見てるんやろ。

俺の、独りよがりの一方通行なんかな。
また、すれ違うんかな。

言葉だけでは届かへん。
温もりだけでは伝わらへん。
大事なんは、バランスやって。

そんなことくらいは、わかってるのに、
なかなか出来へんもんやな。

『愛し合う』って、ムズカシイもんやって、
今更ながらに、思い知らされるわ。



闇に紛れ、溶け込んだ互いの影を、見失うまいとして目を凝らす二人。

手繰り寄せる互いの息遣い。

研ぎ澄まされた漆黒の刃が、二人を別たぬように、
ただ強く抱きあう。

『ふたり、ここに、いる』

それだけがすべてで、
それだけを確かめ合うために。


Fin.






もしお気に召しましたら、

関ジャニWEBランキング

にほんブログ村 男性アイドルグループランキング

 ぽちっと押して頂けると、とっても嬉しいです。





コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 戦利品っ! | トップ | 愛の一撃、怒涛の勢い »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (はる)
2009-11-21 22:28:33
催促したみたいでごめんね。
のどかな景色のお話 はゆっくり紡いでくださいね(^-^)
やっぱり夜のお話はこうでなくっちゃね(o^-^o)
返信する
Unknown (のゆから、はるさんへ)
2009-11-22 20:03:43
ううん、全然大丈夫。
はるさんに、こんなやつ、ってリクエストもらえるの、とっても嬉しいんです。
ちょっとゆっくりになるけれど、少しずつ進んでるので、お待ちくださいませ。
返信する

コメントを投稿

小説」カテゴリの最新記事