すばるに恋して∞に堕ちて

新たに。また1から始めてみようかと。

STORY.42 他人の関係

2013-07-03 02:05:17 | 小説

えっと。

今現在、深夜なので。

深夜のお話をひとつ、こっそりと。



書き始めたのはいいけど。
決着点が見つからなくて、放置してました(笑)

ただ無条件に夢を見たかっただけなんですけど。
思ってたところとは、違う場所に行ってしまった。

やはり。
深夜に書くもんじゃありません。の見本です(笑)
←毎回言ってる気がするけどな

よろしければ。

毎度毎度の妄想にお付き合いください。

赤い人を対象にはしてますが。
個人名は一切出てきません。

関西人ではありませんので。
おかしな言い回しや方言等がありましたらご容赦ください。
ニュアンスで、汲み取って(笑)


誤字脱字には気をつけてはおりますが。
もしもあったら、ゆるしてくださいませ。


背中に猫にゃをのっけつつ。
ソファでPCに向かっているダメ主婦です。

明日(いや、今日か)も5時半起きなんですがね(笑)

よろしければ、続きから。
お付き合いの程を。








STORY.42 他人の関係




カラン・・・

微かな音が、ルームライトに溶けた。

「なんで・・・」

手にしたグラスの中で、氷が揺れた。

琥珀の液体を、喉に流し込んで。
俺は、彼女の横顔に問いかける。

聞こえたのか、聞こえなかったのか。

彼女は、黙ったまま。
その手の中にあるグラスを見つめたまま。

その横顔は。

俺が知ってる、その顔は。
いつもなら泣いたり笑ったり。
とても温かい。

けれど、今は。

誰も寄せ付けない。
誰も知らない。

初めての、顔。

今まで。
どこに、この表情を隠してたんやろ。

この顔が本物なら。
俺が知ってんのは、偽りの顔か?

「なんで、出会ったんやろな」

口からこぼれそうになる言葉を、
俺はグラスで閉じた。

そんなこと。
言うたかて、誰にも答えられん。

俺にも。
彼女にも。

「ねえ?」

「んー。なん?」

甘えたような声でこっちを向いた彼女が、
俺の手に、ぬくもりを重ねた。

「今夜は、あとどれくらい?」

「あー。時間か?」

俺は手首に目をやる。

「あのな・・・」

彼女の手が、時計を隠すように俺の腕に絡んでいる。

いたずらを見つかった子供のように。
彼女が笑う。


それは。

いつもの。
俺が知ってる、表情。

「いやよ。時計は見ないで」

「自分から言い出したんやん」

「それでも、よ」

そう言った瞳の奥に。
彼女は、何かを押し殺してる。

俺と彼女の逢瀬に。
足りないもの。

どれほど互いを求めていても。
求めすぎてはいけないもの。

「明日」という名の未来。

俺と彼女にとって。
ここにいる。
この時間だけがすべて。

好きになって。
止められなくて。
感情のまま走り出して。

子供のように。
欲しいものを、欲しいままに手に入れたかったわけじゃない。

自分の力で。
自分の足で立って。
前を見ている彼女に惹かれた。

彼女に、ちゃんとした居場所があるのを知っても。

もう、やめられへんかった。
止まらへんかった。

ぶつけた想いを。
彼女が受け止めたときから。

俺は未来のない「明日」に囚われ続けてる。

彼女は。
どうしたいんやろ。

どこへたどり着きたいんやろ。

俺は、どこへ。
このまま、何処かへ。


「また、怖い顔してる」

「してへんよ」

「ここ・・・」

彼女の指が、俺の眉間に触れる。

「消えなくなっちゃうわよ」

言いながら、俺を覗き込んだ彼女。

「それがええって言うてくれる人だっておるし」

言い返す俺に。

声にならない声で、彼女が笑った。

彼女の指先が。
額から頬をつたい。
首筋へと落ちてゆく。


「やめろや、くすぐったいって・・・」

爪の先が少し止まった。
何かを確かめるように、またなぞるように滑り堕ちていく。

伝わるかすかなぬくもりが、俺の血をかき回す。

どうしようもない衝動。

抑えるか、解き放つか。

彼女は、どっちを待ってんねやろ。


この腕で彼女を抱きしめられる時間は、そう多くはない。

俺と彼女に許された時間は。
増えてんのか?
減ってんのか?

それすら、ようわからんわ。


考えたないわ。

もう、どうでもええ。


彼女の息が、俺にかかる。

柔らかく、温かい。

それだけで分かり合える瞬間。


それが過ぎたら、また他人に戻る。


分かり合えないもの同士になる。


分かり合えないから。
また、この時間を求めるんやんな。

俺たちは、それを繰り返して。

男と、
女であり続ける。

そんな関係も、ありなんかな。

「そんなんでも。ええか?」

どこからも繋がらない言葉の意味を。
彼女は、どう呑み込んだのか。

「ためらうなら、終わりにするわ」

「それは、あかん。・・・あかんよ」

「いつでも戻れるのよ」

「なにに?他人に?」

「そうよ。そして、また出会うの。求め合うの。それじゃダメなの?」

俺は静かに首を横に振った。

「いいや、そんでええわ」


傍からどう見えてようと。

それがたとえ。
許されへん関係であっても。

ここにある時間。
それだけで、ええわ。


俺に傾いてくる彼女の匂いが、
強く、儚く、揺れる。


それを抱きしめて。

解き放つ。


刹那。


狂おしいほど。

「今」が愛しい。



Fin.


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