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Googleブック検索(Google Book Search)は、無料ダウンロードを可能とする著作権切れの膨大な著作物のデータベース化を進めているが、それと並行してそれと同じ規模で著作権が存続中で、しかも書店で購入可能な書籍もデータベース化を進めており、さらにそれらの総数を上回る数の著作権が保護されているものの入手不可能な著作物も同時にデータベース化しようとしているという。昨今の書店や公立図書館の現状を見るにつけ、やはり多少の期待をせざるを得ない。ただし、不安もある。ことは学術・教育に関わる公的な問題でもあるのに、専ら商業に関する言葉で語られている。また消費者は、そのような議論の常として蚊帳の外に置かれる。そんな話を知人としていたら、『猫の大虐殺』という民衆史・思想史の名著が印象深い歴史学者ロバート・ダーントンがGoogleブック検索について書いた文章があると教えてもらった。
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音楽を聴くという体験に関して、作曲家の近藤譲は、生演奏と録音された音楽の相違点は音質の違いという問題に還元しつくせるものではないといっている。より本質的な違いは、演奏者と聴き手が同じ空間を共有しているか否か、にあり、それは音楽が持つ一回性に起因するという。生演奏において、一度発せられた音は修正不可能であり、発せられるとすぐに消え去る。ある時ある場所で演奏された音楽は、本来はその場限りの一回的なものだ。
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