税理士の戯言

大阪市中央区の税理士法人代表ブログです

タクシーも営業の時代

2009年02月22日 | コラム

 雨の日、遅くなったので駅からタクシーに乗りました。
タクシーに乗ると、「最近、景気はどうですか?」と聞くのが口癖です。
「今日みたいに雨の日は駅で待っていても、回転がいいですが、
普段はさっぱりですわ。」
「去年に比べたら水揚げ(売上げ)は2割以上減っていますね…」
「まだ、私は同僚に比べていい方ですけど」
「へー、どうしてですか?」
「居酒屋行って、見ず知らずのお客さんと仲良くなるんですわ。」
「『飲んで遅くなると、タクシー呼んでもなかなかこないね』とかの
話題になると、さりげなく、携帯番号の入った名刺渡しておくんです。」
「あと、飲み屋に行って、ままと仲良くなったり…」
「わざわざ、平日に休暇とって行きます。
ままにも、営業に来ていると思わせることなく、
『たまの休みしか来られへんけど、ささやかな楽しみです』と」
「そうやって、携帯に直接電話いただくお客さんが沢山います」
「駅で他のタクシーと一緒に待っていても、
街中流しててもお客さん乗ってくれはらへん」
「なるほどね。タクシーも営業の時代なんですね…」

 
何もしないで景気が悪いとただぼやいているのと、
少しでも工夫、努力するのでは当然違いがでてきます。
とても有意義な10分でした。


小学生から学ぶ

2009年02月16日 | コラム

 下の娘は小学校4年生です。
子供が冬休みにもらってきた先生からの手紙(「5年生に向けてつけたい力」)をあらためて読み返していて、
「子供だけでなく、自分自身そして当事務所、顧問先の社長さんや会社にも充分あてはまるな」と苦笑いしてしまいました。

 一部、抜粋ですが…

 〇時間を守れない。給食を時間内に食べられない。
  食べるのが遅いのではなく、しゃべっていて、時間を守れない。
  終わりの会でも、帰る用意を遊びながらしている。

 〇今、「しなければならないこと」と「したいこと」の区別がつきに
  くい。宿題をする・しない。時間を考えられる・考えられない。
  自分の気持ちだけで行動しているのか。
  周りの状況や自分の立場を考え、自分の
行動を決めているのか。
 
 自分を客観的に見つめられることがこれからの成長に大きく影響してくる。

 私達に、「給食」や、「宿題」があるわけではありませんが、
具体的に別のことに置き換えてみてはどうでしょうか?
当てはまることが沢山あります。

「したいこと」「好きなこと」だけやっていて儲かる時代ではありません。
 上場会社ですら、存続が厳しくなっています。

「しなければならないこと」を明確にし、
「具体的に、誰が、何を、いつまでにどうする。」ということに取組んでいかなくては、生き残るのが厳しい時代です。

 子供への手紙を見ながら再認識した一日でした。
 


『貯めすぎにご注意!』

2009年02月09日 | コラム

 先週、「景気も気から」と、少し無責任なことを書きましたが、
もう少し掘り下げてみたいと思います。
 
 景気が悪くなってくると、個々の会社や個々人は、
無駄な経費は出来るだけ削減しよう、という行動にでます。
 このことは決して悪いことではありませんが、
経済学で「合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)」という専門用語があります。
 「個々人としては合理的な行動であっても、多くの人がその行動を同時に行うと、
好ましくない結果が生じる」というものです。

 景気が低迷しているときに、皆がどんどん縮み志向になると、
これらの行動がさらに需要を縮小し、景気がさらに悪化していきます。
 企業が経費削減のために、給与額を削減する、人員そのものを削減すると、
個々人の消費(購買)力が当然落ちてきます。

 需要が落ちると企業はさらに、経費削減を進めていくという悪循環になります。

 前回お話した、『賢明な行動』とは、上記のような行動ではありません。
勿論、「せっせと無駄遣いせよ!」と勧めているわけでもありません。

 世の中全体では充分なお金(物資)があるなら、特定のところに滞留することなく、これが上手く回れば皆に行き渡っていいなと思います。
 
 今の税金の取り方、そして何よりもその使い方をみていると、
国の所得再分配機能も決してうまくいってないように思います。

 少し、理想的なお話になりましたが、楽観的な私は、人々は「賢明な行動」にむかっていくと信じています。

 
「借りすぎにご注意!」というのが、消費者金融の注意書きですが、
“貯めすぎにもご注意!”です。


病は気から、景気も気から

2009年02月02日 | コラム

 TVであるお医者さんが、「『患者の命を思う』、それが医者の仕事で、
根本的には医者には病は治せない、治すのは『患者の力』である」
という話をされていました。

 昔から「病は気から」といいます。
医者から余命1年とか宣告を受けながら、
その後何年も生きられて、天命を全うされた例が沢山あります。

 景気もそういうものかもしれません。
今回の世界同時不況は、1929年から始まる大恐慌とよく比較されます。
ケインズ経済学の理論では、民間の需要が落ち込む(景気が悪化)ときに
政府支出を増やせば(財政出動すれば)有効需要を創出でき、
再び景気が良くなっていくと習いました。

 1929年の大恐慌を受けて、アメリカで実施されたニューディール政策に
ならって、今回もアメリカを筆頭に各国での財政出動が予定されおり、
人々の期待も高まっています。

 一方、1930年代の一国だけの閉鎖的な経済と違い、
今は世界経済がリアルタイムでリンクして、ボーダレスになっていること、
そして単なる景気循環における景気後退ではなく、
ヘッジファンドや銀行等がレバレッジを効かせて、
マネー経済が一人歩きしていたことの修正局面
(ようは「つけが回ってきた」だけ)であることから、
 一部のエコノミストや有識者の間には、財政出動による景気回復に疑問視する声があります。

 政府に頼るだけでなく、人々が景気回復、皆の幸せを心底願い、
各人がより『賢明な行動』にでることによって、
景気が回復し、よい方向に向かっていくのではないでしょうか。