ココヨリトワニ

野球と文章書きに生きる男、空気王こと◆KuKioJYHKMのブログです。(人が死ぬ創作文があります、ご注意を)

深いようで、無茶苦茶普通のこと言ってますよ

2020-05-05 20:26:24 | 感想
今日のぼやき

○バーナード嬢曰く。
ずっと家に引きこもっててネタがないんで、先日新刊が発売された「ド嬢」について長めに語ってみようかなと。
まず前置きになるが、作者の施川ユウキ先生はよく「閉じた世界」を作品のテーマに据えてくる。
たとえば俺にとって彼の代表作である「サナギさん」は、基本的に大人は空想の中にしか登場しない。
メインキャラもゲストキャラも、みんな主人公の同級生だ。
つまり、「子供だけの閉じた世界」がそこに成立しているわけだ。
「オンノジ」なんかは極端な例で、世界に主人公とそのパートナーしか人間が存在しない。
「森のテグー」は大人も子供も多くのキャラクターが登場するが、舞台となる森と「外の世界」とは明確な線引きがされている。
これも広くて緩いが、「閉じた世界」の属性を持っている。

長い前置きはこのくらいにして、「ド嬢」の話に入ろう。
この作品もまた、「閉じた世界」である。
この作品に登場するのは、主人公と3人の同級生だけである(取り上げられる本の作者や登場人物は例外として)。
この4人以外に、名前や個性を与えられたキャラクターは登場しない。
そして名前のないモブですら、登場するのは主人公たちが学校の外に出たときである。
主な舞台である学校の図書室には、主人公たち以外誰もいないのだ。
図書室の窓から外にいる生徒が見えることはあっても、内部に人が観測されることはない。
別に統計を取ったわけではないが、放課後に図書室を利用する生徒はどの学校でもそれなりにいるだろう。
図書委員にしたって、メインキャラである長谷川さん以外誰もいないということはあり得ない。
実際には、他にも人はいるのだろう。
だが作品の中で描かれるのは、常に「4人しかいない図書室」だ。
放課後に仲間だけが集まって、他愛のない時間を過ごす場所。
それは小学生の「秘密基地」に似ている。
あるいは、不真面目な部活動やサークルの部室と言えるかもしれない。
気心の知れた仲間と、自分たちだけの空間で過ごす。
その楽しさを、我々は知っている。
しかし大人になればなるほど、そういった時間を過ごすことは難しくなる。
だから我々は、フィクションの世界で「秘密基地の時間」を過ごす彼女たちに自分を重ねて楽しむのだ。



よし、いい感じにまとまったな!

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