日曜日のテレビが楽しみだ。池井戸潤の小説は私たちが日常扱っている特許権をテーマとしたもので、「下町ロケット」は弁理士のほか知財関係者の方も多く読まれているものと思う。主人公である佃航平は宇宙科学開発機構の研究員でロケット打ち上げ失敗の責任を取って退職した。
退職後父親の経営していた佃製作所を引き継ぎ、佃製作所は精密機械製造業で資本金3,000万円、売上げ100億規模の研究開発型中小企業であるが、エンジン関連および水素エンジンのバルブシステムについて特許権を取得しているとともに、それら技術について大企業をしのぐ特許権とノウハウを有している。
しかし会社の経営状態は火の車で、その矢先に京浜マシナリーからの下請け仕事のキャンセルが入った。同社は佃製作所の主要取引先で売り上げの10%を占めており、佃製作所の赤字は必至である。佃製作所はメイン銀行に融資依頼に行くが、銀行は「研究開発を止めない限り融資はしない」と回答。
物語はこのような状態のもとで進んでいくが、事件は大企業であるナカシマ工業との特許権侵害事件および帝国重工との特許権交渉にまたがるので、分りやすくするため、二つに分けて物語を進んで行く。弁護士・医師・警察番組が多い中、知財番組もたまにはいいもんだ。