思考の踏み込み

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蟲師 続章9

2014-04-16 00:47:11 | 日記
ギンコは言う。



「蟲の側に行くという事は ー 普通に死ぬ事とは違う」
「蟲とは 生と死の間に在るモノだ
"者" のようで "物" でもある。」

「死にながら生きているような "モノ"」

「それは一度きりの "瞬間の死" より ー
想像を絶する修羅だとは思わんか。」

「少しずつ人の心は磨滅される
そんなところへ行こうというのに ー 」



「あいつは最後に見た時 ー
大事そうに晴れ着を着ていた」

「それ以上の酷な事情ってのは…
そうあるもんじゃないだろう… 」



その後、イオは奇跡的に助かる。
目が覚めた途端に彼女の目からは涙が溢れた。
その涙の性質は言葉を連ねて説明できる様なものではない。
いろんな "想い" が湧き出てそして洗い流していくような ー そんな澄んだ涙である。



「自分が… 沼に溶けてゆくの…すごく
すごく…… 怖かった けど ー 」

「沼が死んでゆくのが…
悲しかった ー 」

「… 」「…あれは数万年は生きている」

「お前はその最後の旅に同行したわけだ」



「会えてよかったな」



「…… うん 」


蟲師という仕事にカウンセリングの要素もあるとすると、ギンコはその方面でも優秀な力量がある。

厳しくすべきとき、あらがう術のない事を受け入れさせるとき、または非情な決断を下さねばならない様なときでさえ、その言葉は基本的にいのちに対する優しさで貫かれている。

そんな角度で蟲師を読むことも一つの楽しみだが、このシーンにおける「会えて良かったな」という一見シンプルな言葉かけなどは見事といえる。

しかしこんな解説は蛇足だろう。
やはり優れた作品はあまりほじくり返さずに素直に受けとめることが一番である。



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