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THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビューその10「あなたを愛したい」

2018-10-07 | THE NOVEMBERS「Hallelujah」全曲レビュー









あなたを愛していなかった
あれは僕だけの恋だから








あなたを愛したい・・・なんて直球なタイトルなんでしょう、って思いましたけど
逆にこれくらいストレートだと新しいのかもしれないなあ。。
内容は、
タイトルとは裏腹に相当かしましい
メロディとテンポこそ毛布のような優しさに溢れるバラッド~という雰囲気ですが、
そのバックで鳴ってる音が異様に爆音でずっと歪んでいる・・・という
非常にオルタナティブな音像に仕上がっています。
ただ、
シューゲイザーのような轟音をバックに常に優しいメロディが鳴っているので、
その意味ではむしろ心地良い違和感を覚えながらじっくりと聴くことが出来る楽曲になっている、と言えます
実際にライブで聴いても「救世なき巣」と同じくらいうるさくて気持ちが良い(笑)曲だなあ、と。


この曲で歌われてるのは「決意」ですよね
誰かを愛する事って決して簡単ではなくて、
何故なら自分の想い通りに動く人形はこの世に存在しないから・・・なんです
全く同じ人間ではない、って事は
要所要所でズレが発生する~という事でもある
当たり前だけど、
今現存している人たちは、
そういう「当たり前」を乗り越えて存在しているんだなあ。という尊くも険しい事実を突きつけられる曲でもある
別に恋人とか夫婦とかだけではなく、友人だったり友人とはいかずとも通じ合ってる誰かにも通ずる
誰かに優しくすることや、
見返りを期待せず想いを込め続けることって実は消費のエネルギーが物凄かったりもする
通じないとヘコむし、自分で勝手に落ち込むし、本当に簡単なようで何よりも難しいこと
この曲は、
決して有り体なラブソングではなく、
「愛」は挑戦であり痛みを我慢して乗り越えるもの・・・という
生ぬるさを一切排除した切実かつ堅実な歌詞になっていると思うんですね
そういうシリアスな内容をここまで気持ち良くスッと聴かせるセンスもまた凄い一曲

「愛」は、口で言ってすぐに手に入れられるものでも元々あるものでもない
頑張って努力して這いつくばって、その先に得られるものなんだ、と。
そんな事を雄弁に語りかけてくれる素晴らしい一曲です。

けど、
純粋に“優しい気持ち”になれる曲でもあります。
その「ズレ」すら楽しめるようになったら、きっと一人前なんでしょうね。