猫山の乳がん日記

2009年11月、2年半かかった乳房再建が完了。ホルモン治療は副作用のため1年間で中止し、無治療です。

「再婚生活」

2007年09月19日 | 読む
「再婚生活」(山本文緒 著)

山本文緒さんは好きな作家さんの一人で全部の著書を読んでます

何年か前、激鬱で実家へ転がり込み伏せっていた頃、
母がフミオさんの本を読んでいて「この人、あんたに似てる」と
言ったのがきっかけ。

似てるといっても、似ているのは鬱なのと、すぐに疲れてよく寝る
ってとこだけでしたが。
フミオさんはなんだかんだいっても、直木賞も不動の人気も
マンションも王子も手に入れている。

「恵まれているんじゃなくて、私が私に多くのものを恵んできたのだ」
か、かっこいい… 

この本は主にフミオさんの鬱の病状と日常生活についての日記なのだけど、
鬱病体験記にありがちな悲壮感がない。

トリガエル先生とのやりとりには思わず電車の中でプッと吹いてしまった
ケロよ。

気功の先生にらぶなフミオさんもかわいい。

王子もステキすぎる
妻の病気に寄り添い、激務の合間を縫って妻のお弁当を用意して出勤する王子。
こんな王子が支えてくれたら病気も吹っ飛ぶけどなーと思うけど
そう単純にいかないのが鬱病。

私も鬱だった頃はオリジン弁当のお惣菜の世話になっていたけど
料理を作れなくなるのって鬱の症状だったのか、とこの本を読んで知る。
人と会う前に緊張するようになったのも、会った後に激しい疲労感に
襲われるのも鬱の症状なんだと今さら知る。

「習い事をしているわけでもなく、趣味も特になく、
人にもあまり会わず、テレビも観ず、新聞もほとんど読まない私には
なんというか、特に訴えたいことがない」とご本人も言っているように
特に劇的なことが起こるわけでもないフツーの生活が淡々と書かれているだけ。
なのに、引き込まれるように読んでしまう。

フツーのことを何の飾り気もなく書いて、人を引き込む。
それが文才ってやつなんだなーと思った。




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