うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
のんびり更新しますので、どうぞ気長にお付き合い下さい。

男女の短距離とやり投げが見応えがあった陸上日本選手権

2011年06月15日 | 陸上
6月10~12日に、埼玉県の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で陸上の日本選手権が行われました。今大会は、男女の短距離とやり投げが面白かったです。中でも、最も注目を浴びたのが女子100mでした。昨年11月の広州アジア大会の女子100m&200mで2種目制覇した福島千里を中心に、先月の「セイコーゴールデングランプリ川崎」の女子400mリレーで日本新記録を樹立したメンバーの市川華菜、高橋萌木子、北風沙織らが絡む展開となりました。結果は、アジア女王の福島が貫禄勝ちし、200mと合わせて日本選手権で初の2冠達成。高橋の不調は気になりましたが、市川の成長は楽しみです。また、男子200mも予選の段階から複数の若手選手がA標準記録を突破するなど好記録が続出。決勝では、北京五輪400mリレーの銅メダリストの高平慎士が20秒49をマークして意地を見せ、A標準記録を突破して2年ぶり5度目の優勝を飾りました。アジア大会2位の藤光謙司が最下位の8位に終わる波乱がありましたが、ハイレベルで非常に見応えのあるレースでした。

やり投げは男女とも見応えがありました。男子は、一昨年の世界選手権3位&広州アジア大会優勝の村上幸史が82m75の大会新記録で貫禄の12連覇を飾りましたが、むしろ面白かったのは2位争いでした。ディーン元気と荒井謙と新井涼平の3人が78m台をマークし、2位争いとしてはハイレベルでした。きっと、優勝した村上にとって大いに刺激になったはずです。中でも、昨年の世界ジュニア選手権銀メダリストのディーン元気がB標準記録にまであと30cmまで迫る79m20の自己新記録を更新したのは、とても光りました。ディーン元気はまだ19歳の大学生の逸材だけに、是非ともB標準記録を突破して世界の舞台を踏んでほしいです。女子は、アジア王者&日本記録保持者の海老原有希が敗れる波乱が起きました。海老原は足の故障の影響で体調が不十分でしたが、今回は優勝した宮下梨沙を誉めるべきです。5投目までは海老原が首位でしたが、最終投擲で宮下が自己記録を5mも伸ばす60m08の好記録で逆転で初優勝。しかも、B標準記録を突破しての勝利でした。日本の投擲種目は全般的に選手層が薄いので、国内で強力なライバルが出現して切磋琢磨出来るのは、大いに歓迎です。

一方、長距離は、長年に渡る体調不良を克服して女子5000mでA標準記録を突破して優勝した絹川愛以外は、大して見所はありませんでした。男子は、箱根崩れの連中による傷を舐めあうようなレース展開でしたし、女子に至っては故障者が続出して興醒めでした。たしかに、日本の短距離と投擲は決して世界のトップレベルでないのは事実ですけど、駅伝というぬるま湯にどっぷり浸かって、野心や向上心の欠片すらない男子長距離&マラソン陣よりかは、遥かに応援のし甲斐があることだけは断言出来ますね。短距離と投擲は日本人が苦手とされてきた分野なので、もちろん世界の壁はぶ厚いです。だからこそ、少しでも選手層を厚くして競争を促し、長期的な視点で継続的に強化をしてもらいたいです。

なお、7月7~10日には神戸でアジア選手権が開催され、BS-TBSで放送されます。この大会は、8月に韓国の大邸で開催される世界選手権の代表最終選考会も兼ねるので、是非とも注目しましょう(→詳細はこちら)。あと、WOWOWでは「ダイヤモンドリーグ」という世界のトップクラスの選手が参戦する大会も逐一放送されているので、世界陸上に向けた予習を兼ねる意味でも必見です(→詳細はこちら)。


今大会の日本選手権の決勝記録
今大会の男子の予選記録
今大会の女子の予選記録

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
面白い3日間でした (こーじ)
2011-06-17 23:20:36
 最近NHKが競泳同様しっかりOAしてくれるので
見る事ができますが、トラックやフィールド種目ともども魅力たっぷりで面白かったです。

 特に短距離と やり投げは旬の種目だけにレベルが上がってきているのがよく分かります。

 それに引き換え長距離のふがいなさは特筆モノ。
 特に男子の1万などは年々世界との差が広がってますしね。

 こういう大会を しっかりフォローすれば世界陸上も楽しめますが、NHKだからこそ ここまで
できるという感じですね。

 これが民放だと福島と室伏に村上らは嫌という程取り上げて、他の種目は結果のみという形になる恐れがありますからね。

 陸上=駅伝&マラソンしか扱わないマスゴミの罪の深さを改めて思いますよ。
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コメントありがとうございます (猫なべ)
2011-06-18 20:45:53
こんばんは、こーじさん

本当に最近の民放局の陸上中継は酷過ぎですね。
大学陸上だと、汐留TVが春に関東インカレ、テロ朝が秋に日本インカレを深夜で録画放送してます。
ただし、その中身は大学生のトップ選手の活躍を伝えるものではなく、あくまでも自社が絡んだ
大学駅伝の宣伝といった感じです。
長距離以外の他の種目はまるでオマケのような扱いです。
なにせ、関東インカレは箱根出場へのポイントが懸かっているから、尚更ですね。
野球で例えるなら、民放局が日本シリーズの中継権を得たいが為に、NPBへの点数稼ぎの目的で
パリーグの試合を嫌々放送をするのと等しい気構えです。

そのくせ、マスゴミは普段はマラソン&長距離以外はまともに取り扱わないくせして、
ビジュアルがいい選手が出現すると、寄生虫のように擦り寄って、無理やり「スターシステム」の階段に乗せたがるから、
非常にタチが悪いですね。

短距離&投擲は、学生時代からこういう不遇な目に遭っているからこそ、
才能を秘めた選手を私は応援したくなりますね。
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