うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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陸上の女子400mリレーで日本新記録を2年ぶりに更新

2011年05月09日 | 陸上
女子400mリレーで日本新記録…セイコーGP(読売新聞) - goo ニュース

川崎市の等々力競技場で開催されていた陸上の「セイコーゴールデングランプリ川崎」。女子400mリレーで、日本A(北風沙織、高橋萌木子、福島千里、市川華菜)が43秒39を叩き出し、2年ぶりに日本記録を更新して優勝。同時に、今年8月に韓国の大邸で開催される世界選手権の参加標準記録(44秒00)も見事にクリアしました。

実は、日本の女子400mリレーは、この大会前までは参加標準記録をまだ突破してませんでした。昨年11月の広州アジア大会での日本は、渡辺真弓→高橋→佐野夢加→福島の順番で400mリレーを走りますが、残念ながら44秒41で3位に終わり、世界選手権の参加標準記録の突破に失敗(なお、優勝が44秒09でタイ、2位が44秒22で中国)。日本は、福島がアジア大会で100mと200mで2冠を達成し、400mリレーも優勝が期待されただけに、記録と順位ともに不本意な結末に終わりました。

しかし、日本は、アジア大会の敗北を機に、バトンパスの改善に着手。今まではオーバーハンドパスでしたが、今年以降は銅メダルを獲得した北京五輪男子400mリレーの日本チームに倣って、アンダーハンドパスを導入しました。一般的には、アンダーハンドパスの方が、スピード面でのロスが少ない利点があります。その反面、技術的に難しい面があり、バトンパスのリスクが伴います。今年に入って入念に練習した女子短距離チームは、今大会がアンダーハンドパスでの初の実戦となりました。

日本と同じく、今大会で参加標準記録の突破を狙っていた中国が、リレーでは珍しいフライングを犯して、なんと失格。緊張感が漂う中での再レースとなりました。日本は、序盤のバトンパスこそ、ややもたついたものの、3走の福島が一気に加速して波に乗り、良い流れでアンカーの市川にバトンを渡します。昨年の世界ジュニア選手権200mで日本人初の8位入賞の快挙を果たした20歳の市川は、スムーズにバトンを受けてそのまま加速し、豪州を0秒30差を付けてフィニッシュ。従来の日本記録(43秒58)を0秒19も大幅に短縮し、優勝に花を添えました。

なお、今回更新した日本記録は、一昨年8月にベルリンで開催された世界選手権では7位に相当するタイムです。しかも、同走した日本B(佐野、渡辺、今井沙緒里、和田麻希)も、44秒62とまずまずの記録だったので、日本チーム全体の選手層も着実に厚くなりつつあります。バトンパスの練習の成果を早速出した日本は、今後に希望が持てる素晴らしい結果となりました。まだ世界レベルからほど遠いのは承知してますが、近年の日本女子短距離陣のレベルアップはとても目を見張るものがあります。かつて、日本の女子短距離陣は、弱すぎて世界大会に派遣すらさせてもらえませんでしたが、もはや過去の時代になりつつあります。駅伝如きに血眼になって、もはや野心や向上心の欠片すら存在しない男子マラソン&長距離陣よりも、彼女達の方が遥かに応援のし甲斐がありますね。

もちろん、今回の結果のみで、世界の舞台で結果を残せると判断するのはまだ早計です。おそらく、世界選手権の予選通過ラインは、今回更新した日本記録に近いタイムになるだろうと予想されてます。今回は国内のレースだったので地の利がありましたが、やはり海外の大会でどれだけ結果を残せるのかが重要です。厳しい環境下における経験の積み重ねと、継続的な強化こそが、1964年東京五輪以来となる48年ぶりの五輪出場に繋がるはずです。ロンドン五輪の400mリレーの出場資格は、2011年1月1日~2012年7月2日までに出したベスト2レースの平均タイム上位16チームに与えられます。日本は、前回の北京五輪では平均タイムが世界17位に終わり、五輪出場権をあと一歩で逃した悔しい経緯があります。世界の扉を自力でこじ開ける為にも、更なる個人のレベルアップを促したいです。

とはいえ、大黒柱である福島の故障の再発がちょっと心配ですけど・・・


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〔写真は時事通信より〕

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