うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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北米開催の冬季五輪で、日本初の金メダル獲得なるか?

2010年02月27日 | 五輪&パラリンピック
バンクーバー五輪は26日、スピードスケート女子団体追い抜きの準々決勝を行い、日本(穂積雅子、小平奈緒、田畑真紀)が3分02秒89のタイムで韓国(李周娟、盧善英、朴度暎)を下し、準決勝進出を決めた。

日本は準決勝でポーランドと対戦する。もう一方の準決勝は、ドイツ対米国。

〔ロイター 2010年2月27日の記事より・写真も〕


                              *  *  *  *  *

 
ただ今、日本に物凄い追い風が吹いてます

「大会の華」とも言うべき女子フィギュアスケートが昨日終わり、なんだか今回のオリンピックがもう終わっちゃったような空気が巷では蔓延しております。しかし、まだあと2日あります。明日にはもう一つの大会の華であるアルペンスキーの最終種目の男子回転があり、日本からは佐々木明と皆川賢太郎の2人が出場します。両者とも奥さんがトップアスリートとしても有名です(佐々木の妻が山本美憂、皆川の妻が上村愛子)。ただ、現状では2回目のレースに進めるのか微妙なところですが・・・。

そして、アルペンと同じ時間帯に知られざるメダル有力種目が行われます。それがスケートのチームパシュート(団体追い抜き)です。今日行われた1回戦で、世界ランキング3位の日本は韓国(同6位)に無事に勝利。報道では“逆転勝利”と伝えられてましたが、実際のレースを見たところ内容では完勝でした。日本はリーダーの田畑真紀がレースを引っ張り、途中で小平奈緒が先頭に立ってペースアップをして追いつき、穂積雅子が先頭に立ったあと一気に突き放し、最後は余裕で流してました。日本は決して隊列を乱さず、カーブでスムーズに先頭を交代し、狙い通りのレース展開で韓国に4秒以上も大差を付けました。

1回戦のその他の試合では波乱が相次ぎました。まず世界ランキング1位の地元カナダが米国(同7位)に僅差で敗退。そして、日本が準決勝で戦うだろうと思われた世界ランキング2位のロシアが伏兵のポーランドにまさかの敗退。あと1チームは前回優勝のドイツ(同4位)がオランダ(同5位)に順当に勝利しました。世界ランキングの上では、準決勝に勝ち上がったチームの中で日本が最上位となりました。偶然なのか、今回の1回戦の組み合わせは歴史的に因縁のある隣国同士の対戦なのには驚きました(笑)。

日本の準決勝の対戦相手は世界ランキング9位のポーランド。明日の試合で登録されたポーランドの3人の選手を調べてみましたが、個々の能力でも日本が上です。カタジナ・バフレダクルスは1000mで31位、1500m15位。ナタリア・チェルウォンカは1500mで36位(ちなみに最下位)。カタジナ・ボズニアクは3000mで28位(最下位)です。日本の選手は、田畑は1500mで19位に終わりましたが、穂積が3000m6位、5000m7位。小平が500mで12位、1000mと1500mで5位。なお、バックアップメンバーの中学生の高木は1000mで35位(最下位)、1500mで23位です。

1回戦のタイムだと日本が100分の1秒差で辛うじて上回ってます。だが、ポーランドはロシアと最後まで競り合って出したタイムであり、日本は流して出したタイムです。強豪ロシアを破った勢い(といってもロシアの自滅による番狂わせ)は要警戒ですが、転倒が無い限り負ける要素は低いと思われます。当初日本は、準決勝でロシアが来た場合を備えて、準決勝で高木を出して小平を3位決定戦で温存する作戦も考えられました。だが、ポーランドとのチーム力を考慮すれば日本が勝つ可能性が高いので、確実に決勝進出する為に小平を起用します。準決勝と決勝(もしくは3位決定戦)の2レースを明日に行い、試合間隔も2時間弱ぐらいしかありません。なので、疲労回復(特に小平)が勝利の鍵となるので、出来れば韓国戦みたいに余裕を持って勝ちたいところです。

そして、次戦の相手がドイツor米国。米国の選手の今大会の成績は、キャサリン・レイニーが1500mで31位、3000mで17位。ジェニファー・ロドリゲスが500mで20位、1000mで7位、1500mで18位。ジリアン・ルカードが3000mで12位、5000mで8位。なお、バックアップメンバーのナンシー スワイダー・ペルスが3000mで9位です。ビッグネームは不在ですが、短中距離、中長距離、長距離のスペシャリストをそれぞれ起用し、日本と同じような編成。優勝候補のカナダに際どく勝利した勢いと、同じ北米開催なのが要注意です。五輪となると米国は異常なテンションなのも不気味です。ただ、今日のカナダ戦の疲労が抜け切れているのか気がかりです。

大会2連覇を狙うドイツの今大会の個人成績は、ダニエラ・アンシュッツが1500mで10位、3000mと5000mで4位。シュテファニー・ベッカートが3000mと5000mで銀メダルを獲得。アンニ・フリージンガーは1000mで14位、1500mで9位。バックアップメンバーのカトリン・マットシェロトは3000mで13位、5000mは失格です。なお、フリージンガーは1998年長野五輪3000mで銅、2002年ソルトレーク五輪1500mで金、06年トリノ五輪チームパシュートで金、1000mで銅を獲っている大ベテランです。スケートが盛んに国だけに、個人能力で比較すると日本より上だと思います。

たしかに、世界ランキングでは日本が1つ上回ってます。昨年3月の世界距離別選手権では3位に入りました(この時の日本は田畑、穂積、大津広美)。しかし、昨年12月のW杯カルガリー大会で日本新記録を出して日本は2位に入ってますが、この時のドイツは主力を温存したそうです(この時の日本は小平が不在で石沢志穂を起用)。なので、ランキングとは裏腹にドイツが影の優勝候補だと思います。ただ裏を返せば、ドイツは普段はフルメンバーを揃えられないので、練習不足なのかもしれません。日本は前回トリノ五輪の3位決定戦のロシア戦では、練習不足がたたって痛恨の転倒で銅メダルを逃した経験があり、それを教訓にパシュートの練習時間を確保して強化したそうです。ドイツに付け込むに隙があるとすれば、選手間の連係面ではないのでしょうか。

日本の女子スピードスケートは過去の五輪では、1992年アルベールビル五輪1500mの橋本聖子、1994年リレハンメル五輪5000mの山本宏美、1998年長野五輪500mの岡崎朋美がそれぞれ銅メダルを獲得したのが最高成績です。もし、今回の女子パシュートが決勝進出を果たせば自動的に史上最高の成績となります。また、北米で開催された過去の五輪では、日本は全競技を通じて1度も金メダルを獲得したことがありません(ただし、公開競技を除く)。スピードスケートでは馴染みの薄い団体戦とはいえ、メダル獲得となれば立派な快挙ですし、日本のスケート界にとっても新しい歴史が作られます。


これが君が代をみんなで歌える最後のチャンスです。
明日は早起きして応援しましょう。(準決勝は5時半の予定)



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