うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
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一視聴者として年々ありがたみが薄れつつあるクラブW杯

2011年12月21日 | サッカー(クラブ)
◆サッカー・FIFAクラブワールドカップ2011(2011年12月18日 @横浜国際総合競技場)

・決勝
FCバルセロナ(スペイン) 4(3-0)0 サントス(ブラジル)
得点者:バルセロナ)18分&82分 リオネル・メッシ、24分 シャビ、45分 セスク・ファブレガス


・最終順位
優勝・FCバルセロナ(スペイン)、2位・サントス(ブラジル)、3位・アル・サッド(カタール)、4位・柏レイソル(日本)、5位・モンテレー(メキシコ)、6位・エスペランス(チュニジア)、7位・オークランド・シティ(ニュージーランド)

※バルセロナは2年ぶり2度目の優勝

〔写真はロイター〕


                          *  *  *  *  * 


2008年以来3年ぶり日本に戻ってきたクラブW杯。欧州王者のFCバルセロナが南米王者のサントスを4-0で圧勝し、2年ぶり2度目の優勝を飾りました。バルサは2試合とも大量得点を奪っただけでなく、常にボール支配率が70%をゆうに超えており、相手に攻撃の糸口すら全く与えずに完全に圧倒。決勝でも千両役者のリオネル・メッシら世界のスター選手が大活躍。異次元レベルというより、別の惑星からやって来たような強さでした。

とはいえ、大会そのものが面白かったのかというと、そのようには到底思えないです。言うまでも無く、大陸間に実力差があり過ぎるからです。かつて、クラブW杯の前身大会であるトヨタ杯は1990年代前半までは南米勢が優勢でした。しかし、1995年に下されたボスマン判決以降は、資金力で勝る欧州勢(中でも西欧のビッグクラブ)が圧倒的に優位に立ち、他の大陸との実力格差が年々広がってます。今回のサントスはネイマールらを擁するなど、近年の南米勢の中では戦力的に充実していた方でしたが、それでもバルサに子供扱いされたのが全てを物語ってます。正直、今のサントスの実力では、欧州CLで1次リーグを突破出来るのかすら怪しいです。

世界のサッカーファンの誰もが、欧州CLこそが事実上の世界王者を決める大会と認識してます。だからこそ、クラブW杯は、出場チーム数の増加や大陸別の出場枠の導入など、世界一を決める大会として相応しいレギュレーションに改めるべきだが、過密日程の現状では難しいでしょう。それに、クラブW杯の賞金は欧州CLよりも遥かに少なく、時差や移動のリスクまで抱えるのだから、欧州勢にとってメリットがあまり少ない大会と言わざるを得ないです。周囲からは大会に臨むモチベーションを疑われているけど、それでも欧州王者がベストメンバーに等しいチーム編成をして大会に臨むのは、決してクラブW杯の権威を高める為ではなく、世界市場の開拓を目論んでいるのが真の狙いでしょう。あとは、大会主催者の国際サッカー連盟(FIFA)に対する義理立ての意味もあると思いますけどね。正直、クラブW杯は戦う前から結果が分かっているので、「屋上屋を架す」となっているのが実情です。

他の出場チームにとって、クラブW杯で欧州王者との対戦は貴重な真剣勝負なので、世界における自らの立ち位置が分かります。しかし、実力差があり過ぎて先に失点を与えたら事実上の終戦なので、どうしても守備偏重の戦いを選択せざるを得ないです。ただ、今回バルサと準決勝で戦ったアル・サッド(カタール)は、終始自陣に引き篭もって臆病な戦いをしただけでなく、前半25分には凡ミスから失点を喰らって、自滅に等しい形で試合そのものを台無しにしたので、大会の権威だけでなく、アジア王者のプライドも完全に丸潰れでした。とはいえ、バルサ相手に真っ向から打ち合ったら、記録的な大敗に終わるのは目に見えてますけど。なにせ、今のバルサは、レアル・マドリードやマンチェスター・ユナイテッドが相手でも、難なくあしらうぐらいだから、このクラブW杯で名勝負を期待するのは正直難しいですね。

現地でスタジアムで観戦している方は、世界のトップレベルのチームを生で観られるから、まだマシな方です。ただ、TV観戦している立場だと、バルサはサントスが相手でも結果がおおよそ見えていたし、試合内容そのものが一方的だったので、勝負としては非常に退屈に感じました。まさに、「バルサのショー」と同然でした(もちろんバルサに非は無いです)。Jリーグが創設する以前の20年以上前ならまだしも、現在の日本は衛星放送を契約さえしていれば、大きな国際大会や海外主要リーグの殆どの試合を生中継で観戦出来るほど、TVの視聴環境は格段に良くなってます。当たり前ですけど、NHK衛星第1で放送しているプレミアリーグやセリエA、WOWOWで放送しているスペインリーグの方が試合の質が遥かに高いです。普段から見慣れている方にとっては、クラブW杯は非常に物足りなく映るでしょう。

それに、現在は海外の情報だってあふれるほどです。コアなサッカーファンだけでなく、一般の視聴者だって目が肥えてます。いくら、スーパースター軍団のバルサが出場して、「世界一のクラブを決める大会」だと大々的に宣伝しても、ミスマッチが多くて試合の中身も伴わなければ、興醒めするのは仕方がないです。ましてや、試合を伝えるTV局が低レベルで不真面目な姿勢が、余計に追い討ちをかけてます。いくら日本の映像技術が優れていても、肝心のカメラワークが稚拙過ぎます。近い距離でスター選手ばかりを専用カメラで追い回すのではなく、もっとピッチ全体を俯瞰した映像を撮って、ゲームの流れを分かるように映すべきです。更には、番組全体がバラエティ番組の延長のノリなのが、全てを台無しにしてます。あらためて地上波のスポーツ中継の限界を露呈しましたね。

たしかに、クラブW杯は不十分な大会だとはいえ、「歴史・体格・地理」の3大ハンディを抱える日本にとっては、それでも重要な大会であることには変わりないです。今大会は柏レイソルが強行日程にも拘らず4位入賞と大健闘しました。しかし、残念ながら今の日本は各クラブとも財政難なので、資金豊富な中東勢と、国内リーグに昇降格の制度が無い韓国勢の後塵を拝しており、ACLを制することが出来ずに「開催国枠」として出場するのがやっとなのが現状です(ちなみに、韓国Kリーグは2013年から2部制に移行します)。PK戦だとはいえ、柏はアル・サッドに自国で勝てなかったので、余計に歯痒く感じますね。来年もクラブW杯は日本で開催されますが、開催国としての資格ではなく、ACLで優勝してアジア王者として出場しなければなりません。その上で、今よりもレベルアップして、世界最強のバルサを相手に堂々と戦いたいものです。


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