うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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体操女子日本代表、決勝は7位に終わる

2011年10月11日 | 運動全般
体操の世界選手権第5日は11日、東京体育館で女子団体総合決勝が行われ、日本は167.122点で7位に終わった。予選1位の米国が179.411点で2007年大会以来、3度目の優勝を果たした。連覇を狙ったロシアが2位、中国が3位だった。
 日本はゆかと跳馬が低調で、段違い平行棒でもエース鶴見虹子(朝日生命)の落下で得点を伸ばせず、予選の5位を下回った。
 日本は今大会上位8チームに与えられるロンドン五輪出場権は、既に獲得していた。

〔時事通信 2011年10月11日の記事より〕


日本体操協会のHP
今大会の女子団体の決勝の記録(pdf)
日本体操協会の公式ブログ
今大会の代表選手(日本体操協会のHPより)


                           *  *  *  *  *


日本は3日前に行われた団体戦の予選を5位で通過し、2大会連続で世界選手権の決勝進出を決めると同時に、前回2008年北京五輪に続いて団体戦のロンドン五輪出場権を無事に獲得しました。体操競技の団体戦は各国の総合力が問われるので、最も重視されている種目です。今の日本の実力だとメダル獲得はまだ難しいですが、世界5位の位置をキープした上で、米国・ロシア・中国・ルーマニアの世界4強にどこまで迫れるのかが焦点でした。

10月11日の決勝では、日本は予選6位の豪州と同じ第3班に入り、平均台→床→跳馬→段違い平行棒のローテーションで演技を行いました。予選の採点方法は、予め登録した6人のうち、各種目とも5人が演技し、上位4名の得点が採点される「6-5-4制」です。しかし、決勝の採点方法は予選とは異なり、予め登録した6人のうち、各種目とも3人が演技し、3人全員の得点を合計する「6-3-3制」です。つまり、全ての演技が得点に反映されるのでミスが一切許されません。正確性を求められるので、大技を駆使するよりも、綺麗な演技をする方が有利だとされてます。同時に、オールラウンダーの選手を大勢揃えるよりも、各種目のスペシャリストを上手に起用することが大切です。

日本は、エースの鶴見虹子と田中理恵と寺本明日香を3種目に起用。鶴見は、段違い平行棒・平均台・床。田中は、跳馬・段違い平行棒・床。寺本は、跳馬・段違い平行棒・平均台を演技。新竹優子を跳馬、美濃部ゆうを平均台、予選で負傷した飯塚友海の代役となったベテランの大島杏子を床に抜擢。鶴見、田中、寺本の3人を軸に、6人全員を満遍なく起用して決勝に臨みました(ちなみに、昨年の大会の決勝は鶴見と田中は全4種目に起用)。最初の種目の平均台は3人全員がノーミスの演技で14点台をマークし、合計43.499を挙げます。段違い平行棒でミスを繰り返した強豪の中国とルーマニの得点が伸び悩んだこともあり、日本は第1ローテーション終了時点で米国とロシアに次ぐ3位につけ、上々のスタートを切ります。

ところが、次の床で日本は大きく躓きます。最初に演技した大島が13点台に伸び悩みます。2番目に演技した田中も後方1回半~前方1回で蹴りが合わず、2つ目の宙返りが半ひねりになり、更には着地で手を着きかけるミスで大きく減点されて、12点台に止まります。結局、床は39.691と40点台にすら届かず、種目別でも最下位に終わり、第2ローテーション終了時点で一気に最下位に転落します。続く跳馬も3人合計で種目別6位の41.866と伸び悩み、依然最下位に沈んだまま。最終種目となった得意の段違い平行棒は田中と寺本が14点台をマークするが、最終演技者の鶴見が逆手車輪1回ひねり大逆手で大きくぶれてしまい、まさかの落下。着地こそ上手くまとめるも、落下のミスが大きく響いて13.366に終わり、種目別でも5位に踏み止まります。

結局、日本は167.122で7位に終わり、今大会の予選の通過順位だけでなく、北京五輪と昨年の世界選手権の5位よりも2つ順位を落としました。前回大会の決勝ではミスの少ない演技で169.897を挙げました。もし、今大会もこの得点なら、日本は5位に入賞できました。つまり、ミスが順位の下降にモロに直結したので、「6-3-3制」の怖さをまざまざと思い知らされました。また、昨年よりも平均台の得点は上回ってますが、他の3種目の合計得点は全て下げてます。日本は器具を使う種目である段違い平行棒と平均台は得意ですが、体力の差が大きく反映する種目である床と跳馬が苦手なのが難点です。それだけに、予選で跳馬が得意の飯塚が負傷離脱したのは痛恨でした。とはいえ、前回は鶴見と田中の2人に頼る格好でしたが、今大会は6人全員を起用出来たのは戦力が底上げされた証拠だと思います。

日本は昨年1月から始めた「22ヶ月合宿」を通じて強化し、世界選手権やアジア大会など国際大会でそれなりの結果を出してきました。今大会がその集大成でしたが、少し悔やまれる結果に終わりました。だからこそ、課題を克服して、最大の目標である来年のロンドン五輪に向けて頑張って貰いたいです。


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