うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
のんびり更新しますので、どうぞ気長にお付き合い下さい。

今年も韓国勢に零封された2011ACL決勝トーナメント1回戦

2011年05月29日 | サッカー(クラブ)
◆サッカー・AFCチャンピオンズリーグ2011 決勝トーナメント1回戦(2011年5月24&25日 @アジア各地)

・東地区
ガンバ大阪(E組1位) 0(0-0)1 セレッソ大阪(G組2位)
得点者:C大阪)43分 高橋大輔

FCソウル(韓国・F組1位) 3(1-0)0 鹿島(H組2位)
得点者:ソウル)38分 方勝煥、55分 デヤン・ダムヤノビッチ、90分+4 高明振

水原三星(韓国・H組1位) 2(1-0)0 名古屋(F組2位)
得点者:水原)24分廉基勳、57分 李相湖

全北現代(韓国・G組1位) 3(2-0)0 天津泰達(中国・E組2位)

・西地区
セパハン(イラン・A組1位) 3(2-0)1 ブニョドコル(ウズベキスタン・C組2位)
アル・イテハド(サウジアラビア・C組1位) 3(2-0)1 アル・ヒラル(サウジアラビア・A組2位)
アル・サッド(カタール・B組1位) 1(1-0)0 アル・シャバブ(サウジアラビア・D組2位)
ゾブ・アハン(イラン・D組1位) 4(2-0)1 アル・ナスル(サウジアラビア・B組2位)

(注)決勝トーナメントはグループリーグ1位の国(左側のチーム)で、1試合のみ開催

※準々決勝以降の抽選は6月7日にマレーシアのクアラルンプールで実施。
準々決勝(第1戦9月14日、第2戦9月27&28日)と準決勝(第1戦10月19日、第2戦10月26日)はホームアンドアウェー方式。決勝戦は11月4or5日に開催。ただし、決勝戦の会場は、決勝進出した2チームが事前に抽選を行って決定。

〔写真はアジアサッカー連盟より〕


                           *  *  *  *  *


ACL史上4度目の日本勢同士の対決となった今回の一戦は、「大阪ダービー」となりました。今回の対戦前のJリーグの成績は、ガンバが4勝1敗なのに対し、セレッソは1敗5分と未だ勝ち星が無し。過去の公式戦の通算対戦成績はガンバの33戦20勝10敗3分と、セレッソを完全に圧倒。タイトル獲得の実績でも、ガンバが6年前のJリーグ優勝をはじめ数多くの国内タイトルを獲得し、ACLも3年前に制覇。対照的に、セレッソは前身のヤンマー時代にまで遡らなければならず、国際大会も今回が初参戦。しかも、今回は会場が万博だったこともあり、下馬評ではガンバ優位でした。しかし、試合は、前半序盤はセレッソのペース。次第にガンバがリズムを取り戻し、0-0のまま前半を折り返します。後半は、セレッソが冒頭から選手を2人交代させて、システムも変更。休養日が1日多かったセレッソが運動量で上回り、主導権を再び奪回。両チーム無得点のまま進みますが、試合終了2分前、金甫のキープから、攻め上がった高橋大輔が思い切り右足を振り抜き、遂に均衡が破れます。結局、1-0でアウェーのセレッソがガンバに約5年半ぶりに公式戦で勝利し、初のベスト8進出。対照的に、ガンバは3年連続ACLの決勝トーナメント1回戦で涙を飲みました。

国際試合となった「大阪ダービー」は白熱した試合展開でしたが、やはりベスト16の段階で日本勢同士が戦うのは、結果的に潰し合いになるので勿体無く感じます。それに、どちらが勝っても、日本勢が次のラウンドに勝ち残るので、国際試合ならではの緊張感がやや欠けるのは否めないです。ボクシングで例えるなら、まるで“日本人同士の東洋太平洋タイトルマッチ”のようでした。しかし、この考え方は、翌日には見事なまでに間違いだと気付かされます。なぜなら、名古屋と鹿島がともに、敵地で韓国勢に枕を並べて討ち死にしたからです。しかも、両チームとも、韓国の持ち味である豊富な運動量と鋭い出足に、手も足も出せずに完敗。名古屋はペースを掴んだ序盤に決定機を逃し、肝心な所で守備が崩壊して自滅。鹿島に至っては、終始劣勢を強いられ、相手の激しさに屈して攻撃の形すら作れずじまい。シュート数が3対20では勝てるはずがありません。結局、昨年に続いて、日本の2チームが決勝トーナメント1回戦で韓国勢に完封負けを喰らいました。もし「大阪ダービー」が実現してなかったら、昨年に続いてベスト16で全滅していた可能性があったので、ACL特有のレギュレーションに救われたとも言えますね。

ただ、日本はACLにおいては、決して韓国勢に相性が悪い訳ではありません。ACLが創設された2003年以降の対韓国勢との通算対戦成績は50戦20勝20敗10分と全くの互角です。敵地での戦績も24戦9勝11敗4分なので、極端に苦手にはしてないです。むしろ、日本は中国でのアウェー戦を大の苦手にしてます。日本がACLに本気で取り組んだ2007年以降だと、韓国とは38戦18勝11敗9分なので、日本が優位です。では、なぜ、ここ3年近く韓国に劣勢なのかというと、日本は決勝トーナメントでの戦いを苦手にしているからです。中でも、4年連続最初のラウンドで敗退の鹿島はまさに鬼門と化してます(3年連続敗退のガンバは同国対決に弱いです)。決勝トーナメントでの日韓対決は通算8回ありますが、勝ち抜いたのは2007年の浦和(2度)と2009年の名古屋だけ。現行方式となった2009年以降は、今年を含めても対韓国戦は5連敗(PK戦での負けも含む)を喫し、敵地に至っては3戦全敗です。日韓の出場枠が4つに増えた現行方式だと、東地区はこの両国が抜きん出ている事もあって、決勝トーナメント1回戦での対戦はもはや避けて通れない傾向です。ただでさえ韓国は勝負強く、日本よりも一発勝負が得意なので、敵地での対戦を回避する為にも、1次リーグを首位通過することは重要です。それだけに、震災で日程変更したことは大きく響きました。

とはいえ、本当に深刻なのは、結果だけでなく、内容的にも悪化の気配を辿っていることです。今回の名古屋と鹿島は、ともに一昨年の再戦でもありました。日本のホームで行われた一昨年は、名古屋が水原に2-1で快勝。鹿島は2-2からPK戦にまで縺れ込んだ末に、FCソウルに惜敗でした。しかし、今回は、名古屋は雪辱を許し、鹿島は返り討ちにされた格好です。昨季Jリーグ王者の名古屋は対韓国勢5戦無敗でしたが、そのジンクスも今回の完敗で潰えました。たしかに、震災の影響や故障者の続出などで、両チームともJリーグでの不調がそのまま反映したとも言えます。しかし、対戦相手のFCソウルと水原も、現在のKリーグでは16チーム中11位と12位と下位に喘いでます。また、各クラブとも財政難なので保有選手数に限りがあり、外国人選手の質も一昔の頃に比べれば決して高くはないです。更には、欧州のクラブに大量に移籍した影響もあって、近年はJリーグのレベル低下が叫ばれてます。だけど、韓国だって多くの選手が欧州や日本のクラブなどに移籍しているので、国内リーグの空洞化現象はお互い様です。ましてや、韓国勢はここ2年連続ACLを優勝してます。このままでは、開催国でしかクラブW杯には参加出来ない、恥ずかしい事態となるのは必至でしょう。日本のトップクラブが韓国勢に対して、年を追うごとに決勝トーナメントで劣勢を強いられていることは、重く受け止めるべきです。



▼日本勢のACLでの韓国(Kリーグ)・中国(Cリーグ)・豪州(Aリーグ)との対戦成績
※2003~2008年までは各国2チームが参加(ただし、2004~2008年までは前回優勝チームが準々決勝から参加)。
豪州は2007年からACLに参加。2009年以降はランキング上位国(東地区だと日本・韓国・中国)は4チームが参加。
なお、PK戦は引き分け扱いです。

・Jリーグ vs Kリーグ(韓国)
通算対戦成績:50戦20勝20敗10分 (ホーム:24戦11勝7敗6分、アウェー:24戦9勝11敗4分、中立地:2戦2敗)
優勝回数:日本2回(2007年・2008年)、韓国3回(2006年・2009年・2010年)
2003年:0勝2敗
2004年:2勝2敗
2005年:0勝2敗
2006年:0勝3敗1分
2007年:4勝0敗2分  ※決勝トーナメントでは日本勢の2勝2分(引き分けのうち日本勢のPK戦の勝利が1試合)
2008年:1勝0敗1分
2009年:5勝3敗2分  ※決勝トーナメントでは日本勢の1勝1分(引き分けのうち日本勢のPK戦の負けが1試合)
2010年:5勝4敗1分  ※決勝トーナメントでは日本勢の2敗
2011年:3勝4敗3分  ※決勝トーナメントでは日本勢の2敗

・Jリーグ vs Cリーグ(中国)
通算対戦成績:38戦16勝14敗8分 (ホーム:18戦13勝3敗2分、アウェー:19戦3勝10敗6分、中立地:1敗)
中国勢の優勝回数0(最高成績はベスト4が2回)
2003年:0勝1敗1分
2004年:1勝1敗
2005年:1勝3敗
2006年:1勝1敗
2007年:1勝0敗1分
2008年:1勝1敗
2009年:4勝1敗3分
2010年:3勝3敗2分
2011年:4勝3敗1分

・Jリーグ vs Aリーグ(豪州)
通算対戦成績:20戦12勝3敗5分 (ホーム:10戦7勝3分、アウェー:10戦5勝3敗2分)
豪州勢の優勝回数0(最高成績は準優勝が1回)
2007年:0勝0敗2分
2008年:4勝1敗1分  ※決勝トーナメントでは日本勢の2勝1敗1分
2009年:3勝0敗1分
2010年:2勝2敗0分
2011年:3勝0敗1分

・Kリーグ(韓国) vs Cリーグ(中国):通算対戦成績:39戦24勝10敗5分
・Kリーグ(韓国) vs Aリーグ(豪州):通算対戦成績:20戦8勝6敗6分
・Cリーグ(中国) vs Aリーグ(豪州):通算対戦成績:18戦5勝5敗8分



☆ガンバ大阪vsセレッソ大阪のダイジェスト



☆水原三星vs名古屋のダイジェスト



☆FCソウルvs鹿島のダイジェスト




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2 コメント

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鹿島の内弁慶ぶりが (こーじ)
2011-05-30 19:13:19
 基本的に名古屋は選手層が薄いなどの問題で
苦戦はやむなしと思ってましたけど、鹿島は国内での勝負強さがACLになるとなぜか影を潜めますよね。

 よく鹿島はジーコ時代からの伝統でブラジル式のチーム作りをしていると言われてますが、
ほぼ同じメンバーで長い時間をプレーさせるので意思統一が代表に比べてやりやすいという利点があります。

 ただその代償として固定メンバーになるため
控え選手が出た時にコンビネーションがイマイチになるという欠点があるのですけどACLでは
それがモロに出る感じですね。

 ただ最初の1・2年ならそれでも仕方ないですけど、ここまでACLで弱いと首脳陣は何を考えているのかという事になりますね。

 このままでは国内では無敵なのに海外ツァーに出たらからっきしというサッカー界のジャンボ尾崎と言われかねませんね。

 
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コメントありがとうございます (猫なべ)
2011-05-30 21:27:16
こんばんは、こーじさん

現在のACLの東地区は、豪州が退役軍人とユース世代の連合軍で、中国に至ってはもはや水増し状態です。
(ただし、中国はサラリーが良いせいなのか、外国人選手のレベルは意外と高いです)

東地区は日韓両国が抜きん出ており、予選リーグは2位以内でOKなので、予選突破は一昔に比べれば容易です。
しかも、ベスト16では同国対決もあります。なので、最低でも準々決勝に進出しないと評価できないですね。

鹿島がACLで勝てない要因は、内弁慶、一発勝負での弱さ、更には「恐韓症」の3点セットでしょうかね。
また、1979年生まれの「黄金世代」の選手らチーム全体が高齢化していることも挙げられますね。

ただ、鹿島には実は大きな功績があります。
それは、ジーコがテクニカルディレクター時代だった1997年に、鹿島は厳しい日程をやりくりして、
ACLの前身大会であるアジアクラブ選手権に最強メンバーを派遣させて、それまでアジアタイトルを軽視していた
国内の悪しき風潮を改めさせました。
それだけに、国際化路線の先駆者でありながら、全く報われてないのは、皮肉であり、残念でもあります。
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