うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

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まるで罰ゲーム? 五輪選手団の主将&旗手

2010年01月15日 | 五輪&パラリンピック
2月に行われるバンクーバー冬季五輪の日本代表選手団主将に長野五輪スキー・ジャンプ団体金メダリストの岡部孝信(39)=雪印=、旗手には同五輪スピードスケート女子500メートル銅メダリストの岡崎朋美(38)=富士急=の起用が14日、決まった。同日、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで開かれた日本選手団の監督会議後、橋本聖子団長が発表した。
 岡部は団体で銀メダルを獲得した1994年リレハンメル大会から4度目の五輪。2007、09年の世界選手権団体でも日本の銅メダル獲得に貢献し、バンクーバーでの期待も高い。岡崎は5大会連続の五輪。前回トリノ大会で主将を務めており、冬季五輪で主将と旗手の両方を経験するのは橋本団長以来2人目となる。
 主将と旗手の両方にベテランを起用するのは異例だが、同団長は「申し分のない主将、旗手を決められたと思う。岡部は存在するだけで十分だし、岡崎は若い選手への影響力を考えた。2人のベテランに選手団の士気を高める行動を期待している」などと語った。

〔時事通信 2010年1月14日の記事より〕


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世の中には五輪の開会式がとても大好きな方がいらっしゃると思います。たしかに、行進する選手たちの笑顔を見てあらためて平和のありがたみを実感します。また、開会式の内容から世界に向けたメッセージを感じ取ることも出来ます。ボクシングファンである私自身、1996年のアトランタ五輪の開会式で、パーキンソン病を患ったモハメド・アリが震える手で聖火を灯したシーンはとても感動しました。

だが、感動的だったのはそれぐらいです。私にはそこまで開会式に思い入れはありません。ハッキリ言って、五輪の中で開会式は最も迷惑なイベントすら思ってます。昔ならいざ知らず、昨今の五輪の開会式は酷過ぎる代物です。本来の趣旨であれば、開会式は大会の開催を皆で祝して、参加する全ての選手団を歓迎する式典であるはずです。

しかし、現状では、開催国の国威発揚のイベントに堕落してます。特に大国で開催するとその傾向が強いです。私が記憶にある最初の五輪であるモスクワ五輪の開会式なんて、寒冷地で尚且つボイコットが多かったせいなのか「盛大なお通夜」のようにすら感じました(笑)。近年だと、ソルトレーク五輪は米国同時多発テロ事件の直後だったこともあり、政治色剥き出しでした。また、「民族協和」を強調してデタラメな演出をした一昨年の北京五輪の開会式は、吐き気すら覚えるような最悪の内容だったので途中でテレビを消しました(あの口パク少女は今は達者かなぁ~)。



ましてや、最近では多額の放送権料を負担をしているテレビ局が幅を利かせてます。肝心のショーの内容も、華美で派手な演出ばかりを強調し過ぎて、一体何を伝えたいのかがよく分かりません。昔と違って、旧ソ連や旧ユーゴの解体もあって国際オリンピック委員会(IOC)の加盟国は沢山増えました。夏季五輪だと200近い国が参加します。ただでさえ行進だけで長時間掛かるのに、それに加えて無駄なショーを延々とやるので、開会式の時間が3時間は余裕で超えます。たしか、北京五輪は予定より遅れて4時間近くやって、日付が変わってました。

冬季五輪だと参加国は夏季五輪に比べて少ないので時間は短いです。しかし、真冬の夜に(正確には米国東部時間のゴールデンタイムにあわせて)長時間もダラダラとやるので、開会式に参加している選手の体調に確実に悪影響を及ぼします。まさに、冬季五輪の開会式は、選手を置き去りにした拷問に等しいイベントです。商業主義の負の面を感じますね。

なお、今回のバンクーバー五輪の開会式&閉会式の会場は、「BCプレイス・スタジアム」という屋内施設で行われます。ちなみに、夏季&冬季を通して五輪の開会式が屋内施設で行われるのは今回が初めてです。選手の体調を考慮すれば屋内施設でよかったと思いますが、屋内であるが故に開会式のショーの演出は相当制限されると思われます。まあ、選手の体調を犠牲にしてまでやるほどのことではないので、むしろこれを機に原点に立ち返って開会式は簡素にやってほしいものです。



また、日本オリンピック委員会(JOC)や各競技団体は、どういう訳なのか開会式を重視する傾向があります。かつてロス五輪の時の日本は、世界で唯一入場行進の練習をやって世界中のメディアから物笑いの種にされました(笑)。あと、各国とも同様なのかもしれませんが、「国の顔」となる選手団の主将や旗手に有名選手を起用したがります。たしかに、選ばれるのは名誉であり光栄なのかもしれません。だけど、自らの競技を差し置いてまでやるほどのことでしょうか?

日程が合うのであれば大役を引き受けさせても支障は無いですが、日程が出場種目と近接している選手に要請するのは問題があると思います。それに、主将と旗手の大役を引き受ける以上、その選手はあらゆる公式行事に参加する必要があり、競技以外で余計な負担を強いられます。いくら今回は屋内施設とはいえ、旗手となると結構重そうな国旗を長時間持たされるので負担も大きいはずです。自分の出場する種目が遅い日程であれば、体調にそれほど影響は無いと思います。しかし、日程が近い選手にそんな大役を引き受けさせたら、確実に体調管理に支障をきたして悪影響を及ぼします。

それに、過去に五輪の日本選手団の主将&旗手の大役を務めた選手は、それほど良い成績を残したことはありません。やはり、必要以上にプレッシャーが圧し掛かることも原因なのでしょうか。だからこそ、日程を考慮して人選すべきだと思います。今回はメダル有力候補に挙げられている男子フィギュアスケートの高橋大輔選手が旗手に選ばれる噂がありました。高橋が出場するSPは2月17日です。しかし、開会式は2月12日と中4日です。最終的に見送られましたが、右ひざの負傷から復帰して間もない高橋の体に余計な負担を掛けさせるのは、どう考えても得策ではないです。きっと、高橋のファンの方もやきもきしたのではないのでしょうか? 

結局、主将はジャンプの39歳の岡部孝信、旗手はスピードスケートの38歳岡崎朋美(前回トリノ五輪は主将)と、2人合わせて77歳の“高齢コンビ”に決定しました(失礼!)。ただ、もし今回、スキーから上村愛子、スケートから浅田真央を大役に選出させたら、テレビ映えするのでメディアは大喜びしますが、肝心の成績に大きく響くと思います。かといって、無名な選手だとメディア受けが悪く、主催者のIOCもいい顔しないはずです。なので、この2人のメダリストに大役が決まったのは、もちろん過去の偉大な実績もありますが、日本選手団の主力を構成するスキー連盟とスケート連盟があらゆる事情を考慮して、それぞれベテランを“人柱”に出したような感じすらあります。2人の選手の体調に悪影響を及ぼさないことを祈りたいです。


やはり、こういう時こそ・・・

選手ではなく、役員に旗手をやらせるべきですね!!
前回のトリノ五輪は選手よりも役員が多かったのですから(怒)




☆五輪の開会式で唯一感動するのはこの儀式だけかな?
(2004年8月13日、アテネ五輪の開会式で五輪賛歌とともに五輪旗が掲揚されるシーン)

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