うんどうエッセイ「猫なべの定点観測」

おもに運動に関して、気ままに話したいと思います。
のんびり更新しますので、どうぞ気長にお付き合い下さい。

ザックジャパン、アルゼンチンを相手に初陣を飾る

2010年10月08日 | サッカー(全般)
◆サッカー・キリンチャレンジカップ2010(2010年10月8日 @埼玉/埼玉スタジアム2002)

日本 1(1-0)0 アルゼンチン
得点者:日本)19分 岡崎慎司


今大会の日本代表25名
今大会のアルゼンチン代表23名

〔写真はサンケイスポーツより〕


                           *  *  *  *  *


お忍びで観戦したナダルもビックリしたでしょうね

日本が過去に国際Aマッチで複数回対戦経験がある国のうち、戦った試合を全て負けている国が5つあります。その5ヶ国とは、イスラエル(7戦全敗)、クウェート(3戦全敗)、ハンガリー(2戦全敗)、オランダ(2戦全敗)、そして今回対戦したアルゼンチン(6戦全敗)です(なお、旧ソ連とは通算3戦全敗ですが、協会を継承したロシアの成績でカウントしてますので、通算で4戦して1勝3敗になります)。日本はこの5ヶ国とは浅からぬ因縁があります。

最も負けているイスラエルとは1973~1977年の4年間だけしか対戦したことがなく、ピッチの外で大いに苦しめられた極めて特殊な相手でした(→詳細はこちら)。クウェートの場合、負けると監督の首が飛んだり、チームの方向性の見直しを余儀なくされるなど、隠れた天敵です。ハンガリーとの対戦は全て親善試合ですが、五輪代表だと2度対戦してます。1968年メキシコ五輪の準決勝で対戦し、当時ステートアマの彼らに日本は0-5と完敗を喫しました。1996年アトランタ五輪でも対戦し、日本は3-2で勝利を挙げるものの得失点差で準々決勝進出を逃しました。オランダはご存知の通りに、今年の南アW杯で0-1と惜敗した相手です。

そして、今回で通算7度目の対戦となったアルゼンチンの場合、日本は監督が就任して間もない頃に対戦する傾向があります。日本初のプロの外国人監督だったハンス・オフトはデビュー戦の相手でした。加茂周とジーコは、就任してから2戦目の相手でした(ただし、ジーコの時は母親が急逝して帰国したので、当時コーチだった山本昌邦が監督代行)。五輪代表においても、1998年11月23日に国立競技場でフィリップ・トルシエが率いるU-21代表の最初の対戦相手として、1995年&1997年のワールドユース選手権で2連覇中だったホセ・ペケルマン率いる同国の五輪代表と対戦し、中村俊輔のループシュートで1-0で白星を挙げました(なお、日本は1964年東京五輪でも、小城得達が決勝点を挙げて3-2でアルゼンチンに勝利してます)。

今回のアルベルト・ザッケローニもご多分に漏れず、デビュー戦の相手としてアルゼンチンと対戦。なんと1-0で大金星を挙げました。もちろん、アウェーでの戦いとなったアルゼンチンは移動と時差を伴ったので、決して体調は万全ではないことは差し引く必要があります。とはいえ、過去にW杯優勝経験のある8ヶ国から勝利を挙げるのは、1996年8月25日に大阪で行われたウルグアイ戦(○5-3)以来、実に14年ぶり2度目です。ただし、この時のウルグアイは若手主体の2軍みたいなメンバーでした(ちなみに、まだ20歳だったアルバロ・レコバが出場)。しかし、今回のアルゼンチンはベストメンバーに等しい面子で臨みました。親善試合で地の利はあったとはいえ、それなりに勝利の価値はあると思います。

試合は、開始早々の栗原勇蔵の危なっかしい守備でヒヤリとさせられるなど、序盤は自陣に釘付けにされて押し込められますが、体を張った守備で凌ぎ切ります。その後は、アルゼンチンのリズムに慣れた事もあり、日本が次第にペースを掴み始めて攻勢を仕掛けます。前半9分には、右サイドの内田篤人から折り返したクロスを岡崎慎司が決定的なシュートを放ちますが、惜しくもGK正面に。その後、内田が強烈なミドルシュートを放つも、惜しくもゴールマウスの外に。そして、前半19分にルーズボールから長谷部誠のミドルシュートをGKが弾き、そのこぼれ球を岡崎が押し込み、通算7度目の対戦にして初めて日本がアルゼンチンから先制点を挙げました。

まさかの先制点を奪われてから目の色を変えたアルゼンチンは、メッシやカルロス・テベスらが攻勢を仕掛けるも、GK川島永嗣を中心とした日本の守備陣が好守を見せ、攻略の糸口を与えませんでした。逆にカウンターから何度か好機を生み出しました。この日の日本は、奪ってから縦に早く展開するだけでなく、サイドチェンジも多用するなど、たった4日間だけの指導とは思えないほどの見事な戦いぶりでした。また、本田圭佑、香川真司、長友佑都、内田などの海外組の充実振りには目を見張るものがありました。当初は「メッシの顔見世興行」と揶揄された今回の一戦でしたが、終わってみればメッシをフル出場させただけでなく、控えFWを大量に引きずり出させて、尚且つ“お家芸”荒っぽいプレーを誘発させるなど、彼らの本気を引き出す見事な戦いだったと思います。

とはいえ、ザックジャパンの真価が問われるのは、来年夏に招待されている南米選手権(コパアメリカ)でしょうね。ましてや、今度のコパアメリカの開催国はアルゼンチンなので、もし日本と再戦が決定した場合、彼らは目の色を変えて我々に襲い掛かってくるはずです。まさに、今回の金星は、相手に手痛い打撃を与える“名刺交換”だったと思いますね。是非とも、12日の敵地での韓国戦でもザックジャパンの実りある勝利を期待したいです。


親善試合でこれだけ興奮したのは久しぶりでした。
ただし、中継がT豚Sでなければ、もっと良かったですね(苦笑)。



☆岡崎の決勝ゴール

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2 コメント

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勝ってよかったですね (こーじ)
2010-10-09 23:32:00
 本来なら所詮は親善試合となるのですが、アルゼンチン相手にはたとえ親善試合でも勝てませんでしたから素直に喜びたいです。

 まぁアルゼンチンは他の南米やアフリカのチームのようにメンバーを落としたりする露骨な親善試合モードではないので価値はあります。

 一番危惧したのが中澤と闘莉王のCBコンビが
出てないので栗原と今野のコンビで大丈夫だろうかというのでしたけど、無難にこなしていた
ので安心しました。

 これが前監督時代なら大ピンチでしょう。

 トルシエが率いて勝ったU-21の時も見てましたけど今回の方が数倍嬉しいですね。
 そして かなり縁起がいいのも確かでしょう。
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コメントありがとうございます (猫なべ)
2010-10-10 00:55:37
こんばんは、こーじさん

メッシに関しては、今回の試合の契約を交わした際に、日本協会がアルゼンチンに出場時間の縛りをつけたそうです。

怪我の影響でフルタイムで出場するとは思わなかったのですが、今回は契約面だけでなく
日本が先制点を挙げて彼らを本気にさせたのが大きかったような気がします。

急造の守備陣で危ぶまれましたが、本気になった彼らとマッチアップできたことは、
少しは自信になったと思います。

それにしても、今回の一戦は「黄金世代」のお披露目試合だった12年前のU-21代表戦を彷彿しました。
ただ、あのチームは、その後行われたバンコクアジア大会(ちなみにこの当時はまだフル代表の大会)に
出場しましたが、フル代表の韓国に完敗して2次リーグで敗退するなど、厳しさを味わいました。
なので、今回の勝利で慢心したら韓国に返り討ちされるので、気を引き締めてソウルで戦ってほしいです。
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