秘密空間というもの。

アオイさんの、
今度のお部屋は、
窓からの景色がとても悪いです。

前のお住まいは、
シンジュクの高い高い建物が、
夜になると赤々と発光して、
何かの儀式を開始し、
誘惑的でしたのに・・・。


しかし、
今度のお住まいにも、
見どころというものは、
あります。


お部屋のクローゼットの奥に、
秘密空間があるのです。

暗く、
深く、
どきどきする感じです。


あるねっこりは、
その空間に、
ぶずらが巣食い、憩っているのを、
発見したそうです。


これからは、
クローゼットの観察に、
全力をそそごうと、
考えております。


ねっこり達は、
忙しいですからね。

咳止めというもの。

ここ２週間、
アオイさんはずっと、
変な咳をしています。


特に夜。
ベッドにもぐったあたりから、
いつか、
肺と気道が口から飛び出てくるだろうと思われる咳を、
思う存分しています。

怖いですね。


ねっこり達は、
あまり咳となじみはないのですが、
ねっこりドラッグストアには、
一応咳止めというものが売っています。


気の利く、
でかでかねっこが一匹、
アオイさんに、
シマネコ印の咳ナイナイ
という、
綺麗な紫色の咳止めをプレゼントしました。


アオイさんは、
微笑んでうけとりましたが、
原材料表示を見て、
押し黙りました。


ピラニアの歯粉末、
夾竹桃、
アニリン、
ミミズの汗、
乾燥ウツボ、
葛の根、
ぶずらの肝臓エキス、
青色１３号・・・


アオイさんは、
何の成分が気に食わなかったのでしょうかね。



気合をいれて、
ぐぐっと飲まないと、
あの恐ろしい咳が、
なかなかいなくならないと思います。

面倒というもの。

アオイさんが、
今度住まわれるお部屋は、
地盤が固く、ねっこり穴の開通が滞っています。

ちょっと面倒臭いですね。


アオイさんご本人も、
どろどろと引っ越しが滞っており、
面倒くさい感じです。

投げ出し気味のアオイさんを、
軽くつねってみましたが、
アオイさんの反応は薄いです。


つまらないですね。


面倒くさいアオイさんは、
扱いにくいので、
ねっこり達は、
１５匹でアオイさんを囲んでみることにしました。


もふもふで白くてつやりとした、
ねっこり達が、
もふもふすりすりぬくぬくと、
大サービスです。
ねっこり達は大人ですからね。




アオイさんは、
おもむろに、
呟きました、
「でかでかねっこがいないと、
　イマイチ温かくない・・・」



アオイさんは、
気付かないことが多すぎる人ですね。