セミというもの。

アオイさんが、何やら、憂鬱そうでしたので、
ねっこり達は、
アオイさんのお話を聞いてあげることにしました。

ねっこり達は、空気が読めますからね。


セミ、
が嫌だ。


アオイさんは、言いました。


朝、
家からバス停に行くまでが一番悲惨で、
セミが、ぶつかってくるの。
セミって、
体の割に、
羽が小さくて、硬いみたいで、
飛び方が、慌ただしくて、直線的で、下手。
朝から、
セミにぶつかられて、鳥肌モノで、最低。


アオイさんは、
まくしたてました。


さらにね、
今朝は、
雨戸を開けたとき、
壁に止まっていたらしくて、
雨戸の中で、
バサバサ飛び回っていて、
本当に迷惑だったよ。



アオイさんの、
セミというものへの、
不快感は止まらないようです。


ねっこり村には、
セミというものはおりませんので、
イマイチどのような様子なのか、
よく分かりませんが、
なかなかの悪者のようです。



でも、
アオイさんにぶつかってしまった、
セミの気持ちも聞かないと、
判断ができませんね。

ねっこり達は冷静ですからね。

怪談というもの。

さきほど、
アオイさんは、
ねっこり穴ずぼり、と手を入れて、
ぐるぐるとかき回し、


「ねっこり達いないの～？」


と、
つぶやいていました。




恐ろしい光景でした。
確かに、
ねっこり達は少しアオイさんを放置していましたが、
しかたないと思います。