ぶろぐ猫の目

笑う門には福来る・・
実験中

強力伝·孤島 新田次郎

2024-01-12 09:43:50 | 読んだ本の紹介

強力伝・孤島 新田次郎


なぜか、古本屋で目に入り手に取りました。
6編からなる短編集。
新田次郎といえば山の話。
漫画の「岳」は繰り返し読む愛読書。
山つながりで読んでみる気になったのか?

強力伝 時は昭和初期
強力とは、富士山の頂上に必要な物資を担いで登る人をいいます。

富士山頂の気象観測技師がある強力小宮と知り合う
その小宮が190kgもある大理石の石碑を山頂まで上げるという
記事を読み、あまりに無謀な試みであると、技師は小宮を引き留めるべく
富士山へ向かうが、小宮は聞く耳を持たず取りつかれたように石を担ぐ。
サポートの白馬出身の強力は、あまりに無謀だと
小宮をバカにしていたが、小宮の真摯な姿を見て
家宝の背負子を小宮に貸し与え、小宮を支える。
冬場の富士山の猛威を振るう風雪に負けず小宮は大義を果たすが
それは自分の命を縮める行為であった。

八甲田山
のちの八甲田山死の彷徨の習作
昭和初期、青森第5連隊の行った雪中行軍訓練の話。
冬の八甲田を甘く見た責任者の軽率な行動が、多数の犠牲者を生む。

凍傷
富士山頂の気象観測所を作るべく奔走する佐藤技師の話。
冬季の富士山頂にて駐在して気象データーをとることは
世界的に最も意義のあるもので、気象庁の最優先課題であった。
しかしあまりの過酷な自然に対して、政府は許可を下ろさなかった。
そんな政府を動かすべく、佐藤技師は冬季の富士山頂に登山し
1か月の滞在をして、越冬が可能であることを証明する。
しかし、それは自分の体の一部を凍傷で失うという過酷な挑戦であった。

孤島
昭和初期、鳥島気候観測所の駐在員の物語
絶海の孤島で、1年間置き去りにされる15名の隊員
本土との通信も私的なものは許されず、完全に孤立する。
娯楽もなく、隊員たちの精神もむしばまれていく。
そんな中、絶滅したとされるアホウドリの営巣を発見し
つかの間の安らぎをえる隊員たち。
アホウドリを襲う猫との戦いや、驚異の威力をもつ台風との戦いなど
を描く。

子供のころ、家の本棚にあったので読んでみたけど
子供には、表現が古くよみづらく途中で投げ出したような記憶が
あります

還暦を過ぎたおっさんが読むにはちょうどいいw
昭和世代だし時代背景もぎりぎり理解できる範疇

読み応えある筆致です。若い世代にも読んでほしい


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする