鉄道車両アラカルト

今まで全国鉄道の旅をして、いろんな車輌を見ました。そんな車輌たちをまとめてみました。

青蔵線開通!(チベット鉄道)

2006年08月22日 | 海外

中国西蔵自治区

青蔵線 開通!

 2006年7月1日から青蔵線(通称チベット鉄道、青海省の西寧からチベット[中国名は西蔵]自治区の拉薩[ラサ]間)全長1956㌔が「試運転」を開始した。


 青蔵線の途中には青海湖、良侖山、ココシリ、三江源、蔵北草原、ポタラ宮など中国だけでなく世界的に有名な観光スポットをもち、神秘的色彩に満ちたトップクラスの景勝観光ルートが存在する。

 また長江のほか、世界4大文明発祥のうち黄河とインダス川の2大文明の源流の景観をも楽しむことができる。

世界記録尽くめの鉄道

 格爾木(ゴルムド)~拉薩(ラサ)間は単線全長1142㌔、駅数は34駅(うち23駅は無人駅)である。この線区の平均海抜は4500㍍で、最高地点の唐古拉(タングラ)山峠の海抜は5072㍍。これは、これまで世界最高とされたアンデスを走るペルーの鉄道より200㍍高い。また途中、約550㌔の永久凍土地帯を通過する。そのほかにも青蔵線にはいくつもの世界一記録がある。


世界で一番長い高原鉄道  総延長1956km
世界で一番高い駅     海抜5068mのタングラ駅
世界で一番長い凍土トンネル全長 1868mの崑崙山トンネル
世界で一番高い凍土トンネル海抜 4905mの風火山トンネル
世界で一番早い凍土地帯区間の時速 100km

 
航空機のような車両

「世界の屋根」といわれる青海・チベット高原は、気温が低く、空気が薄い。そのため1両ごとに、航空機と同じような2つの酸素供給システムが備えられている。

 1つは、車内の酸素量を適切な状態に維持する混合空気調整システム。もう1つは、酸素不足の乗客が適宜利用する、座席の下にあるマスク式酸素吸入システムである。

 こうした航空機同様の仕様が求められることから、車両は航空機も製造しているカナダのボンバルディア社製である。

初列車の様子

 1日1往復の北京西駅21時30分発、拉薩(ラサ)駅行きT27列車の全行程は4046㌔、2昼夜約48時間の旅である。

 料金は硬座(2等座席)389元、硬臥(2等寝台下段)813元、軟臥(1等寝台下段)1262元(通貨レートは1元=約15円)。

 車両は軟臥2両(1両は8室、1室4ベッド)+硬臥8両(1両8室、1室6ベッド)+硬座4両(座席車両)+食堂車+電源車+機関車から構成されている。

 さて7月1日、初列車の乗客の様子は、海抜5000㍍を過ぎるとポテトチップスの袋が爆発しそうに膨らみ、高山病で気分の悪くなった人が乗客の約3割。乗務員も携帯用酸素ボンベを肌身離さず持ち歩き仕事をしていたとか。

 ちなみに、青蔵線の乗車券を購入する際は健康カードを提示し、体温が38度以上の人や呼吸器や循環器に疾患のある人はきっぷを買えないことになっている。

 このように、まさに青蔵線は宇宙旅行並みの体力が必要な線区でもある。

特筆すべき技術

 車両や土木技術以外にも青蔵線は技術的に興味のつきない線区でもある。

 例えば、列車無線には欧州の携帯電話システムであるGSM-Rを使用している。信号システムではメンテナンスフリーの観点から、測位衛星GPSとアメリカGE社製列車制御システムITCSを組み合わせて、駅間は無軌道回路方式を採用している。

 これは、ヨーロッパのETCSレベル2(簡単に表現すれば「軌道回路を用いないATCシステム」)と同様なシステムである。ただし、ETCSは列車位置検知に車輪の回転数とドプラレーダを併用しているのに対し、ITCSはGPSを用いている点に特色がある。

 なお、両者とも列車位置等の情報伝送にGSM-Rを用いている点は共通している。

今  後

 現在、青蔵線のきっぷの入手は大変困難であるが、2007年には寝台料金が1日1000㌦(約11万円)の豪華列車も運行されるほか、列車本数も大幅に増える予定である。

 さすが世界一の鉄道。貫禄が全然違うね。多分これは世界中の注目を浴びてるだろうから、観光客が押し寄せるのは必至だよね。前回もこのブログに記事を載せたけど、観光と自然保護の共存が課題になるよね。でも、酸素マスクが必要なほどの鉱山鉄道。私なんか乗れるだろうか?
 

 

 

 



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