社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「ソーシャルワーク感覚」(2008)横山登志子

2009-12-02 15:40:12 | 社会福祉学
筆者のPSW経験時に疑問に感じたことが、本論の基礎となっている。
「ソーシャルワークって何?」「ソーシャルワーカーとは…そもそも援助するって何?」ということについて、インタビュー調査を実施し、考察、結果をまとめている。調査分析には、グラウンデットセオリーを用いている。

博士論文に追記、修正を加えたものなので、理論や歴史的背景などの記述も丁寧。
「ソーシャルワーカーが考えるソーシャルワーク」を「科学的に分析」しようと試みる姿勢に共感した。

引用(主にインタビュー調査の回答結果から)
・『知識の窓を開いておく』とは、知識や理論、技術や情報を積極的に吸収し、理解のために枠組みを得ることで自分の実践の方向性を得たり、振り返ったりすることである。
・外在化とは、出来事そのものや、ものの見方から少し距離をおいて、もういちど吟味し直すことである。
・『生活の場にその人らしさを見出す』とはどういうことか…というインタビューに対する回答:
①「生きているっていうことは、何らかの価値があるんだろうなと思う。その価値を感じるところに、一緒にいられればいいなと思います」
②「その人のあたりまえさというのを保持しようとする、守り抜こうとするひとつの態度」


感覚を声に出し、そして言語化するのはとても難しい。でもその声が多くなればなるほど、単なる「感想」や「意見」にとどまらず、何かを動かすチカラになる。
ソーシャルワーカーの仕事は、未だに一般の人には十分に知られていない。
だからこそ、どのような仕事か問われた時に、自分なりの答えを持っていたいと思う。
その答えを見つけるのに、本書はとても役に立つように思う。
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