社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「在宅ターミナルケアに関する研究(その2)‐訪問看護ステーションにおける取り組みの現状と課題-」

2009-08-31 13:12:49 | 看護学
大野かおり、能川ケイ、西浦郁絵ら 『神戸市看護大学短期大学部紀要 第22号 2003.3』

大阪府、京都府、兵庫県の訪問看護ステーションにおける在宅ターミナルケアへの取り組みについて、郵送による半構造的自計式調査を実施。

結果として…
・約8割の訪問看護ステーションで在宅死の、看取りの経験がある
・亡くなった方の43%がガンであった
・最も多いステーションで、年間18人がガンで死亡している
・約5割の訪問看護ステーションが、「在宅ターミナルケアの提供」をセールスポイントとしてあげている
・33%がチームでの実践ができていないと回答している

「対象者のQOL向上を目指した看護には、症状コントロールは重要な課題であり、医師との連携が十分に行われてこそQOLの向上につながる」


少し古い論文ではあるが、訪問看護ステーションサイドからみた「在宅ホスピスの現状」を、よく知ることができた。

「チーム」はステーション内を指すものなのか?他機関とのものを指すものなのか?この論文での「チーム」の定義があいまいなのが残念。
「連携」が対象者のQOLを高めるために必須のものであるならば、ここの議論をもう少し深くしていく必要があるだろう。
「ステーション&医師」「ステーション&居宅」「ステーション&ヘルパーステーション」・・・このつながりの現状はどういう力動になっているのか、興味深く感じた。
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3 コメント

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地域格差があると思います。 (こぶた部屋の住人)
2009-10-02 23:52:32
初めてコメントします。
私は、横浜で訪問看護ステーションの管理者をやっています。
うちのステーションでは、今年1月から9月までの死亡者は42名、うち在宅死は31名です。
(年間通すと、60名位になります)
そのなかでも、エンゼルケアまで行ったのは30名です。
確かに8割は癌でした。
うちの地区の他ステーションも、かなりの看とりをやっています。
これは、在宅緩和ケアの出来るいい医師と、老衰を最後まで見てくれるいい開業医がいることも大きいと思います。
また、地域の拠点病院の多くが、地域連携室を持っていて、さらにちゃんと機能していることも重要だと思います。

在宅死を、受け入れられる風土もあるとおもいますが・・・
さらに、在宅ターミナルケアを行うためには、きちんと向き合い、積極的に勉強しないと無理です。
医師、看護師だけではなく、地域としていかに人材を育てるかが、今後の課題だと痛感しています。
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こぶた部屋の住人さん (管理人)
2009-10-03 22:24:29
コメント及び、ご勤務先についての詳細なご報告、ありがとうございます。
とても多くの方の支援をされていること、驚きました。おっしゃるように、地域での基盤が整備されているのだと思います。
それにしても、年間60名の方の看取りをされるのは、全国的にみても多いほうではないでしょうか?

また、エンゼルケアの実施は看取り総数の半数のようですが、これは主治医との役割分担等があるのでしょうか?
私が以前勤務していた診療所は、基本的に提携している訪看がエンゼルケアを…という方針でしたので。

今後ともよろしくお願いします。
返信する
とても恵まれているようです。  (こぶた部屋の住人)
2009-10-04 00:07:20
エンゼルケアに関しては、書き方にが悪くて済みません。
9月までの在宅死31名に対しての30名です。
年間通しても、ほぼ99%は当ステーションで行っています。
残りの1~2名に関しては、葬儀屋さんでの湯灌をご希望された方です。

今日も、区と在宅支援診療所との共催で、「みんなで支えるいのち」というシンポジウムを行いました。
地域ぐるみで、安心して最後を過ごせる街作り
を模索しています。

いつも、興味深い記事をありがとうございます。
ぜひ、こぶた部屋にも遊びに来て下さい。
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