社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「オーストラリアの高齢者緩和ケアの現状と課題」福田裕子(2009)

2010-06-02 10:22:39 | 看護学
『海外社会保障研究』Autumn No.168

オーストラリアにおける高齢者緩和ケアの現状を、主に文献研究によって報告している。
統計として報告されているものは、その年代がマチマチであり、純粋な「現状」とは言い難い印象を受けるが、オーストラリアの取組と、我が国への問題提起については、大変参考になる。

オーストラリアは、誰でも、どこでも、いつでも、緩和ケアが受けれられるように、国家予算を組み、積極的に取り組んでいる。


①オーストラリア保健高齢省が規定する緩和ケア対象
「特定の疾患に限らない。すべての高齢者ならびにその家族と介護者」
②オーストラシリアの高齢者緩和ケア⇒Triangle of care(ケアの三角形)
 急性期病棟、緩和ケア病棟、コミュニティ(在宅、介護施設)
 *各々が役割を明確に持ち、ケアの漏れがないようにシステム化されている
 *急性期病棟、緩和ケア病棟にはSWが配置され、コミュニティ(特に在宅)では、看護師が中心となって連携を図っている様子
 緩和ケア病棟の役割…急性期病棟から在宅移行の際に、調整期間としての入院を受け入れる。家族のレスパイトケアのための入院を受け入れるなど。
③家族ケア…介護給付金の支給、ビリーブメントケアを実施を明確化(地区別で、SWやカウンセラーらが行う)


論文の筆者もコメントしていたが、国家戦略として予算を組み、来るべき高齢社会への対応を真摯に行っている面は、我が国も見習うべきことであろう。
また高齢者に関しては、疾病に限らずに全ての人が緩和ケアの対象となる(他の年齢層については触れられていないため不明)。
適切なケアを提供できるように、スタッフ教育についても、国家予算が組まれている。

羨ましい!という言葉しか出てこない






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