社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

緩和ケアとソーシャルワーク 田村里子(2002) からだの科学227

2008-10-26 10:32:49 | 社会福祉学
この領域でのパイオニアということで、いちいち納得させられた。
そしてソーシャルワークが分かりやすく、かつアカデミックに書かれている。
ソーシャルワークの可能性について、とても考えさせられた。

引用
・緩和ケアは、がん患者の身体、心理、社会、スピリチュアルにわたる全人的な苦痛を専門職による多角的なアプローチによって緩和し、QOLの高い生活をおくることを支える。ソーシャルワークは心理・社会・スピリチュアルな領域にアプローチし、苦痛の緩和を意図する。

・ソーシャルワークのテーマはつねに、“状況の中の人”の適応と、それへのコーピングを高めることである。

・ソーシャルワークにおいてことばは、行為そのものであり(中略)…。ひとはことばによって自分を表現することで自己を解放し、他者に自己を開示する。


ソーシャルワーカーが社会的側面を支援することは、制度やサービスを紹介することである…と、多くの書物に書かれており、また「そうだろう」と認識もしやすい。しかし心理的側面を支援することは、「そうだろう」と分かっていても、また「そうありたい」と願っていても、他職種に圧倒されてその手段がとても分かりにくかった。
ソーシャルワーカーにとっての「ことば」は、単に「思いを知る」ための手段ではなく、患者さん・家族との協働作業をすすめる上での重要なツールであることを知らされた。
「ソーシャルワーカーは、話を聞くのではなく、聞かせてもらうのだ。だからこそ、対応や反応を返さねばならない」という、大学時代の恩師の言葉を思いだした。
「ことば」を介して関係を築き、支援をし…「ことば」を大切に扱える、ソーシャルワーカーは単なる情報紹介屋ではなく、そこにこそ重要な役割があるのだと思う。
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