社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「ホスピスにおける遺族ケア」 松島たつ子(2006)

2009-07-06 14:23:54 | 看護学
『家族看護』Vol.04 No.02

神奈川県にあるホスピスで実践をされた看護師による論文。
その理念、筆者が勤務しているホスピスの実践内容、わが国における今後の課題…を概観している。
遺族からの意見を取り入れつつ、様々な試みを思考錯誤で行っている様子が分かり、遺族ケアの奥深さ…難しさを痛感した。

引用
・ホスピス緩和ケア病棟における遺族ケアには標準化された方法はなく、各施設において独自の判断と工夫によって実施されているのが現状である(筆者も参考文献から引用している)
・今後の課題→ホスピス緩和ケア病棟における遺族ケアプログラムについては、時間や費用の問題、担当者の不足とともに、病棟でどこまで遺族ケアを行うのが適切かなど…
・入院中の家族の様子などからフォローが必要と思われる場合にはソーシャルワーカーが電話をする場合もあるが、1~2回で終了となっている。
・(遺族は「よい治療を受けさせてあげた」と思えれば、悲しみがいくらかは和らぐ…という前述の後)よいケアを受けられたと思えるように、療養生活への配慮や苦痛の緩和など、患者のケアをしっかりと行うことが基本となる。


 遺族ケアの期間の設定、役割分担、費用…現場スタッフがやりがいを感じ、必要性を感じていても、それを持続させるには、「思い」だけでは限界がある。
研究助成のなかで、患者会の運営や一般向けの講習会(緩和ケア/ホスピスケア普及のためのもの)等を推奨するものはあるが、それは一定期間のもののみで、以降は組織の持ち出しになる。
診療報酬に載せると、かえって対象者が限定されてしまったり、「加算を取ろう」と躍起にあり、「望まない人への押し売りの支援」も生まれてしまうかもしれない。どうすれば遺族ケアを推進し、定着させることができるのか…とても難しい

筆者は「家族の悲嘆のケアにおいて死別前から予防的にかかわる…」と表現している。悲嘆は「家族の死」から始まるものではないと後述しているところをみると、この「予防」の表現に違和感を感じる。
「継続的に」「持続的に」というほうが、私には理解しやすい。
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