社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「死生観の心理学的考察」丸山久美子 『聖学院大学論叢』第16巻第2号 (2004)

2016-01-17 08:43:19 | 心理学
 宗教間の死生観の相違を見るために手に取った。
主にクリスチャンの死生観を知りたかったのだが、当然のことながら歴史的な経緯を十分に把握しないと理解を深めることができないため、難解であった。

引用
・現代の日本人の死生観…日本は一般に結婚式は神式、葬式は仏式などの習慣を有し、日常生活の至る所で多神教的色彩が強く、有り体には無宗教的社会を形成している。依拠すべき絶対的権威(神)が存在しない社会では、死は突然襲いかかる矢はであり、無である。しかし、人間は必ず訪れる死を自覚した時、それをいかに処置すべきかを時代状況に関わらず重大な問題として取り上げなければならない。殊更死を口にすることはタブーである。それ故、草葉の陰で見守り続けている先祖崇拝が信仰の対象になり、生まれ変わりの思想が発展し、生死輪廻、輪廻転生等の思想が仏教と結びついて民衆の中に浸透したとみるべきである。

・あらゆる宗教的核心は死を堺にして、あの世とこの世が存在するというメッセージにある。キリスト教もイエスの死を通して復活と永遠の命に至る筋道をつけた。イエス・キリストだけが知っているあの世(神の国)のことをキリスト教者は全てキリストに委ねつつ永世の思いを強めるのである。


 死を前に、人はその意味問い、そして自身の価値等に思いを馳せる。それはとても苦しく、辛い作業であると想像するが、看取る周囲の人間も同様であろう。
その人たちへの理解を深めるためには、思想の根幹となっている宗教観を理解することがひとつの糸口になりうるだろうが、筆者がしてきているような無宗教的社会である現代では、なかなか困難であると痛感した。
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