社会福祉士×ちょっと図書館司書の関心ごと~参考文献覚え書き

対人援助の実践、人材育成、図書館学を中心に気まぐれに書物をあさり、覚え書きをかねて投稿中~

「高齢者の終末期ケア ケアの質を高める4条件とケアマネジメント・ツール」

2010-08-04 10:50:39 | 社会福祉学
樋口京子・篠田道子・杉本浩章・近藤克則/編著 中央法規(2010)

質の高い終末期ケアの条件提示と、それを実践するためのツールを紹介。
多くの事例を分析し、かつ多職種によって検討・立案されただけあって、とても具体的にまとめられていて現場でも活用しやすい印象を受けた。
また、ツールを活用した事例研究については、その事例を読むことで、自身でどう取り組めるのか…といった糸口を見出すことができると感じた。

引用
・悲嘆反応とグリーフケアについて
慰めや励ましを必要とする時期は死別前後だけではなく、四十九日法要や一周忌の頃までも続いていた。家族が看取ったことの意味づけを完了できるように、死別の意味づけの促しや家族に対するグリーフケアの立案・実施を進めていく必要がある。

・ツールを活用した事例紹介の一節から…
☆介護スタッフに対しては、看護師から終末期ケアの観察ポイントやケア技術のレクチャーを受ける場を設けたり、緊急時の対応を具体的に作成したりした。
☆家族へのグリーフケアの必要性を感じた介護スタッフがアルバム作りに取り組むようになったり、介護スタッフへのグリーフケアとして、カンファレンスや看護師のかかわりといった動きもみられた。
☆「死は日常生活の延長にあるもの」と、死を待つのではなく本人らしく今をどのように生きるか、そのための支援は何かを自然と考えるようになっていた。
☆「本人の意思」を軸にして考えるようにすると、多職種間でのケアの視点のブレを防ぎ一貫性を持つことができる。


これまで、医療職向けの「看取りマニュアル」的なものは多く出ているが、社会福祉従事者もしくは社会福祉施設での看取りについては、ここまで具体的に活用できるものはなかったように思う。
介護職と看護職の役割分担、介護職だからできること、看護職だからできること…そういった当たり前のことを、ツールを活用することで分かりやすく共有しやすくできると感じた。

高齢者の終末期ケア―ケアの質を高める4条件とケアマネジメント・ツール
樋口 京子,杉本 浩章,近藤 克則,篠田 道子
中央法規出版

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コメント (5)
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