島田千穂、伊東美緒、児玉寛子/第67巻第7号『厚生の指標』2020年7月
その人の人生の終わりの時期に深く関わっていくケアマネージャーを対象に、質問紙調査を実施している。
「どのように過ごしていきたいか」の対話について、高齢者本人、そして家族と、どのくらい・どのように行っているのかを確認している。
引用
(調査結果から)
・ケアマネージャーの97.8%が、人生の終盤に備えるための準備支援が必要と回答し、その必要性は高く認識されているにもかかわらず、8割以上の利用者に対して事前に対話していた人は12.0%にとどまった。
・ケアマネージャーの基礎資格との関連をみると、利用者本人、家族との事前対話頻度との優位な関連は見られなかった。
・ケアマネージャーの介護に対する介護規範意識によって、本人との事前対話への関与の程度は異なり、(中略)家族が看取りにかかわるべきと考える人ほど、本人との対話は少なくなっていた。
「人生をどのように終えたいか」「どの程度までの積極的な治療を希望するのか」など、人生の終盤には、事前に決めておきたいとても大切な事柄が詰まっている。
その人の終わり方は、家族の意向に左右されるかもしれないし、その時に関わっている専門職の価値や力量に左右されるかもしれない。それゆえに、ある程度は明確に、意思表明をしておく必要があるのだと思う。
今は望めばどこまでも、「生き長らえる」ことができるようになった。だからこそ、自分のしんどいと感じることを、早めにわかりやすく、家族や近しい人に伝えていければと思う。ケアマネージャーのみならず、人の生活を支える人たちには、「死」をタブー視せずに、日ごろから話し合えるきっかけを作っていって欲しいと願う。