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前回のなんでや劇場では、市場の起源、市場が成立する原理について話しました。
ちょっと復習。
市場が成立する原理とは・・
1.富の集中
2.幻想価値⇒価格格差の捏造
大きくこの2つの条件が揃えば市場が成り立つ。
集中している富(金余り)に対して幻想共認を図り、富を奪う方法。これが市場なんですね。(この一文だけ見るとかなり、えげつない感じがしますねえ・・)
ということで今回は、この市場が成立して以降の変遷、そして現在に至るまでの話です。2回に分けて報告します。
まずは、歴史に沿った市場の変遷から。大きくは以下の4つに分かれます。(交易の名前はオリジナルです)
①:遠征交易(~AC1,000年頃)
この時代は、王国(帝国)の王に富が集中しました。この王に対して商人は、いかに希少価値のある、珍しいものを売り込むかが商売の鍵。例えば、身近にないものを持ってくることが求められました。
その事例としては、シルクロードが挙げられます。
今の中国から西アジアあたりまで、延々と絹を運んで商売していました。
そしてその頃のシルクロードは点と点を結ぶだけで、その途中の町などが潤ったわけではありません。あくまでも限られた王(富の集積場)への一方通行だったのです。
②:域内交易(AC1,000年~1,300年頃)
この頃になると、領土も大きく安定してきて、王だけでなく地域ごとの領主(日本で言えば県知事?とか)が現れます。
領主が富を集め、王に届ける形態になってくると、領主にも富が集積し始めます。そうして交易の対象が広がり、商業の拠点の町(都市)も出現してくることになります。
例えば、ベネチアなど港町。交易ルート上重要だったため栄えたようです。(日本では後の大阪、堺など)
しかし交易の対象は領地内の王や領主のみで、市場は拡大していません。
③:侵略交易(AC1,300年~1,700年頃)
ルネサンス期に発達した主な技術は、活版印刷、羅針盤、火薬です。これらの技術は概ね軍事技術として発達していきましたが、それと同時に航海技術も発達していくことになります。
そうして大航海は技術的には可能になりますが、お金が掛かります。つまり、この当時の大航海は国家事業だったのです。
なぜか?
地中海沿岸で交易を行っていたヨーロッパ諸国ですが、東方のイスラム勢力(オスマン帝国)に支配され、交易がままならなくなったのです。
そこで、スペイン、ポルトガルなどの王は富の拡大に繋がる、新たな領土(=植民地)を求めた。だから国家が大航海を支援したのです。その功績がアメリカ大陸の発見。
こうして新たな領土を手に入れた王は富を拡大させていく。富の拡大が市場の拡大に繋がっていくのです。
④:産業交易(AC1,700年~)
富を拡大させた王は市場拡大の旨みを知り、軍事力→生産力の向上に力を注ぐようになります。
そこで生まれたのが英国の産業革命。
技術革新とともに大量生産が可能になり、富の蓄積も中産階級まで拡がっていきます。(富の拡大)
また、市場の拡大=幻想共認の拡大に伴い、これまで農村で小麦を作っていたのを、幻想価値が高い毛皮用の羊の牧畜に変えていくと、労働力が余りだす。その労働力は市場の魅力ある都市に向かうことになります。
こうして都市が成立し、都市生活者にとっては市場が不可欠のものになっていく。 このように都市とともに市場も拡大していった。
これが現在までの流れです。
特に侵略交易以降、市場は拡大し、産業も変化してきた。
改めて、市場拡大の原理とその構造とは・・・
続きは次回ということで・・。
市場構造はこれまでも何度か分析してきたつもりでしたが、今回、劇場を通して新しい気づきが非常に多く、今までぼんやりとしか掴めていなかった構造が鮮明になりました。
特に、市場の4段階分析は、凄くすっきり。
また面白かったのは、市場構造を扱う中で、十字軍・ルネッサンス・大航海時代・産業革命・市民革命などそれぞれの歴史的現象がどのような構造で起こり、何をもたらしたのかが、解ってきたこと。
これらは全て高校の世界史で習いますが、それぞれこういう事が起こったという程度の知識しか習わず、深く追求することはありません。しかし、改めて追求してみると非常に奥が深く、複雑な因果関係で結ばれていることが見えてくる。これらの現象を繋ぐのは、「国家と市場」と言う構造。
今回の劇場を通して、改めて、なんでや劇場の切り口の鋭さと追求力を実感しました。
>価格格差の捏造
って超重要な認識ですね。
そこで、どうやったら価格格差をつけれるかと、一生懸命考えている連中が、新たな幻想市場を作っていく。
先物市場とか空売りとかって、時間差を使った価格格差の捏造だよね。
そういえば、住宅ローンなんかもそうだよね。
ピンとこない?ってあなたは、すっかり市場の住人ですよ!
ロシア帝国の領土拡大は貴婦人の襟を飾る黒貂の毛皮を得るためになされたという逸話を思い出しました。
確かに、産業交易から次の段階の市場が造られているような気がします。
マネーがマネーを産む市場が、イランなどほんの一部の国を除いてほぼ全世界を覆い尽くそうとしている。
日本もまじめにモノ造りをしていても一夜にして乗っ取られてしまいかねない状況になりつつあるし、とてもヤバイと思います。
マンションの仕事に係わっていますが、「快適な」「使いやすい」というだけではマンション市場では売れません。(破格の安値なら別ですけど)
売れるためには付加価値とかデザインが重要なんですが、「幻想価値」という切り口はすごく鮮明ですね。幻想が市場拡大の正体だとわかれば、そしてどういう幻想がもてめられているか?を考えれば売れるものができそうです!
広告宣伝も大事ですね。(=幻想共認の拡大)
続きも期待しています。
維持するためには更なる幻想を積み上げるしかないがそれも限界。
世界の市場が大きく変わろうとしている今、その動きを注視していく必要がありそうだ。