辞書を引く。

2009-05-24 09:29:29 | ギター
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5月に入ってからは、キューバのギタリスト、作曲家の
レオ・ブローウェルの作品に取り組んでいる。
名曲「舞踏礼賛」は私が生まれる2年前の1964年に
既に作曲されている(!)。
当時のギター曲としてはかなり斬新な作品だったと思うが
それでも決して無機質な響きの作品ではない。

繊細な表現を要求されるこの作品は第一曲<Lento>
から楽譜に細かい指示が書き込まれている。
悩まされたのは冒頭の和音に付された
(lasciare vibrare)の意味だ。
辞書を引くのは嫌いではない。
元々語学は好きな方なので日本語でもスペイン語でも
単語の意味を辞書で調べる事はおっくうではない。
通常音楽用語はイタリア語で書かれる事が多いが、ギターの楽譜は
作曲者の母国語で記入される事も結構ある。
キューバの公用語はスペイン語なので今回も待ってましたとばかり
スペイン語の辞書を引くが、載っていない。
lascar(緩める)という動詞が一番怪しいが変化がおかしい...。
スペイン語の場合、いつも悩まされるのが動詞の変化だ。
原形から大きく変化している場合、そのまま辞書で弾いても
見当たらないのだ。

そこで思い切ってlasciareをヤフーの検索欄にそのまま打ち込んで
検索してみた...。
するとやはり思った通りに沢山検索結果が出て来た。
結果はイタリア語。
lasciareは~させるという意味らしい。
以前、ディアンスをやった時にはフランス語の辞典を買ったが
今度はイタリア語も必要か...。
しかし、ネットで検索すると大体の事が分かってしまう。
逆に情報ソースが多すぎてどれが正しい情報なのか迷ってしまう事も多い。
だいたいここまでで一時間かかってしまう。
最初からネットで検索すれば良かったか...。
辞書で単語の意味を調べて文書の意味が分かった瞬間の感動は
結構好きなのだが...。

写真は例の胡蝶蘭。
去年の秋に季節外れの植かえなどしてしまって
冬には大分元気をなくしてしまい、春になってもなかなか
新しい葉っぱを出さないので枯らせてしまったかなと思っていたが
大丈夫だった。
暖かくなると大急ぎで茎を伸ばし始め、そのうち一つが花をつけてくれた。
凄い生命力だ。
胡蝶蘭はあまり手をかけすぎてはダメらしい。
ものぐさなタイプの人に向いていると物の本にも書いてある。
毎日そばで見ているとついつい手を出したくなる。
ついつい口を出したくなる。
他の事にも当てはまりそうだ。




学生ギターコンクール第一次予選

2009-05-17 11:05:35 | ギター
先週の金曜日は池袋の要町でGLC学生ギターコンクールの第一次予選だった。
会場はプラサギターラ。去年の秋コンサートで出演した3階ホールで行われた。
プラサギターラは老舗のギターショップだ。私も学生時代にはたまに出かけたが最近はご無沙汰にしていた。
ところがここ半年は何かと用事があって長岡社長とも久々にお会いできた。

さて、第一次予選(テープ審査)の方は午前11:00から二班に分かれて行われた。送られて来た封筒から
申込書と演奏が録音されたメディア(カセットテープ、MD、CDという人もいたようだ)
を取り出し、それらの番号を振って整理する。審査員全員でスピーから流れて来る演奏に耳を澄ます。
私たちの班は小学生の高学年と大学生の審査を任されたが、特に小学生の音は元気だ。
審査は順調に進められ殆どの参加者が一次予選を通過した。

私たちの班だけで合計50本以上の録音を聴いた訳だが、とくにMDの再生では苦労するものもあった。
一口にMDといってもメディアの種類や録音方式も様々で、再生する機械の機種によっては再生できないのだ。
最後の一本は3台目の機械(お店の試聴器)をお借りしてやっと再生。無事審査する事が出来た。

審査後は恒例の打ち上げ。仕事の都合で帰られた先生方も多かったが私はせっかくの機械なので参加させて頂いた。
さて、街に繰り出そうと時計を見るとまだ3時半。審査が予定よりも早く終了したのだ。
まだ居酒屋は開いていないだろうという事で会場はビヤホールに早変わり。
このホールはそのまま打ち上げ会場となる機能を持っている。
ステージと半値側に小さなバーカウンタがありそこにビールサーバーが据え付けられている。
社長がカウンターの中に入ると瞬時に「マスター」に変身。妙に似合っているから不思議だ。

打ち上げは永遠と続いた。ギター界の先輩から沢山の有益なお話を聴く事が出来た。
ふと時計を見ると10時半。すっかりいい気分になっておられた師匠と共に会場を後にした。
このお店の嬉しい所の一つはアクセスの良さだ。エレベーターホールを出るとすぐ地下鉄
有楽町線の4番出口。
この日も地下鉄でと入り口に入りかけた所で師匠が「歩かない?」と一言。
そう、要町はJR池袋駅まで歩いてもすぐの所。
この時期にしては少し冷たい夜風に吹かれて心地よかった。
池袋駅までまた師匠とおしゃべり。
駅に着くとちょうど宇都宮線の最終電車がホームに来る所であった。
有意義な一日であった。



頭蓋骨の記憶。

2009-05-14 10:20:53 | 日々の考え事
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私がギターを始めた頃は今みたいに何でもある時代ではなかった。
音を合わせるにしても、初めはピッチパイプでしていた。
ピッチパイプは今ではあまり見かけないが、まだ存在するのだろうか。
随分前に処分してしまったが今思えば取っておけば良かった気がする。
初心に戻れる気がするからだ。

ピッチパイプとはギターの解放弦の音程が出る六穴のハーモニカである。
確か初めてのギターを手にして、いざ弾こうという時になって、
音合わせはどうしたものかと戸惑っていると、当時はまだ私より
ギターに関して詳しかった父が、「ああそれはね...。」と得意げに言って
どっかで買って来てくれたものだった。
初めはなかなか合わなくて、そのうちピッチパイプの振動で
口からこめかみ、頭全体がしびれてくる。
今でもあの、特に低音弦側の「ブワー」とした振動が
頭蓋骨の裏側にでもしみ込んでいる様で
ピッチパイプを思い出すとその辺がなんだか今にも振動しそうだ。

本格的にギターを習うようになってからは音叉を使った。
今思えば初心者が音叉で正確に音を合わせるのは難しかったはずだ。
子供だからといって甘やかす事のなかった山中師匠は厳しかった。
最初の頃は調弦にレッスン時間のほとんどを費やした。
もっとも、その頃小学生は僕一人だったように思う。
まだまだ「大人の趣味」だったのである。
自慢ではないが器用だった方の僕はそれでも割合早く
調弦の仕方を覚えたように思う。
それでもやはり、膝が痛くなるほど音叉を叩いたのを覚えている。

電子チューナーが登場したのは大学生の頃だったように思う。
当時は値段が高く2万円程もしたが、なにより正確だったのと
機械好きだったのもあって飛びついて購入した。
それまであった針のメーター表示に変わって反応も良く、
合わせる弦によって切り替えも必要ない便利さには驚いた。
加えてカセットテープほどのコンパクトなサイズ!。
今ではさらに機能を高め、マイク付きのクリップ式と言う
画期的なものまで登場している。
価格も¥3,500くらい!これ以上望むべく物もない。
教室のレッスンでもこれをお勧めしている。
初めての人には簡単で正確に音をあわせられるからだ。

しかし、考えてみるとチューナーがなかったお陰で私の耳は鍛えられた。
ピッチパイプのしびれるヴィブレーション、あるいは口にくわえた
音叉の冷たい金属音と、ギターの音との間のずれに
よって生じる音のうねりをそのまま頭蓋骨で感じる事が出来た。
音と音がぴったり重なり合うのが耳より先に頭蓋骨を通して伝わってくる。
これは今はなかなか体験できない事かも知れない。
お陰で最近は、チューナーがなくても誤差+-10セント位の精度で
チューニングできる。
かくいう私も今ではすっかりチューナー派だが...。
家では、据え置き型のLED表示のチューナーを練習中はずっと付けっ放し。
頻繁にチューニングするからだ。

便利さと引き換えにに失っていくものは必ずある。
あれがないとこれが出来ない、これがあると便利...と
いつの間にかわがままになっている自分を反省して
大事な事を見失わないようにしたい。
他人に文句を言う前に自分に出来る事をしなければ...。
いつしか大好きだったはずのギターの練習や音楽の勉強が
自分にとって面倒なものになってしまってはいけない。

写真は最近はまっているスコット・テナントのテクニック・ハンドブック。
コンサートなどが一段落したら必ず一度自分のテクニックを見直す事にしている。
ホセ・ルイスのテクニック・ノートは長年使って来たし最近はレッスンにも取り入れているが、
スコット・テナントのも凄く効果ありそうだ。


リフレッシュ

2009-05-05 06:49:58 | インポート
リフレッシュ
家族と共に那須にキャンプに来ている。 心配していた天気もまずまず。 爽やかな森の朝を楽しんでいる。 昨日の夕方は、今年遂に購入するに至ったテントとタープを張るのに一苦労した。 暗くなるのが早い山の夜に焦らされた。 焚き火との距離やテントとのつながり、動き安さなどを考えるとなかなか設営位置が決まらない。 夢中になって張り終えると、1時間ほど経っていた。 初めて張ったわりにはまずまずか…。 山の中で食べる食事はとにかくウマイ! 何も特別な物でなくても普段食べている何て事ないものの方がそう感じる。 今日は1日昨日テントとの格闘のせいであまり相手にされず不満を募らせている息子に付き合うこととなりそうだ。