なごらいの活動レポート

なごや外来種を考える会
・・・略して「なごらい」です。
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「セアカゴケグモ・マダニなど危険生物に関する講習会」

2015-10-13 | 日記
‘15年9月20日10:00~12:00
モリコロパークで上記タイトルの講習会を開催しました。なごや環境大学の共催です。
講師は(公社)愛知県ペストコントロール協会所属の朝長昌樹先生にお願いしました。
名古屋で今身近に迫っている危険な生物はこの2つではないでしょうか。それにもかかわらず情報が不足しています。特にマダニは新聞記事で死亡事故が紹介されても対策が報じられていないので、外来生物ではありませんが敢えて講演してもらいました。講演内容の要旨をまとめて記します。
 

【セアカゴケグモ】
全国では42自治体で確認 愛知県では木曽三川公園、セントレアをはじめ各所、名古屋市では16区中15区(千種区以外全区)で確認されている。
愛知県では2005年セントレアの滑走路付近で初めて発見され、それ以後10年間でコンテナ車などに紛れて名古屋市中、愛知県各所に広まった。
おもに住みつく場所は、駐車場近くの公園のベンチ裏・側溝内、水抜き穴や、建物・人工構造物の穴や凹み部分。パチンコ店、大型スーパー、公共施設など車の多く集まる場所。
特定外来生物に指定されており、生体の移動は法律で禁止されている。
形態:メスは体長10~14mm 丸くつやつやの黒い体 背面に赤い菱型 腹面に赤い砂時計模様。 オスは体長2.5~3mm 褐色の体に淡色の斑紋。
巣網は不規則なつくりで弾力が強い。営巣場所は膝より低い箇所が多く、ベンチ下・側溝ふたの裏側・ガードレールの支柱付近・壁面の水抜き管内・フェンスの基部・花壇のブロック内・墓石など日光の当たらない場所を好んで営巣する。餌は網にかかった昆虫で大型のバッタ・コオロギ・クロゴキブリなども捕食する。
メスは1回に3~5個の卵嚢を数回産卵する。白っぽい球状で直径は10mmぐらい。1つの卵嚢には200個の卵が入っている。卵からふ化後メスは約70日、オスは40日で成熟する。
毒は神経毒。直接いじめなければ向こうから攻撃してこないし、噛まれても死亡例は少ないが、非常に痛くてリンパ節が大きく腫れ上がり発熱もする。
セアカゴケグモの駆除方法は殺虫剤が効果的。ただし卵嚢には効かないのでエタノールに漬けるかバーナーで焼く。駆除作業中、軍手をはめればその上からは噛まれない。保健所などで対応してくれれば問合せても良いが、事例が多すぎて自己責任での処理が求められることが一般的なようです。

   

【マダニ】
マダニは日本中に47種いて、媒介する感染症のうちSFTS(重症熱性血小板減少症候群)が特に危険で2013年以降国内で発見され、死亡率が3割弱と高いです。SFTSウイルスは西日本中心に発症していて、2013年には33名が感染しています。季節的には5月が多いです。特に高齢者は重症になりやすく、有効なワクチンなどがないので、予防に頼るしかありません。
愛知県ではマダニは多数生息しているが、STFS感染者はまだいません。でも隣の三重県まで発症しているので、注意が必要です。
マダニの生息域はシカ・イノシシ・ノウサギが出没する環境に多く、里山の裏山・裏庭・畑・草地などにも生息します。こういった野外で活動する人は、マダニの予防策の必要があります。マダニから身を守るには、腕・足・首など肌の露出を少なくしましょう。長袖長ズボンで袖や裾を軍手や靴下の中に入れる。フィールド活動の際には、できれば長靴着用が好ましい。また最近ではディート成分を含むマダニ除けスプレーも売っているので、足元に使うと防除効果が期待できます。もしもマダニに噛まれても、痛くも痒くもありません。ただお風呂に入った時に1週間以上も1円玉の2割~8割の大きさのマダニが食らいついたまま、ずっと吸血を続けているのに気づくそうです。これは無理に引き剥がすと牙部分が残って炎症を誘発するため、皮膚科などの病院で取ってもらいましょう。SFTSの発症期間まで1~2週間です。マダニによるSFTS感染は、死亡に至る危険にもかかわらず現在治療法がないので、予防しかありません。スライドは国立感染症研究所のホームページから転載しました。http://www.nih.go.jp/niid/ja/sfts/2287-ent/3964-madanitaisaku.html



朝長先生の講習会の後、休憩をはさんで、なごや環境大学の紹介イベントが行われました。
講師は実行委員の岸田眞代先生。後半ではなごらいの野中も座談会に参加しました。

 

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