長野周辺の山歩きと山野草

長野県北部を中心に山歩きと野草の開花状況を報告しています。植物の不思議な生態についてもレポートしています。

國母和宏さんと「問われる日本人の“言語力”」

2010年03月02日 | エッセー
 2010年2月12日から28日にかけて行われていたバンクーバーオリンピックが終了しました。同年齢のキム・ヨナさんと競い合う浅田真央さんの演技とその努力など、感動の場面も数多くあったようですね。日本の成績が、スケート競技 > スキー競技というのはどういう理由なのかは興味があるところです。しかし、トリノの時ほどは集中して観戦してませんでしたので、競技外の注目点について記事にしたいと思います。

 男子ハーフパイプ決勝で果敢にダブルコークに挑んだ國母和宏さんでしたが、転倒し顔から出血してしまいました。全くお気の毒と言う他ありません。実はこの選手、服装の乱れでJOCから厳重注意を受けていたのですね。そのニュースは知らなかったのですが、代表に選ばれるほどの人が厳重注意というのは腑に落ちなかったので、得意のウィキペディアとYouTubeで調べてみました。

 バンクーバーへ出国する際、乱れた服装で成田空港に現れ「結果よりも内容。格好いいと思ってもらえればいい。最近のスノーボードはすげぇダセえから」とインタビューに答えたと言うもの。出国の様子を見た人々から抗議が殺到し、日本選手団公式服装着用規定に抵触していることもあり、JOCはスノーボード監督などに厳重注意したということでした。さらに、会見で服装の乱れについて問われると、監督?に促されて「反省してまーす。」と発言。しかし記者から問われた際に舌打ちして「うっせーな」とつぶやいたのがマイクにひろわれていました。

 その他の発言では、「気持ちは何も変わっていない。自分にとって五輪はスノーボードの一部で、特別なものでない。」や、競技が終わってからは「いろいろあったけれど、最後まで応援してくれた人には感謝しているし、自分のスタイルと思いを最後まで曲げなかったので、それはいいことだと思っている」と突っ張った答えをしていました。前回大会トリノオリンピックでの記者会見では、同じハーフパイプ代表の選手を馬鹿にする発言をしたり、選手村の壁を破るなど生活態度が悪かったということでした。


 驚くことにプロスノーボードライダーだそうです。こんな人となりでお金を稼げるのでしょうか。人の稼ぎについて心配しても仕方ないですけどね。上記の要約でも國母さんとはどういう人なのかは分かりますが、私なりに分析してみますね。

「乱れた服装」と言っても、なぜ日本選手団公式スーツを腰パンにしてだらしなくシャツを出していたのでしょうか。スーツが嫌ならクレーム覚悟で私服にすれば良かったはず。敢えて公式スーツを着用した理由とは?
 おそらく、規則や権威・強制に対する反発心と自己顕示欲のためだと思われます。想像してみますに、服装の指示を拒否して私服で現れる度胸もなく、かと言って強制に対する反発心と「自分は他者とは違うのだ」という自己顕示欲により他の選手のように正しく着られずにあの風貌になってしまったのではないでしょうか。21歳にして、心が中高生のレベルというのも悲しいものがあります。成長過程での周囲の配慮不足が原因ですが、20歳を越えたら自分自身で責任を持たないとね。
 さらに、スポーツで競い合う以上、そのルールを守り地道な練習を積み上げないと良い成績は残せません。逸脱行為で自己顕示欲を満たそうとする人は、本来トップクラスにはなれないものなのです。ところが國母さんはオリンピックで入賞しました。心根の部分では純粋で素直なのだと信じたいと思いました。



 そこで、最近NHKで放送された「追跡 A to Z」という番組で採り上げられたテーマ「問われる日本人の“言語力”」を紹介したいと思います。

 今、企業や学校で考えを整理して書いたり話たりする言語力で苦労する人が増えている。報告書をまとめることができない若手社員。何がしたいのかを筋道立てて説明できない生徒。言語力をどうすれば高めることが出来るのか。日本人の言語力に一体何が起きているのか追跡する。・・・・というコンセプト。
  言語力とは・・・自分の思考や知識・感性などを整理して分かりやすく伝えることを円滑に行える能力のこと。


だそうです。この番組はNHKオンデマンドで見られるのでしょうか。教育関係者など興味ある方は是非ご覧になってください。

 國母さんが発言した内容や状況を見ると、まさに低下した言語力を表していると感じます。心根の部分では素直なのに、全くそれが外部には伝わってきませんでした。なぜ、あの風貌をしたのか、自分の考えを全く説明せずに隣の監督?の口写しで「反省してまーす」と答えただけです。服装以上にあの会見に失望した人も多かったのではないでしょうか。

 一方、同じスポーツ選手といっても、浅田真央さんを始めとしたフィギュアスケート選手や石川遼さんや宮里藍さんなどゴルフ選手は若くても皆さんコメントが上手ですよね。受け答えもしっかりしていますし、気持ちが伝わってきます。一流とは技術が優れているだけでなく、言語力も大切なのだと思います。そして皆に夢を与えなければいけません。

 言語力が低く、不良じみた選手のスポンサーになろうという企業があるのでしょうか。言語力が低い人に後継者を育てることができるのでしょうか。たとえ、技術は一流でも選手生命が短いのがスポーツ選手。皆が期待しているのは自身の成績を伸ばすこと以上に後に続く人にその技術を伝えてほしいということです。今のままの國母さんでは・・・どうなのでしょうね。言わずもがな。「自分のスタイルと思いを最後まで曲げなかったので、それはいいことだと思っている」は、ダブルコーク挑戦を指してのコメントなのかもしれませんが、「考え方」については早期に変えた方がいいと思うのですがね。

 番組で指摘している言語力低下の原因は、携帯電話・メールの普及と「書く」「話す」ことが教育現場で軽視されたことだそうです。ドイツの教育現場に取材に行っていていました。生徒に自分の考えを説明させたり、他人と異なる意見を発表させたりしていました。抽象的な絵を見せて何に見えるのか意見を言い合うのです。知識を身につけさせるというよりは言語力も鍛えているのですね。社会に出て働き出すと、学生の頃に習った知識で役に立つのは各職場で限られています。多くの知識が役に立ちません。一方、言語力は入試対策としては優先順位が低いですが、社会に出てから最も大切な能力なのではないでしょうか。日本の製造現場でも言語力の低下により技能伝承が行き詰まっているそうです。トヨタのリコール問題はその一例だとは思いたくはないですけれど。社会に有益な人材を育てるためにもドイツを見習う必要があるのかもしれません。
 それから、サッカーチームも取材していました。言語力が低いために自分の考えを仲間に伝えられず、組織立ったフォーメーションが組めずに世界で成績を残せないというのです。そこで言語力を磨くべく研鑽を積んでいるというレポートでした。

 「國母和宏」でネット検索すると賛否両論書かれている状況。常識が無いと言う意見ももっともですが、國母さんには態度を改めて本来の素直な気持ちを上手に表現していただきたいものです。お手本は2歳年下の真央ちゃんです!