海 その15
かってはカラー写真は高価で手の届く所になく、モノクロが普通でした。昭和40年代になって、画質も上がり価格もたまに使える範囲に入ってきました。それでも最近までモノクロ写真にこだわっていました。「色に惑わされることなく、被写体の真実を捕らえる」がその理由付けでした。友人のプロの写真家は、今でもモノクロにこだわり「シーガル倶楽部」を主宰していますが、白黒写真の魅力は捨て難いものがあります。
昭和42年10月、転職したばかりの職場の慰安旅行で伊豆へ行った時の風景です。自家用車(当時は、車持ちがまだ少なく、羨望を込めて呼んでいた?)数台に分乗して連れて行かれたので、場所が特定出来ませんが、下田の爪木崎、宇佐見、吉佐美辺りの国道から細い道で逸れてたどり着いた海岸としか思いつきません。
白黒写真への拘りは、先ず躍動感
そして質感
カラーに負けないためには、光線の扱いにつきると信じています。
それでも旅行写真では、被写体の説明が必要ですが、色がないので特徴を図柄だけで出さなければなりません。当時、まだ富裕階級の特権だった別荘ですが、職場のボスは海際に手に入れようと、下見のためにこの場所に来たようでした。しかし、この写真では、質感は出せても、被写体の高級感までは表せなかったようです。
現在は、モノクロから遠ざかりつつあります。モノクロの現像所も少なくなり、細かい注文を付けても焼き上げてくれていた個人ラボも、老齢により廃業してしまいました。しばらくは、機材を買い求め自身で引き伸ばしをしていましたが、年に勝てなく、狭く暗い暗室内の長時間の作業が苦痛になり、カラー写真の軍門に下る事にしました。
この先、デジタルカメラの世界に入れば、暗室作業なく引き延ばせるので、白黒の世界に舞い戻れる???いえ、全紙版のプリンターなど、とても手が出ません。
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