漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

「アスコルビン酸」と「ビタミンC」

2017年05月10日 | 食べもの
むかし、まだホカホカ弁当の店が珍しかったころ、
店頭の人だかりのなかに、

主婦らしき人が多いので、
「あれはなに?」我が同居人ドノに訊いたら、

「アレ、ご飯を買うみたいよ」と教えてくれ、
「エ、白いご飯だけを買うの」と、大いに驚いたことがある。

昼食の一人分を炊くのは面倒、と云うことだったらしい。

そのうちに、
缶ジュースと並んで缶入りのお茶が売られるようになり、

更にペットボトルのお茶が登場して、
その容器がだんだん大型化、一ℓから二ℓとなってスーパーに並ぶようになった。

このあたりで、私もサスガに気が付いた。

あれは外仕事の人が買うのではなく、
家庭の主婦が、家族に飲ますために買うのだ、と。

お茶なんて、
湯を沸かして茶の葉を入れるだけじゃないかと、

時代遅れの認識しかなかった私は、
スーパーまで行って、重いペットボトルを持ち帰る方が、

余程に面倒に思えていたのである。

しかし、そのころから、
家族みんなで団らん、という風景が消えつつあったのだ。

残業や飲み会などあり、そとで食事を済まして帰るダンナ、
子供たちも塾や部活で時間が不規則、

かくて、いつ帰って来ても飲めるよう、
冷蔵庫にはお茶のペットボトルが常設、となったのだが、

あれは確かに、
長時間置いても色が変わらず便利だが、なんか、あやしい。

普通に家庭で入れると、
お茶は時間がたてば変色すると云うのが常識なのだ。

で、私は昔、理系の大学を出た若い人に聞いたことがある。

「ペットボトルのお茶って色が変わらないけど平気なの?」と。

その娘さんは、屈託のない顔で、
「あれはレモンを入れてあるからですよ」と明るく答えてくれた。

その時の私は、
あいまいに笑ってすませ、特に調べることもなかった。

なにせ私は、ボトルのお茶など滅多に飲まないのだから。

処が、最近になって、
ボトルのお茶の成分の処に、

「ビタミンC」とあるのは酸化防止剤のことだと知った。

学名だと「アスコルビン酸」と云うのだそうだ。

そこで、思い出したのが、
はるかむかし、「レモンですよ」と笑った娘さんの明るい顔。

フ~ム、確かに「ビタミンC」と書いてあれば、
当時の常識として、「レモン」と連想するのはムリもないが、

「アスコルビン酸」と書いてあれば、
また反応は違ったんだろうな、とチョット思った。




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