漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

坂東玉三郎

2010年08月08日 | テレビ 映画 演芸
映画の撮影中、
遊女役の吉永小百合さんが、客にお酌をする場面があってね、

両の手でお調子を持って酒を注ごうとするんだけど、
吉永さんはああ云う方だから・・・ネ、

なんだか女学生がお酌をしているようでぎこちない。

その時、監督の坂東玉三郎さんが、

「小百合さん、手でお酌をするんでなくて肩でするんですよ」と、
自分でも仕草をして演出をつけた。

すろと、不思議なことに、
吉永さんがプロの遊女のように見えたんですよ、

私は横で、それを見ていて、ゾクッとしてね、・・・。

その映画に出演していた樹木希林さんが
ゆうべのテレビ、「スター・坂東玉三郎」の中で、そう語っておられた。

「肩でお酌をする」と云うのは、
片手で銚子を持ち、
片方の肩をちょっと下げると云うことらしいのですが、具体的には分からない。

ただ吉永さんは大スターだから、
リアルな娼婦を演じさせては大勢のファンの夢を壊してしまう。

つまり、いくらリアルにと云っても、
カネさえ貰えば、今日、初めて合った男とでも同衾すると云う、
娼婦の匂いがあまりに露骨ではいけない。

いかにもアバズレの娼婦と云う風にしてはいけない分けです。

ただし、やっぱり遊女なんだから、
「女学生のお酌」では、映画を見る人が白けてしまい、感情移入できない。

そのバランスを取ったのが、
「小百合さん、肩でお酌をするんですよ」だったのだろう。

歌舞伎の舞台での、玉三郎さんの遊女役を思い出して、
テレビを見ていたこちらも、「ゾクッ」としたのでありました。








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