漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

往時茫茫

2009年09月23日 | スポーツ
プロ野球の無い日は、
スポーツ紙の一面を、新人獲得の記事が飾るような季節になってきました。

プロ野球の球団数が決まっていて、
支配下選手の数が規定されている以上、

来る人があると云う事は、
その分だけ去る人があると云うのがこの世界でして、

先日は、パリーグ、
ロッテ・マリーンズの小宮山投手が引退するとの新聞報道がありました。

この人の経歴を見ると、

大学受験の二浪に始まり、
FA権行使したら戦力外通告を受けると云う異常事態、
大リーグ経験を経て、
一年間の解説者生活から、
その後のマリーンズ復帰などなど、その異色さに事欠かない。

しかし、その経歴に一貫しているのは、
何よりも野球を愛した真情と、氏の野球人生に対する ひたむきな姿勢。

記事中のインタビューも、この人らしく、知的で好感の持てる内容でした。

処で、私などは、いまだに、ロッテ・マリーンズと云うより、
「大毎オリオンズ」の方がピンと来るのですが、

もちろん、そんな事を云えば、年が分かると云うモノ、
しかし、このチームは、昔から個性的で魅力的な選手が揃ってます。

古くは、その奇矯(ききょう)な言動から、
奇人と噂されたが、実際には野球一筋の純粋な人で、打撃の職人・榎本喜八氏、

その当時の大毎は、強力打線が看板、

その破壊力から「ダイナマイト打線」と称されたが、
そこで榎本の三番を受け、四番を打っていたのが、オールスター男・山内一弘氏。

野球のコーチとして、教え出すと話が止まらず、
カッパエビセンとあだ名された、インコース打ちの達人でした。

その山内氏と、「世紀のトレード」で入団したのが、小山正明氏、

氏は、阪神タイガースのテストを受け、
バッテイング投手として採用されたものの、
球は速いが、行方はボールに聞いてくれと云うほどのノーコン、

練習にならず、先輩選手たちからソッポを向かれた。

しかし、それでは仕事にならない、
クビにならぬため、必死で練習し、コントロールを磨いた、と云う逸話を持つ。

その速球投手の氏が、ロッテに移籍して数年後の晩年は、
ふわりと落ちるパームボールと、
針の穴も通すと形容されたコントロールで白星を積み上げ、つにに320勝に達した。

相手打者から、
「あんなハエの止まるようなボールにやられて」と悔しがらせた。

その小山投手が、朝ランニングしている処へ、
バッタリ出合ってしまったのが、麻雀で朝帰りして来た或る新人選手。

バツの悪さに挨拶もせず宿舎に逃げ込んでしまい、
あとで謝罪に行った時、

大投手、小山氏から、
「勿体無い、それほどの素質を無駄にするのか。」と諭され、
以後、発奮して練習に励み、
これも個性的な大投手となった、マサカリ投法の村田兆治投手。

他にも、

リーグ優勝したのに、
当時の名物オーナー、
永田雅一氏と大喧嘩して辞めた「熱血・西本幸雄監督」。

しかし、この人ぐらい
「真摯(しんし)」と云う言葉が似合う名指導者はなかった。

その他にも、

現中日監督の落合博満氏、
有藤、木樽、成田ら・・・、数え上げればキリが無い名選手たち。

そう云えば、
今は壊されてしまった西宮球場で、
成田投手のノーヒットノーランゲームを観戦した事があったが、

あの時は、ガラガラの球場で、
ファンよりも選手たちの方が興奮してたような記憶が・・・、

あれは何年前のことだったか、・・・

往時茫茫、感慨深き 悠遠の彼方であります。
  
~~~~~~~~~~~
【真摯】 しんし
  まじめでひたむきなこと。 一心に行うさま。

【往事】 おうじ 
  過ぎ去った昔のこと。

【茫茫】 ぼう‐ぼう
 [2] ぼんやりしてはっきりしないさま。

【悠遠】 ゆうえん
  時間的・空間的にはるかに遠い・こと(さま)。




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