漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

秀太と、ユウキと、ハマのおじさんと

2009年09月24日 | スポーツ
新聞に「巨人優勝」の見出しが躍ってます。

今年は、シーズン前から圧倒的な本命で、
実際、シーズンに入ってからも、
終始、安定したペナントレース運びで優勝、横綱相撲でした。

巨人ファンの皆様おめでとう。

処で、
その同じきのうの昼間、阪神甲子園球場では、
「タイガース対ホークス」の試合があり、7054人の観客を集めていました。

広い甲子園球場に7千人では、
パラ、パラ、と云う程度の客の入りですが、
これでも大入り、なぜならこの日の試合は「二軍戦」だったのです。

タイガースは人気球団ですから、
二軍の試合でも客の入りは良い方なのですが、
それでも、2千人も入れば大入り、そう考えれば、この日の観客数は特別です。

集まった観客のお目当ては、
今期限りで引退を表明している「秀太」こと、田中秀太内野手。

この日は、二軍に珍しい、彼の「引退試合」だったのです。

試合後、花束を贈られた秀太選手は、
涙をぬぐいつつ、
大歓声に答え、

「今日は、こんなに声援を受けていたんだと気づきました。
 やり残したことはないので、また違う道で頑張ります」と挨拶していたそうです。

その同じ日、広島の新球場では、
ヤクルト・スワローズの「ユウキ」こと、
田中祐貴投手が、
8回までを0点に抑える好投で、完投勝利をあげていました。

優勝は逸しても、三位までなら、
日本シリーズに行ける可能性のある、クライマックスシリーズに出場できる、

今日はその三位を争っている広島カープが相手、
しかも敵地での登板ですから、大いに価値ある一勝です。

実はこのユウキ投手、
昨年、所属していたオリックス・バファローズを「クビ」になった選手。

トライアウトと云う、
集団テストのような制度を受けて、
やっとスワローズに拾われたのですが、肩書きは育成選手、

三十歳で「育成」も無いモンですが、
これは名目、

安い年俸で契約できるし、
まぁ、「使えたら儲けモノ」と云うぐらいの扱いです。

その彼が5勝、

スワローズにすれば、
思わぬ拾い物と云った処ですから、
来シーズンは、うんと給料を上げて貰えることでしょう。

そのまた同じころ、
ベテランにはきついデーゲームですが、
横浜球場で、46才の工藤公康投手が中継ぎで登板していました。

所属する横浜ベイスターズからは、
既に、戦力外通告を受け、

コーチへの就任を打診されたものの、
それを断り、来ジーズンも現役続行を希望しているベテラン左腕です。

通称、「ハマのおじさん」、

その工藤投手と云えば、
球界最高の名誉、「MVP」を二度も受賞している名投手、

既に「功成り名遂げた」大選手です、

その氏が、
引き受け先があるかどうかも分からないのに、
「現役続行」を宣言したのは、私には少なからぬ驚きでした。

さて、そのマウンド上、
工藤投手の見詰める打席には、
41歳にして、堂々、阪神タイガースの四番を張る金本知憲選手が立っている。

この対決、
勝敗よりも、もっと大事な物、
歴戦のツワモノである両者の「野球人としてのプライド」を懸けた大勝負です。

工藤投手が、真っ甲微塵にとばかりの勢いで「速球を投げ込めば」、
金本選手も、「フルスイングで応じる」と云う戦いは、

堂々として風格があり、なお且つ、火の出るような対決でありました。

嗚呼 善き哉 野球。

  
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【真っ甲】 まっこう
  兜(かぶと)の鉢の前面の称。

【微塵】 みじん
  [4] 砕けて非常に細かくなること。

【功成り 名遂げた】 こうなり-なとげた
  りっぱな仕事を成し遂げ、あわせて世間的な名声を得た。

「嗚呼 善き哉 野球」→ああ よきかな やきゅう。








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