漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

竹取物語

2011年08月08日 | ものがたり

日本最初の仮名による文学「竹取物語」、その発端部分を少しだけ。

尚、以下の文中、
「翁(おきな)」は、お爺さん、
「媼(おうな)」は、お婆さん。
「籠(こ)」は、保育用のカゴ。

「几帳(きちょう)」は、
 台の上に二本の柱を立てて横木をわたし、
 その横木にカーテン状の布をかけ、間仕切りや目隠しとして使う家具。
   
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【 竹取物語 】

 〔その一、かぐや姫の生いたち〕


今は昔、
「竹取の翁(おきな)」と云うものありけり、

その名を「さかきの造(みやつこ)」と云い、
野山に入りて 竹を取りては もろもろのことに使いけり。

ある日のこと、藪(やぶ)のなかに、一ふしの光る竹ありける、

あやしみ寄りて見るに、
光りたる筒の中に、
三寸ばかりなるひと たいそう美しうして居たり。 (三寸→約10cm)

この翁 つぶやきて云うよう、
「身どもが朝に夕に分け入る藪におわするにては、我が娘となりたまうべき人なり」とて、

手のうちに包み持ちて帰り、
妻の媼(おうな)にあずけ、いと幼ければ籠(こ)に入れてやしなう。

この姫の うつくしきこと限りなし。

翁、この姫を見つけてのち、
藪へ入るごと、ふしに黄金のある竹を見つけること重なりぬ。

かくするうち、竹取の翁 めきめきと豊かになりぬ。

この姫、やしなうほどに、すくすくと大きになりまさる。

三月(みつき)ばかりへて、
わらべを越えるほどの丈(たけ)に 成りぬれば、

髪など結わせて衣をととのえ、
几帳のうちより出さず、世の風にもあてず、箱入りに育てぬ。

この姫の清らかにして見目うるわしきこと、この世に比類なく、
姫の輝き 部屋よりおもてに満ちあふれ、邸のうちに曇るところなし。

翁と媼、ここち悪しき時も、
この姫を見れば、たちまちに苦しき胸が晴れ、悲しきことも忘れけり。

翁、竹を取ること久しく、
黄金の蓄えも積もりたれば、いつしかひとかどの長者と成りぬ。

やがてこの姫大きになりぬれば、
名付けに然るべき人を招きて「なよ竹のかぐや姫」と付けつ。

名付けの日より、
あまたの人々を呼びてふるまいし、ものを食べ酒を飲んで三日ほど遊びぞしける。


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以下、貴族からのプロポーズへと続くお馴染みの物語。




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