「この鉄鍋は、生活必需品として、
人々の生活に、便利を、お配りしました」
コレ、日本で大人気と云う触れ込みの
「匠の鍋」と云う商品を、
中国でネット販売する動画の中、
作務衣姿で登場した職人が語る宣伝文句。
まぁ、日本人なら、
こんな怪しげな日本語の宣伝文句に釣られはしない。
処がナント、
この鉄鍋、中国で五億円も売れたと云う記事にはチョッと驚く。
その理由は色々あるらしいが、
記事には、こんな中国人識者の意見も載せられている。
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(鍋が売れたに付いては)
「日本製への信頼ももちろんあったでしょうが、
やはりここまであの鍋が売れたというのは、
歴史や伝統をといったストーリー性を打ち出して
消費者の心をつかんだ部分も大きかったのではないでしょうか。
今の中国の消費者は、
単に商品を買うというよりも、
その商品のストーリーを買っている部分もあるのです」
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つまりこのインチキ鍋、
伝統工芸品としての触れ込みが中国人に受けたと云う分けです。
ここまで記事を読んでいて思ったことが二つ。
一つは、
中国人も
価格や品質の他にプラスアルファーの魅力で、
買い物をするほど豊かになったのだなぁというコト。
なにしろ、つい五十年ほど前の中国なら国民は極貧生活、
デザイン処か、品質さえも気にするゆとりはなかったのですから。
もうひとつは、
これだけ歴史ある国なのに、
伝統文化や古い技術と云ったうモノが生活の中に希薄だというコト。
中国社会を見ていると、
便利な新文化が入ると、
それまでの伝統文化を惜しげもなく捨ててしまうような処がある。
日本で云うなら、
不必要となったお城などさっさと取り壊してしまうようなものです。
日本では、
英米文化の流入以来、
数式や英単語を載せる必要から、
数学や理科の教科書は横書きですが、
国語は縦書きの伝統を残し、
漫画など、絵が主なのに右上から左下へストーリーが進む。
これに対し、
中国では教科書はほとんど、
国家文書でさえも左からの横書きだそうです。
つまり中国は「上書き保存して過去は消去」の国。
それが行き過ぎ、
生活に余裕のできてきた今、
中国の人々は「古き良き文化や伝統」に郷愁を感じているのかもしれない。