俗に「悪役顔」と云うのがあります。
歌舞伎なんかだと、
赤面(あかづら)といって、悪役用の化粧がありますからね、
客の方は、顔を見ただけで、
「あ、こいつは悪いやつだ」とすぐ分かる仕掛け。
でも、テレビや映画ではそうはいかない、
化粧して登場なんぞしたら、
「ああ、オネエか」と思われるのがオチ。 (笑)
そこで、「地の顔で悪党面」と云う役者が求められるわけです。
ことに映画の世界では、
悪役専門だった歴代の名優がたくさんいます。
月形龍之介や山形勲ら、時代劇で売った人、
金子信雄や渡辺文雄ら現代劇で活躍した役者たち、
でも、この人たちはよく見れば男前です。
つまり、二枚目が悪いことをするから余計悪に凄みを増す。
それに対し、
問答無用の「悪役顔」と云うのも存在します。
吉田義夫、天津敏、西村晃・・・
ああ、東野英治郎もそうですね、
月形龍之介、東野栄次郎、西村晃・・・と並べると、
ムムッ、なんだ、黄門さんばかりじゃないかって、気がつく、
その昔、
東映映画で悪役ばっかりやってた月形を、
映画会社の「永年勤続のご褒美で」と云う配慮から、
主役にして、
黄門映画を企画、
「損を覚悟で」一本とったら、これがなんとオオアタリ。
いらい、黄門役は、
元悪役の出世ポジションとなったみたいですね。
加藤武さんも、若いときは、
「問答無用の悪役」として、
その個性的な顔が珍重されたクチですが、
晩年は、飄逸な味のあるイイ人の役が多くなりました。
一昨日、亡くなられたそうで、ご冥福をお祈りします。
それにしても、
加藤さんや渡辺さんをはじめ、悪役には高学歴の方が多いですね。
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