漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

悪役の名優

2015年08月02日 | テレビ 映画 演芸

俗に「悪役顔」と云うのがあります。

歌舞伎なんかだと、
赤面(あかづら)といって、悪役用の化粧がありますからね、

客の方は、顔を見ただけで、
「あ、こいつは悪いやつだ」とすぐ分かる仕掛け。

でも、テレビや映画ではそうはいかない、

化粧して登場なんぞしたら、
「ああ、オネエか」と思われるのがオチ。 (笑)

そこで、「地の顔で悪党面」と云う役者が求められるわけです。

ことに映画の世界では、
悪役専門だった歴代の名優がたくさんいます。

月形龍之介や山形勲ら、時代劇で売った人、
金子信雄や渡辺文雄ら現代劇で活躍した役者たち、

でも、この人たちはよく見れば男前です。

つまり、二枚目が悪いことをするから余計悪に凄みを増す。

それに対し、
問答無用の「悪役顔」と云うのも存在します。

吉田義夫、天津敏、西村晃・・・
ああ、東野英治郎もそうですね、

月形龍之介、東野栄次郎、西村晃・・・と並べると、
ムムッ、なんだ、黄門さんばかりじゃないかって、気がつく、

その昔、
東映映画で悪役ばっかりやってた月形を、

映画会社の「永年勤続のご褒美で」と云う配慮から、

主役にして、
黄門映画を企画、

「損を覚悟で」一本とったら、これがなんとオオアタリ。

いらい、黄門役は、
元悪役の出世ポジションとなったみたいですね。

加藤武さんも、若いときは、

「問答無用の悪役」として、
その個性的な顔が珍重されたクチですが、

晩年は、飄逸な味のあるイイ人の役が多くなりました。

一昨日、亡くなられたそうで、ご冥福をお祈りします。

それにしても、
加藤さんや渡辺さんをはじめ、悪役には高学歴の方が多いですね。



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