【桃太郎の縁談】 その④
きのうの続き。
娘は、そっけないようすの桃太郎に、
まず驚き、続いて腹を立てましたが、
振られたからと怒って帰るのも恥だしと、
ぐずぐずとあれこれ思案をしているうちに、眠ってしまいました。
娘が寝た気配をみた桃太郎は、
そっと布団をはね、娘の襦袢のすそをまくり上げて顔を突っ込むと、こう言った。
「さあ、おれの可愛いニャン子ちゃん、正直に話してくれ、
君をだれかが乱暴にしなかったかい」
すると、娘のまたぐらから声がしました。
「そのことなら、 私はいっぱい相手したけど、みんなやさしかったわよ、
でも、見損なわないでね、
相手はサムライばかり、町人なんか相手にしないんだから」
桃太郎はそれだけ聞くと、
「そうか分かった分かった、もういいよ」。
すそをなおし、布団をかけて、
また娘に背を向けてそのままぐっすりと眠りました。
あくる日起きるとすぐ、桃太郎は親父のところへ行き、
「考えたが、あの娘さんとは一緒になれない」
「どうしてかね、わけをおしえてくれ」
「どうしてかも言えないし、わけも言えない」
親父さんは不服でしたが、
娘から桃太郎が金持ちだと聞いているので、
このままでは惜しい気がして言いました。
「それではどうだい、
私にはもうひとり娘がいるんだが、こんどは、その妹娘とひと晩過ごしてみては」。
顔を見せた妹のほうは、姉よりもっと美しい、
それを見て、桃太郎も もうひと晩泊まることにしました。
その夜も、桃太郎が寝ようとするころ、
妹娘が部屋に入ってきて、桃太郎の布団の中に忍び込んできました。
今夜も桃太郎は妹娘に背中を向けたままです。
妹は姉から夕べのことを聞いていたので、そんなに驚きはしませんでしたが、
自分の方が姉より美人だと云う自信があったので、いたく誇りを傷つけられた気がして、なかなか眠れません。
それでも、やっぱり昼の疲れからか、眠ってしまいました。
それまで妹の寝息をうかがっていた桃太郎が
むっくりと起き直ると、布団をはね、妹娘の襦袢のすそをまくり、前を広げてこう言いました。
「さあ、おれの可愛い妹ニャン子ちゃん、正直に話してくれ、
君をだれかが乱暴にしなかったかい」
「そのことなら、私にも姉さんに負けないほど、相手が一杯いるわよ、
でも、見損なわないでね、
相手は貧乏なサムライなんかでなく、金持ちの跡取り息子たちばっかりだから」
「そうか分かった分かった、もういいよ」
桃太郎はそれだけ聞くと、
また娘に背を向けてそのままぐっすりと眠りました。
きのうの続き。
娘は、そっけないようすの桃太郎に、
まず驚き、続いて腹を立てましたが、
振られたからと怒って帰るのも恥だしと、
ぐずぐずとあれこれ思案をしているうちに、眠ってしまいました。
娘が寝た気配をみた桃太郎は、
そっと布団をはね、娘の襦袢のすそをまくり上げて顔を突っ込むと、こう言った。
「さあ、おれの可愛いニャン子ちゃん、正直に話してくれ、
君をだれかが乱暴にしなかったかい」
すると、娘のまたぐらから声がしました。
「そのことなら、 私はいっぱい相手したけど、みんなやさしかったわよ、
でも、見損なわないでね、
相手はサムライばかり、町人なんか相手にしないんだから」
桃太郎はそれだけ聞くと、
「そうか分かった分かった、もういいよ」。
すそをなおし、布団をかけて、
また娘に背を向けてそのままぐっすりと眠りました。
あくる日起きるとすぐ、桃太郎は親父のところへ行き、
「考えたが、あの娘さんとは一緒になれない」
「どうしてかね、わけをおしえてくれ」
「どうしてかも言えないし、わけも言えない」
親父さんは不服でしたが、
娘から桃太郎が金持ちだと聞いているので、
このままでは惜しい気がして言いました。
「それではどうだい、
私にはもうひとり娘がいるんだが、こんどは、その妹娘とひと晩過ごしてみては」。
顔を見せた妹のほうは、姉よりもっと美しい、
それを見て、桃太郎も もうひと晩泊まることにしました。
その夜も、桃太郎が寝ようとするころ、
妹娘が部屋に入ってきて、桃太郎の布団の中に忍び込んできました。
今夜も桃太郎は妹娘に背中を向けたままです。
妹は姉から夕べのことを聞いていたので、そんなに驚きはしませんでしたが、
自分の方が姉より美人だと云う自信があったので、いたく誇りを傷つけられた気がして、なかなか眠れません。
それでも、やっぱり昼の疲れからか、眠ってしまいました。
それまで妹の寝息をうかがっていた桃太郎が
むっくりと起き直ると、布団をはね、妹娘の襦袢のすそをまくり、前を広げてこう言いました。
「さあ、おれの可愛い妹ニャン子ちゃん、正直に話してくれ、
君をだれかが乱暴にしなかったかい」
「そのことなら、私にも姉さんに負けないほど、相手が一杯いるわよ、
でも、見損なわないでね、
相手は貧乏なサムライなんかでなく、金持ちの跡取り息子たちばっかりだから」
「そうか分かった分かった、もういいよ」
桃太郎はそれだけ聞くと、
また娘に背を向けてそのままぐっすりと眠りました。