漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

異聞・かぐや姫 ⑦

2009年07月31日 | Weblog
きのうの続き。

なんだか天上界が騒がしくなって来た。

「地上でなにやら面白そうなことをして居るそうな」
噂が流れ、評判が広がり、
天上界中の神々が集まって来て、地上の琵琶湖にある舞台を覗出したのだ。

そのころ琵琶湖の舞台では、
暗闇続きで、鬱々(うつうつ)としていた人々が、
久々に見る昼間のような明るさに、その鬱屈(うっくつ)が爆発、

飲めや歌えやと大騒ぎを始めていたのだ。

もちろん、その中心は、アメノウズメやサルタヒコが居る。

踊りながら恍惚(こうこつ)としてきたアメノウズメは、
一枚一枚と着た物を脱ぎ捨てながら、
乳房を揺すり、腰を振って陰部(ほと)もあらわに舞い踊る。

更にサルタヒコがそれに合わせて、
腰をよじって、体をくねらせたから、群衆たちは、男も女も顔を見合わせドッと笑う。

その面白さに、
天上界の神々も、笑いさざめき、雲の床が揺れるようだ。

その騒ぎは、天の岩屋にも伝わった。

あまりの賑やかさに、
沈んでいたアマテラスも、さすがに気になったか、
岩戸を細めに開けて、透き間から、そっと、外の様子をうかがった。

だがその岩戸の前には、
アマツ神より、
何としてでもアマテラスをつれ参れとの命を受けた、
仁王様のような体の神様、
タヂカラオが寝ずの番をして頑張っていたのだ。

なんでこの機を逃そうか。

「ここでなんとかせねば、アマツ神の御命令を達することは出来ぬ」、

開いた戸の、
わずかな透き間に、タヂカラオが太い指を差し込み、グッと開けた。

太陽の女神、
アマテラス顔が一度にものぞき、あたり一面に、サっと光がさした。

「アマテラスさま、こちらへ」

タヂカラオに導かれ、アマテラスがアマツ神の神殿へ上がると、

「何時までも沈んでいても仕方がない、

 気晴らしにもなろうから、
 これよりは、三頭立ての竜車にて、
 朝、東の海から出て、
 夕となって西の海に沈むまで、天(あま)翔(か)けるように」と、お命じになった。

たちまち、地上に光があふれ、
歓喜した人々は、天上の神を讃える歌を歌い、三日三晩の間、舞い踊り続けた。

なんでもこれが、盆踊りのそもそもの初めであるのだそうだ。

それよりは、
アマテラスが化粧をされる日食の間を除き、
太陽は元通り、東から上り、西に沈むようになった。




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