司馬遼太郎氏の書簡集の中に、
氏にはめずらしい「断りの手紙」がある。
坂本竜馬の銅像が修復されたとき、
司馬氏も乞われて祝辞を贈ったのだが、
後になって、その祝辞を石に刻んで竜馬像の近くに建てようと云う話が持ち上がった。
そこで、関係者が、司馬氏に承諾を願ったのだが、
その時の断りの手紙。
丁寧な断りの文章の中に、
「あれは声に出して読まれることを前提に書いたものです」とある。
更に、
「目で読む文章は、
声を出す文章と、リズムその他の点でずいぶんちがうのです。
声を出す文章は、ニュースキャスターの文章に似ています。
これは、小生の本業ではありません。」と続く。
プロの厳しさと誇りを感じる文章で凛とした響きがある。
それで碑文の話は立ち消えになったのだが、
後にこの文章が書家によって屏風に仕立てられ、
今では、銅像の近くにある竜馬記念館に飾られているのだそうである。
結果的には、
「人の目に触れられる文章とならないようにおねがいします」と云う、
司馬氏の願いは叶えられなかったことになる。
死後も尚、高い人気を保つ氏ゆえの哀しみだろうか。
氏にはめずらしい「断りの手紙」がある。
坂本竜馬の銅像が修復されたとき、
司馬氏も乞われて祝辞を贈ったのだが、
後になって、その祝辞を石に刻んで竜馬像の近くに建てようと云う話が持ち上がった。
そこで、関係者が、司馬氏に承諾を願ったのだが、
その時の断りの手紙。
丁寧な断りの文章の中に、
「あれは声に出して読まれることを前提に書いたものです」とある。
更に、
「目で読む文章は、
声を出す文章と、リズムその他の点でずいぶんちがうのです。
声を出す文章は、ニュースキャスターの文章に似ています。
これは、小生の本業ではありません。」と続く。
プロの厳しさと誇りを感じる文章で凛とした響きがある。
それで碑文の話は立ち消えになったのだが、
後にこの文章が書家によって屏風に仕立てられ、
今では、銅像の近くにある竜馬記念館に飾られているのだそうである。
結果的には、
「人の目に触れられる文章とならないようにおねがいします」と云う、
司馬氏の願いは叶えられなかったことになる。
死後も尚、高い人気を保つ氏ゆえの哀しみだろうか。