漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

○直江山城の守、閻魔に書を贈りて訴訟人を斬る事

2009年05月20日 | Weblog

一昨日に続き常山紀談からもう一つ紹介してみます。

「常山紀談」は、
江戸時代も後期の人、湯浅常山が、
戦国時代や江戸幕府草創期のころの武人たちの、
様々に伝えられていた逸話や言行、武勇伝などを、整理し書き整えたもの。

三十巻と云う大部だから、様々に面白い話もあるが、
大河ドラマで放映中のこともあり、もうひとつ直江兼続で拾ってみる。

尚、以下の文中、
「下部(しもべ)」は、従者、召し使い。
「誅(ちゅう)す」は、処罰して殺すこと。

「白銀(しろがね)二十枚」は、小判型の銀貨。

又、「何某(なにがし)」は、しかるべき人、
それなりの人物だが、名が分からぬ時や明確にする必要の無い時に使う云い方。

尚、「直江山城守(なおえやましろのかみ)」は直江兼続のこと。
「閻魔(えんま)」は、地獄の王、エンマ大王。
  

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 ○直江山城の守、閻魔に書を贈りて訴訟人を斬る事


上杉家の三宝寺何某と云う者の下部、
罪着て誅ぜられしを、
その一族大いに怒りて、死したる人を帰したまわれ、と直江山城守に訴えけり。

その下部の罪、軽くして、死には及ばざる事にやありけん。

直江、白銀二十枚与えて、
遺族へと、なだめけれども、いよいよ聞かず、

是非にも帰したまわれ、と直江を催促しけり。

直江、さまざまに言えども、とかく聞き入れず。

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上杉家の家来、三宝寺と云う者の従者が、
何か無礼でもあって、家中の侍にでも斬られたのであろう。

直江兼続に「死んだ者を帰したまえ」と訴えてきた。

調べてみると、
確かに殺すほどのことではないようだが、
かと云って、死んだ者が生き返るはずも無い。

兼続も困って、
まぁまぁとカネを与えて、引き下がらせようとしたが、云う事を聞かない。

「カネではない、当人を帰したまえ」と強硬だ。

兼続がなだめるが、
相手の態度が穏便と見ると、益々強硬になって「是非にも」と迫る。

さて、兼続の打った手は・・・と云う処で、続きは明日また。




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