明源寺ブログ

浄土真宗本願寺派

一枚のDVD・・梅原猛先生の講演記録(存覚と正明伝)

2013-09-01 23:56:13 | Weblog
8月25日に実施されました藤原町仏教会主催第42回仏教講演会。開始直前の事です。知り合いのご住職(西)から、DVDを2枚渡されました。DVDに書かれたタイトルを見ますと、2013年8月4日 高田仏教文化講座「存覚(ぞんがく)と正明(しょうみょう)伝」梅原猛とあります。

このDVDは、8月4日に高田本山専修寺行われた高田仏教文化講座の講演記録なのです。講師は、梅原猛(うめはらたけし)先生。テーマは、見出しの「存覚と正明伝」です。実は、ご住職から「講演を聞きにいきませんか」と誘われていました。しかし、8月4日は自坊では夏季永代経法要2日目。梅原先生の講演は聞きたいのですが、とても津市まで行く時間はありません。断念という経緯になりました。そこで、ご住職が講演を記録し「DVD」に。思ってもみないご好意ですから、私は大喜びです。
講演中の梅原先生。ただし、当日の講演写真ではありません。

存覚とは、本願寺第3代宗主・覚如(かくにょ)上人のご長男。本願寺教団最高の大学者です。しかし、お父さんの覚如上人(こちらも、親鸞伝絵(でんね)等を著した大学者で、産声をあげたばかりの本願寺の強化に努められた人物)とは、路線の対立等で最後までそりが合いませんでした。その存覚上人が、書かれたというのが『正明伝』。親鸞聖人の御一生をあらわした伝記本です。でも、存覚上人が『正明伝』を書かれたというのは、到底考えられないというのが真宗史学の定説。誰かが、存覚上人の名前にて出版した偽証の本であるとされています。
しかしです。梅原先生は『正明伝』は存覚上人が書かれた本であり、この『正明伝』を理解すれば、親鸞聖の人生の謎はたちどころに解明されると発表されたのです。そして、記念講演を基調とした『本』を出版されるとの事です。梅原先生は、佐々木正先生の著である『親鸞始忌』に啓発されたとも述べられています。
このブログの読者の方であれば、梅原先生を知らない人は誰もおられない筈。現代日本を代表する哲学者。著作は数知れず。私が『梅原史学』と呼ぶ独特の歴史観をお持ちの方です。梅原先生の著作は大好きす。このブログでも『法然の悲しみ(上下)』等を度々引用させていただいています。
でも今回は、先生が書かれたレジメを拝見しても、又講演記録のDVDを何度も聞きましても・・・・・「発想も斬新、展開が非常に緻密とは思いますが、そうなのかと率直にうなずく事はできません。」というのが正直な感想です。ともかくも、本が出版されましたら購入したいと考えています。
尚、佐々木正先生は『正明伝』は真実の親鸞伝記であるとの立場から、活発な著作活動を展開されておられます。初めての方でもすらすらと読める本ばかりです。特に、佐々木先生の実証主義歴史学に対する批判は、まさにまとを得たものと思うものです。ただ、極めて重要な恵信尼文書の解釈について、到底容認する事はできない箇所があるのです。残念です。

『親鸞始記』佐々木正著・・筑摩書房

『親鸞・封印された三の真実』佐々木正著・・洋泉社

『謎解き問答 親鸞』佐々木正著・・洋泉社
この本は、『親鸞・封印された三の真実』の新装改訂版です。

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