明源寺ブログ

浄土真宗本願寺派

舞姫とエリス(中日新聞8月30日朝刊記事)

2013-09-03 02:32:12 | Weblog
手元に中日新聞8月30日朝刊があります。何度も読み返しています。=森鴎外「舞姫」のモデル特定=の記事です。読まれた方も多いのでは・・・
森鴎外の代表作「舞姫」の悲劇のヒロインのモデルとなった女性の写真が見つかったという記事。「舞姫」、この作品はドイツに留学したエリート留学生と貧しい踊り子エリスの余りにも悲しい悲恋を描いたもの。森鴎外自身のドイツ留学体験がもとになって書かれたと言われています。実際、1888年に森鴎外がドイツから帰国しますと、前後するように一人の美しいドイツ人女性が来日。この女性が、「舞姫」ではエリスと名づけられた女性。しかし、1ヶ月の滞在の後に日本を離れドイツに帰国。何のために、エリスが来日したのかは容易に想像できます。しかし、周囲の猛反対にあい、2人は夢破れてそれぞれの道を歩む事になります。「舞姫」は、そんな森鴎外が懺悔(ざんげ)の思いで書いた作品?

エリスの本名等は、研究者の努力にもかかわらず謎とされてきました。この謎を解明されたのが、ベルリン在住の作家「六章いちか」さん。エリス(本名は、エリーゼ・マリー・カロリーネ・ビィーゲルト)が、失意のなかで日本から帰国。その後の足取りを丹念に調査。そして、今回はエリスの写真を発見。一口でいえば、エリスの人生は鴎外に愛を貫いた人生だったと思います。又、森鴎外の華麗な経歴からなかなか想像できないのですが、彼もエリスの事を一日として忘れる事なかったと思うのです。
新聞記事のなかで、一番嬉しく思ったのは六章さんの以下の文章。「また、エリーゼが新聞に出した夫の死亡広告も見つかった。「書状に代えて」との記載があり、旧姓も書かれていた。この新聞を鴎外は日本に取り寄せ定期購読しており、離別後もお互いに気を掛けていたと見る六章さんは、「鴎外宛ての近況報告だったのでは」と推測している」の箇所。
こうでなくてはなりません。夢破れても、運命の赤い糸で結ばれた2人の心は離れる事はないのです。
六章いちかさんは、9月3日(つまり本日)に「それからのエリス」(講談社)を発刊されます。勿論、購入します。

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