スキージャンプ&スポーツ竹内元康発言

スキージャンプ選手、全日本コーチ、解説者、トレーナーを経て・・・今だから語れること。

ザコパネ

2016-01-26 16:01:11 | スキージャンプ



予選はホームのポーランドで復調といきたいストッフがトップ、他ポーランド勢も勢を感じる。
作山憲斗、清水礼留飛が予選落ち、どうも台の特徴を攻略できなかったようだ。
r1が短くカンテ角度も上向きでタイミングが合わせづらい癖のあるジャンプ台、苦戦してる選手も目立つ。

プレフツという大きな壁を崩す選手が現れるか。

初日はチーム戦。
となると、やはりチーム力ではノルウェーが頭ひとつぬけてる。フォルファングを外したのはジャンプ台の特徴を睨んでの計算か。
ドイツはフロイントの欠場で戦力ダウン。ヴァンク、ライエの出来如何。
オーストリアはクラフト、ハイベックが好調なものの、3番手、4番手に多少の不安。
そろそろチーム戦でいい結果を出したいスロベニアのキーパーソンはクラニエッツか…
個人予選で好調なポーランドの勢い、ホームでポディウムとなるか。
日本チームは大幅に戦力を入れ替えた布陣で挑むが、どこまで戦えるか。
5位に食い込めれば上等だ。

コンディションは追い風、こうなるとスロベニアはクラニエッツの爆発が期待薄となる。
やはり、苦戦のスロベニア。
クラニエッツが足を引っ張ってしまった。
それに風の条件も悪く、踏んだり蹴ったり。
プレフツもグループでトップを取れず、結果5位はよろしくない流れ。

ドイツはヴェリンガーが奮闘したものの、他の選手はミスが目立ち、ジャンプ台にしてやられたといった感じで4位。

ポーランドは良く健闘した。
調子の良いステカラ、フラがもう少しポイントを加算できてたら…
コットが潜在能力を発揮しだしてきたは大いにプラスとなった、今後に期待。
ストッフ完全復調とまではいかないが、気配は益々上昇傾向。
ホームでの3位はチームにとっても、選手にとっても大きな意味があったと思う。

オーストリアはクラフト、ハイベックが高得点を叩き出し2位。
ポッピンガー、フェットナーがもうワンランク成長してくれればトップを狙える位置。
とはいっても、この2人は十分に今季の成長株だ。
強いシュリーリがいればと、未だに思う。

1位はノルウェー!
グループ毎にトップを取れてるジャンプが6本、こりゃ強いよね。
ストイェルネン投入見事に的中のシュトックル采配お見事。
ガングネスはリレハンメルでノーマルに変更になった試合で勝っているが、そろそろラージでの個人戦でも勝利が近そう。


日本チームは小林陵侑以外は「う~ん…」唸るしかできないなぁ…
追い風で難しかったけど、対応するスキルがまだまだ足りない。
またひとつ積んだ経験を生かしてほしい。


このセカンドチームはCOCにフルに参戦させなくては、WCで戦える状況にはなかなかなれない。
そういう環境づくりにスキー連盟はもっと力を使ってほしい。
金がないから派遣出来ませんなんて寝言はやめてもらいたいね。

個人戦
ペロの連勝は何処まで続く!
そういったWCシーンではある現在。
フライタークがここザコパネでいい流れのジャンプになっていて、密かに期待はしているのだが…

コンディションは団体戦同様に追い風。
団体戦よりは幾分風速は弱め。

ビブ5の陵侑が早々と130m越えの131.5mとハイパフォーマンス(K120 HS134)
トレーニング、予選、団体戦と内容の良いジャンプが続いている。完全に相性がいいザコパネ。
しばらくの間トップに立ち続けたが、1本目の結果は13位。
それでも内容はトップ5といっても過言ではないくらいいいね。
トップ10内も十分に可能な得点差、しかしちょっとミスすればたちまち20番以降に弾き出されてしまう得点差でもあるくらい下位の選手も接近している。

注目していたフライタークはランディングが決まらなかったのが痛く、8位と出遅れ。
優勝はキツイが、それでもポディウムはまだ狙える。

そんな中でプレフツがぶっちぎりの140m、貰っちゃったね向い風。
続くクラフトが133mだが、ポイント差は2.7。

クラフトの方が遥かに難しい条件だった。
優勝争いはこの2人に絞られた。

続くポディウム争い3位の席は大混戦で15位くらいまでは十分狙える位置にいる。
しかし、3位のガングネス、同じく3位のハイベックを負かすのは容易ではない。

7位のストッフが飛び込んできたらポーランドのファンにはたまらないだろうけどね。


上位選手、トップグループは飛距離は大きく差がついていない状況ではあるが、ゲートが何度か動きゲートファクター・ウインドファクターのポイント差がものをいった。数字に出ない不利な風、または有利な風も随分と多かった。
1本目通過ラインは123mで、謙司郎&侑武は122mで2本目に進めず。
コフラーが124.5mだったがジャッジスコアが稼げず、結果2本目に進むことができずだった。

2本目が始まって、先ずはトーマス・ホファー(AUT)やポッピンガー、フラといったところが130mラインを越えてくる。
ポーランド祭になるのか、オーストリア祭になるのかの雰囲気が…
逆にドイツとスロベニアの先陣達はちょっと伸びに欠いた。

2本目の陵侑、飛距離はあまり大きくなく126.5m
ウインドファクターの数字はかなり強い追い風-1.13m
並みの選手であればK点には届かないだろうところを、トップランカー並みの事をやってのけた!
1本目13位から7位へのジャンプアップ、今日の出来は100点だね。
日本の若い選手達には随分と刺激になったことだろう。


そしてベスト10はなかなかミスはしない。
僅かなウインドファクターの差、またはテレマークランディングの決まり具合で差がつくだけ。

ガングネス、ハイベック、クラフトはしっかりと力を出し切り、リーダーボートの前はクラフト。
2位はハイベックで3位がガングネス。
最終ジャンパーはプレフツ、追い風が強まってきている。
やや待たされた後にスタート、伸びない。
125m、1本目は最高の条件で飛べたが、2本目はしっぺ返しをくらったかの追い風、ハイベックの上にも立てず3位。
決して調子が下降しているわけではなく、条件が厳しすぎた。

オーストリアがどれくらいぶりになるのかワンツーフィニッシュ!
王者シュリーリも欠き、なかなか優勝への道のりが遠そうだった王国に火を灯したこのコンビ。




依然プレフツの内容は素晴らしいが、クラフト&ハイベックが調子をかなり上げてきていて、もはやプレフツに肩を並べようかのところまであと一歩。
ノルウェーの強力な玉数の威力も脅威で、
ロボットのようにミスをしないプレフツと言えども、1人舞台とはならない気配がしてくるシーズン中盤だ。












スキージャンプフライング世界選手権

2016-01-19 14:58:51 | スキージャンプ


オーストリアはクルムのタウプリッツ-バートミッテルンドルフで行われたフライング世界選手権。
K200、HS225

予選は他を圧倒してトップ通過を果たしたのは、世界最長飛距離ホルダー251.5mのファンネメル(NOR)。
2番手にはフライングマイスターことクラニエッツ、3番手にはアマンと続く。
フライングを飛ばせれば、水を得た魚の如くテペシュも4位と好位置。

ジャンプのクオリティーが変化したクバツキ、それからポッピンガー、デコンブセボアらがアグレッシブな好ジャンプを見せた。
驚きは今季好調とはいいがたいが、ストッフが予選を通過出来なかったこと、条件も最悪だった。

予選免除組はここフライングでも素晴らしいパフォーマンスで隙はない。

紀明は風邪気味で体調回復の為、トレーニングラウンド、予選と全てスキップした。


フライング世界選手権は2日間、4本の合計で争われる。
第1日目

紀明は今季フライング1発目となるトライアルラウンドでいきなりHS越えの233.5m。
期待MAX本当に底知れぬパワーを出す男だ。

上位20名くらいは200mは楽勝じゃ!と言わんばかりのパフォーマンスだが、それでも、風のひと吹きが有るか無いかで20~30m、ひどい時は50mも飛距離が変わってしまう。

そんな中でもトップ10の連中はひとランク違うぞとばかりに、先ずは紀明がヒルレコード更新となる240.5m、パーソナルベストタイ!
まあ、会場中が度肝を抜かれたね。
こういう事をヨーロッパのファン達は目の当たりにしてるからリスペクトしてやまないんだね。

また伝説を1つ作ったわけだ。




しかし、そのニューヒルレコードも15分くらいの命とは…そんな殺生な…

プレフツ1号機がやってくれました、あっさりとヒルレコード更新!

243m!
もう戦闘機かって!

テレマークこそ決まらなかったものの2位のガングネスを僅差(1.5p)でかわしトップ。

紀明とプレフツが派手にやらかすもんだから、他のスーパージャンプが色褪せて見えてしまった。

ガングネス236mで2位、フォルファング230mで3位、クラフト226.5mで4位、紀明240.5mで5位、ファンネメル234mで6位。
フライングでは10m差なんて僅差のレベルだから、2本目はどうなることやら。

20人が200m越えで、選手達の進化を感じる。

憲斗は惜しくも31位で個人戦では先に進めず、団体戦に日本チームは参加しない為、フライング世界選手権は終了となる。

2本目は危険な状態ではないが、やや風が出てきたり止まったりと不安定になってきて1本目より難しくなって下位の選手は手こずっている。
CGでは横風が随分と選手を虐めてるようだ。
WFで真横からの風だとカウントが0mなんじゃないか…と今更ながらに思う。
数値が穏やかな変化だからね…
今後、どう改善されて行くか…課題だね。

ゲートも下がっているが1本目ほどのスーパージャンプは期待できそうもない流れ。
そして上位にきて、更にゲートは下がる。
飛ばせ過ぎ注意ってことだね。
不安定な風だからしょうがないが…

今日のトップ6は気持ちのノリとスピリットが違う。
2本目も僅差のバトル。
ファンネメル214.5m、紀明215m、フォルファング216.5m、クラフト220m、プレフツ213.5m、ガングネス216m。
ポイント差でも、この6名に絞られた感じだ。

1日目の順位は
1位ガングネス419.4p
2位プレフツ418.1p
3位クラフト415.6p
4位フォルファング415.0p
5位紀明409.0p
6位ファンネメル397.6p

ここまでがポディウム争いに加われるポイント差。
トップ10を見てみると、スロベニアが4名、ノルウェーが3名、オーストリア、ドイツ、日本が各1名ずつとなった。



ファイナル1本目
今日は当然だが、昨日ほど飛ばせるゲート設定はしないだろうと。
思った通りNo.16ゲートからの開始。
ただ、向い風が昨日より多少ある。
ビブ20のフライタークが231mを飛んで、ビブ21のテペシュからNo.15にゲートダウンだが220m。
良い風が吹き出してる。

トップ10に入って1番最低な条件、つまり追い風にただ1人だけ当たってしまったファンネメル、ポディウムから大きく後退。
後姿が寂し過ぎる。
次が紀明だっただけにイヤな感じだったが、なんとか風がもちなおしてくれ220mは3本合計でトップに。

次のジャンパーフォルファングが噴いた!240m!の瞬間、バランス崩して転倒。右の膝がだいぶ内側に入ったようだが大丈夫なのか…
すぐさま起き上がり特大のガッツポーズだが、興奮状態なんで本人はハイテンション中真っ只中。
スタスタ歩き出すが、次のジャンプと明日の団体戦が心配…

次はクラフト、ゲートが14にダウン。
それを何するものぞの226.5m、アツいね!ホームのクラフトここでトップに立つ。

続いてプレフツ!
マジか?こいつ!又やったよヒルレコード更新!
しかもテレマークスタイル決めようとしてるし。
なんだかねぇ、宇宙人だよペロは👽
記録は244m!
ジャッジスコアも54.5p、プレフツにしてはちょっと低いけど、テレマークランディングは認められてる。
ホント凄い、ここでトップは当然だが最後にガングネスがまだ控えてる。


最終ジャンパーのガングネスでゲートが13に変更、ちょっと不利になったか…
あとは風に聞いてくれと飛んだジャンプは238.5m!
同じゲートならガングネスにもヒルレコードのチャンスがあったじゃないか…
ジャッジポイントが低い…ジャッジスコアが49.5p。
トータルポイントで3.3pペロに届かず。
飛距離で及ばずだったが、ジャッジポイントが同じくらい出せればトップに立てた。
全ては着地の差だった。

これでポディウムは5名に絞られた形だ。
チャンピオン争いは上位3選手にチャンスがある。
しかし、4本目となる最終ラウンド、風が暴れ出してきて、ゲートの設定も難しく、選手の安全性も確保するのが困難な状況に。
そしてキャンセルのアナウンス。
いたしかたないね。
公式のリザルトは3本のトータルとなり、チャンピオンはプレフツに!
今回の上位5名のバトルは本当にエキサイティングで次元が高く、どの選手が勝っても不思議じゃないくらいだったが、ヒルレコードを2度にわたって更新したプレフツに女神が微笑んだのはその価値に値するからだろうね。


コングラッツ👏👍プレフツ🏆


残すは団体戦!
残念なことに日本チームは出場しない。

チーム力はノルウェーが抜けているが、対抗は今やフライングマイスターが3人になったスロベニア。
ドイツ、オーストリアは3枚目と4枚目のカードがやや不安だ。
ラージヒルだとイケる布陣だが、フライングはちょっと勝手が違うからね。

コンディションはほぼ無風に近い向い風、時折追い風。ゲートは17。

第1グループはオーストリアのクラフトが225.5mを飛んで好発進。
続いてノルウェーはファンネメル、3番手には個人戦の予選でまさかの大敗の実力者ストッフ。
スロベニアの切込み隊長クラニエッツはやや期待外れの4位で遅れをとった。

第2グループは、昨日危なっかしい転倒をして心配されたフォルファングが安心して下さい、ピンピンしてますよで218.5mでトップ、鉄人かっ!
いい仕事を成し遂げたのはポッピンガーでグループ2位。
テペシュがまさかの失速でスロベニアは大きく後退。
ポーランドムランカが大健闘でグループ3位。
ドイツのライエも失速で厳しい位置。
ノルウェーvsオーストリアになっていくのか…

第3グループ、フェットナーが200mに大きく届かず180.5m。
スロベニアラニセクも然程伸びずフェットナーと同飛距離、ほぼ無風に近いと厳しいか…
ポーランドクバツキは更に劣る166m、これでポディウムからは遠く離れてノーチャンス。
ここで見せ場を作ったのはフライターク、213.5mで一気に詰めるドイツ。
ノルウェーはタンデ、大きなミスはしない206.5mで大量には差をつけられずにグループ2位。

スロベニアが予想外の展開になり、もはやプレフツ1人の力だけではどうにもならないか…それでもいいジャンプをする為にベストは尽くすだろうが、2本目に繋げる為にも。他のチームにも同じ事が起こり得なくもないはず。

第4グループ
プレフツはやはり魅せた、グループトップの228m。
定番のようにどのチームもラストにエースを起用してきてるので、ポイントの差は大きく動かずだが、ガングネスとハイベックはやや低調なポイント。
フロイントは219mでフライタークに続いて一気に差をつめてきた。

2本目、劇的なドラマは起こるか…
第1グループのクラフトはキレてる、何としてもホームでポディウムにの想いが強いのだろう、230mでまたまたグループトップだ。
1本目同様、2位はファンネメル、クラニエッツがなんとか意地をみせて211mでグループ3位、ドイツヴェリンガーは悪くはないが、200m以上は欲しい戦いでは見劣りしてしまう193mでグループ6位。

第2グループではテペシュ又もやらかし157mはやらかし過ぎ。ポディウムが…
オーストリアポッピンガーもやらかしてくれて、ポディウムまだまだ分からんモードになる。
そんな中でライエが今度はしっかり仕事し、202mは2位のポジションを確実に近づけたか。
フォルファング、差をつめさせない201.5mで辛くもグループ1位。

第3グループ、ここで勝負は見えてくるか。風が追い風模様に、ゲートが1段アップの18。
スロベニアラニセクやらかした157.5m…
ポディウム絶望的かと思ったが、フェットナーもやってしまった、追い風に大当たりの156.5m。
血の気が引いてしまっただろうなぁ…
フライタークは2位を決定的にするかの207mはグループ2位。
ノルウェーは勝利を決定づけるグループ1位タンデは215.5m。

第4グループ
動くところは3位、4位のオーストリア、スロベニアのポディウム争奪戦だけか?!ゲートは再び17へ。
プレフツ238m!フライングでも誰の追随も許さない圧巻のフライト。1人だけ特別良い条件を貰っている訳ではないが、少しのミスもない。
もう異次元の世界に一人旅だ。
ハイベックも有りっ丈の執念か、216mでスロベニアの上に立つ、そしてポディウム確保。
ドイツフロイントもミスは許されない状況だが、幾つもの修羅場をくぐり抜け、高値安定の選手だけあって、218.5mとプレフツに次ぐグループ2位でドイツトップに。
残るノルウェーはガングネス、貯金もありそんなに大きくプレッシャーはかからないジャンプは勝利を確信する219.5m。
大差でノルウェーが優勝した。

本当にチーム力の高い素晴らしいチーム。
昨年でトップレベルのまま引退したバーダル&ヤコブセンのツートップが抜けたのを感じさせない世代交代は見事。




オマケに今回のフライング世界選手権の飛距離ランクを


プレフツに次いで紀明ってのが嬉しいし凄いね!






























ヴィリンゲン/プレフツ4連勝

2016-01-13 11:16:59 | スキージャンプ



1本目から勝負あった!のプレフツ1号機!

昨日のチーム戦の憂さを晴らす1本!

ここ2シーズンは何強とならない、誰が勝ってもおかしくないというシーズンが続いたが、今シーズンのこの時期に来て、プレフツの1人舞台の雰囲気だ。

それと世界一サイズの大きいラージヒルでの試合は実に面白い。

紀明や大貴、日本チームにも是非飛んでほしかったね。


2本目のトップ10は誰もミスをしないが、一番貧乏クジを引いたのはフライターク、1本目9位から111.5mの大失速で29位に後退してしまった。
本当にツイてなかった。
ジャンプアップできたのはストイェルネン、18位から8位まで上がってきた。

チェコ勢が今回は10、11、12位と健闘したね。

トップ5は1本目の順位のままでリーダーボードの前が常に入れ替わった。

1、2、3位は単独状態。
1位プレフツは2位ガングネスに15.5pの差をつけ圧勝。
3位フロイントはガングネスに15.2pと差をつけられたが、4位のクラフトには9p差をつけた。

ただ条件が安定してたかと言われればそうではなく、もっと貧乏クジを引いた選手も多々。
ハイベック、フェットナー、プレフツ3号機、ラニセク、クラニエッツ、ガイガー、ジオブロなどといった調子のいい選手達もなす術がなく、2本目に進めないという波乱も起きた。

その他でいいレベルになってきてると感じる選手はデコンブセボア、ラリント、フラ。
戦える実感を持ててきてるように思う。


各選手ともフライング世界選手権前のビッグラージは、いいリハーサルになったかな。




書き忘れた事を1つ、ヴィリンゲン大会の前にシュリーリが無期限の休養宣言。
驚きでもあり、非常に残念でならない。
本人談で、少し重いリュックを下ろしたくなったと。
調子も上がらず、相当悩んだ末に出した結論だと思うから尊重したいと思うが、天才と言われ、史上最多のWC勝利数を誇るオーストリアンイーグルがこの先しばらく見れないとなるとファンも寂しいだろうね。

何をやってもいい方向に転じない、スポーツにはこういった恐ろしさがついてまわる時もある。
まさかシュリーリがとは、本人はもとより誰もが想像しなかったことだろう。

今ものすごく良いパフォーマンスが出来てるヨーロッパではあり得ないくらい大人気のレジェンド紀明だってそんな時期はあった。

長く競技を続けてればこんなこともある。
そこを知らない理解できない人達は、「あいつはもう終わった」とか言うだろうけど、それはただの外野の論調。

当人や現場はまたトップを取り返す為に選択した1つの決断だということだ。

またまだ年齢的にも若いわけだし、たっぷり休んで、たっぷり充電して、また強くてしょうがないシュリーリが見れる事を楽しみに待とうではありませんか!











ヴィリンゲン/団体戦

2016-01-13 09:28:18 | スキージャンプ


世界で一番大きいラージヒル!

激闘の4ヒルズトーナメントを終え、休暇を取る間もなく中盤戦へ。

予選はテペシュが1位、2位がポッピンガー、3位フラとなかなか面白い選手達が並んだ。


予選免除組ではフライタークがトレーニングからビックジャンプを披露し、予選ラウンドではただ一人コーチリクエストでゲートダウンで好感触の模様。
プレフツはトレーニング、予選とも全てスキップして休養。
もう絶対的に自分のジャンプに自信を持っている表れ。
身体のコンディションさえ崩さなければ、調子を崩すなんて考えられないね。

ドイツ、ノルウェー勢も相変わらず好調。
団体戦はドイツかノルウェーか、はたまた4ヒルズチャンピオンのプレフツ率いるスロベニアか。
オーストリアはこの3チームには戦力的に多少見劣りしてしまっているが…

アウトドアで行われるスポーツ、とりわけこのスキージャンプは風の影響が大きく左右する。
その怖さが出た1本目、スロベニア、テペシュがさい先よく134mでオーストリア、チェコに続いて3位、好調なクラニエッツ、今回の調子だと130mは間違いなく期待できるところに悪条件でまさかの111m。グループ7位でポイントが大きく後退。
涙目になるよこりゃ( ; ; )
第3グループのプレフツ3号機、振り出しに戻すかのようなビッグフライトはグループトップの145.5m。
アンカーにはプレフツ1号機が控えてるから面白くなるぞと思いきや、なななんと、これまた悪条件で124mに失速で、グループ5位。
今回は優勝が現実的に近い調子とメンバー構成だっただけに、シュバルツバルトの風の女神には恨んでも恨み切れなかったろう…

途方にくれる1号機


こうなったおかけで、ドイツとノルウェーの一騎打ち状態。
両チームとも一進一退の攻防を繰り広げる。
ノルウェーにミスは無く良い展開、それを各グループで少しずつ上回るドイツ。
1本目終了してトップドイツに0.6p差のノルウェー。
水をあけられ3位がオーストリア。
続いてスロベニア、何としてもポディウムをゲットしたい。

2本目が始まって間もなくしてから、風の状態が騒がしくなってきた。
中断しながら進められたが、段々強くなり一定条件が望めない。

再開を待つ事10~15分、状況回復せずの判断で2本目キャンセル。

1本目の結果で試合成立となった。

ドイツは母国で嬉しい勝利。
ノルウェーは0.6p差と悔しい2位。
苦しいチーム状況での3位は持ってるか?!オーストリア
なんとも納得できないスロベニア。
このヴィリンゲンは日本チームは不参加(国内大会参戦の為)



キャンセル後、エレベーターでフォトタイムの選手達







第64回4ヒルズトーナメント(ジャンプ週間)

2016-01-11 14:41:40 | スキージャンプ


1953年から始まり、64回目の南ドイツ、オーストリアで繰り広げられる正月の風物詩!
とにかく熱狂的なジャンプフリークが多数集まる。
ここに出場し、いい成績を出すことがジャンパー達の夢でもある。

今季ゴールデンイーグルを手にするのは?!

予選の賞金は2,000ユーロ
総合優勝は20,000スイスフラン
賞金総額は約315,000スイスフラン

国別でいう総合優勝回数は
ドイツ16回(旧東ドイツ11回、旧西ドイツ2回、統合後3回)
オーストリア16回
フィンランド16回(アホネン5回)
ノルウェー10回
チェコ2回
ソビエト、スロベニア、日本、ポーランドが1回ずつとなっている。

最多総合優勝は
アホネンの5回、続いてバイスフロクの4回。
4戦全勝のグランドスラムはハンナヴァルトただ1人。


初戦はオーベルストドルフ(GER)
好スタートを決めるのは…
前評判ではプレフツ&フロイントの一騎打ちといった風向き。
比較的安定している風で1本目が進み上位は予想のつきずらい展開。
しかし、プレフツの内容が一番良く、他の選手がくらいつくには多少の好条件が必要か。
日本選手には不運にも厳しい条件が多かった。
2本目も風の状況は安定して進行していったが、トップ10に入ったあたりでこれまでずっと追い風だったのが一転して向かい風に。その恩恵受けられたのがフロイント、ハイベック、ガングネス、紀明。
しかし、その風も一時だけのもので、また追い風に。
風の優位さはゲートの変更では補えないくらいアドバンテージをもたらす。
あの状況下でジュリーは何故一時中断ではなく進行を急いだのか…?
時間的にも余裕があったし、イコールコンディションでいいゲームをするには適切な判断ではなかったように思う。
なんとも解せない判断だ。
ドイツに、フロイントによほど勝たせたかったのかと憶測されても仕方がない。
結果フロイントが逆転勝利を収める。
今のプレフツの力を持ってしても、勝つには余りにも条件が違い過ぎた。

プレフツは見事な大人の対応、「ジャンプには満足しているが結果には満足していない。ジュリーがゲートを変更した事については、それが彼らの仕事だから自分にはコントロールできない」と。
腹の中は想像つくよね。

これで自分が期待していた史上2人目のグランドスラムは早々になくなった…
フロイントに可能性があるがプレフツ相手にそこまでの調子ではないのを見極められたから。


1位フロイント
2位ハイベック
3位プレフツ

モータースポーツでいうスターティンググリッドが決定した感じになった。
ここらかプレフツがどう巻き返すか!


2戦目はガルミッシュパルテンキルヘン(GER)

150mまで飛べるとされてるジャンプ台

1戦目の憂さを晴らすプレフツの圧勝!

全てのラウンドを制しての完全勝利!

1位プレフツ
2位ガングネス
3位フロイント

この大会で大貴がようやくトップ10に、内容的にも充実してきてるので、今後も益々楽しみな状態に。
2本目に風当たりが良ければ、更に上の結果を残せただろう。
紀明は今回は風に恵まれていなかったが12位。
地元の選手、ヨーロッパの選手以上に声援を送られる紀明へのリスペクトぶりは、日本人として誇らしい限りだ。

この時点でオーストリアの8連覇には黄色信号が灯った。

ノルウェーもチーム力では強いが、個人タイトルでは遅れをとっている。

4HT総合はプレフツに遅れること、フロイントは8.6p飛距離にして4.8m。
3位のハイベックは21.1pで飛距離にして11.7m。
4位ガングネスは23.9p飛距離にして13.3m。

ドイツラウンドを終え、会場はオーストリアへ。


インスブルックのベイクィーゼルシャンツェは世界的なスター建築家ザハ・ハディド設計で、2001年に新しく完成した。
シュリーリの地元で、4ヒルズの中で最も飛距離の差がつかないジャンプ台。

KO方式の4ヒルズは対戦相手が決まる予選の結果も非常に重要となってくる。
予選でのトップはハイベック。
対戦相手は予選回避したプレフツ、初めて予選を飛ばなかった作戦はどういった結果をもたらすか…

今をときめくプレフツ3号機ことドメンが予選で1p差で2位、1号機の兄との直接対決というドリームカードを見たかった。

これまでもトレーニング、予選でも決して悪い出来ではない日本チームの択、翔平、憲斗、潤志郎、あとは本戦での結果が出れば上昇気流に乗れそうなんだが…

紀明vsシュリーリのカードもファンにはたまらないが、今のシュリーリは輝きを失ってしまってるのが残念。
もう一度憎らしいほど強いシュリーリが帰ってきてほしい。

トライアルラウンドではフロイントが転倒して心配されたが、大事はなさそうだったが、一歩間違えばといったシーンでもあった。それでも本戦には多少は影響はあっただろうけど…
そこは強靭な集中力で乗り切った。

ポディウムは
1位プレフツ
2位ガングネス
3位フロイント

この差のつきずらいジャンプ台で2位のガングネスに12.6pの差をつけてプレフツが又しても圧巻の勝利、全くつけ入る隙が無く際立っている。



だが、プレフツも多少ナーバスになってきているとコメント。
どの人も僕が上手くやり遂げることが出来ると言ってくれる。けれど最終戦まで、誰も何のタイトルも獲っていないのだから、まだ分からない。

フロイントはプレフツとの差を埋めるにはビショフスホーフェンでミラクルを起こさないとと。
自分自身はただベストを尽くすことだけ、
とのコメント。
ヘッドコーチのシュスターもセヴェリンは自分に誇りを持っていいと、チームは全員健康で良い成績を出しているから満足だと。
高いプレッシャーをかけられているにも関わらず皆んな自分のやるべき事をとてもよくこなしていて、このチームを自慢に思っている。

オーストリアのヘッドコーチのクッティンもプレフツの業績は誰もが賞賛すべきもの。彼は際立ったジャンプを見せている。それにフロイントも転倒の後でもすごく上手くやって素晴らしかった。それにフロイントは総合成績でまだ負けたわけじゃない。と

紀明の7位、大貴も8位と、いいパフォーマンスが出せた。



いよいよ勝負は最終決戦の舞台、ビショフスホーフェンへ

モルギーと子供のスタートゲートのツーショット


最終戦を前にしての差は、トップのプレフツに対し2位フロイント19.7p飛距離にして10.9m、3位ガングネスが41.9p飛距離にして23.3m、4位ハイベックが43.1p飛距離にして23.9m。
今のプレフツにとっては十分過ぎるほどのアドバンテージ。
3位争いが非常に面白いポイント差。
フロイントはミラクルを起こせるか…

昨年のここの予選でクラッシュし脊椎損傷の大怪我を負ったアメリカのニック・フェアオールがビショフに訪れ、記者会見を開いた。
「現在もリハビリ中、4ヶ月間の集中リハビリ後は自分の好きなこと、楽しいこともどんどんやっている。例えば水上スキー、スカイダイビング、アルペンスキー、車椅子ラグビー、ゴルフなど。
気持ちの立て直しが特に重要だった。その経験は怪我をした人にも、もしくは目標を見失った人にも役立つかもしれないので、本を書こうかと思っている。
6歳からやってるスキージャンプは今でも大好き。もう一度飛ぶ希望は今でも持っている。飛ぶ事が大好きだから、パイロットのライセンスにも挑戦している。
脚の感覚は戻ってきている」

多くのジャンプ界関係者や選手達が彼の為に寄付をし応援してくれているし、再び飛べる事を願ってます。


ここのジャンプ台はアプローチの斜度が緩く、滑りのバランス、r1の通過の仕方、テイクオフのタイミングを取るのが非常に難度が高く難しいという特徴を持った台。

予選はガングネスがトップ、チャンスがあれば勝てるポテンシャルがあることを証明できた。
波乱を起こせるか…

フロイントはオフィシャルトレーニング、予選はスキップ。インスブルックのトライアルラウンドでの転倒の後遺症の回復にあてる。
無理して参加することは試合に向けて無意味と判断。
ジャンプ台にはフロイントなら上手く順応できと確信しているとシュスター。

プレフツは勿論の事、他のドイツ勢やノルウェー勢も好調。
オーストリアは不振のシュリーリが欠場、代わって2014の4ヒルズの覇者ディートハルトを投入したが予選通過できず。

試合は穏やかな追い風の状況で、現在の力関係がハッキリ結果として出そうなコンディション。

やはりプレフツの力は抜きん出てた。
フロイントも意地で着地を決めきるところはシビれさせてくれ、オーストリアの威信と意地にかけてか、ハイベックのジャンプも気迫が感じられた。
9位の紀明、10位の大貴と、この後トップ10の常連になって行きそうな期待と予感が益々高まる。





そして第64回4ヒルズトーナメントの覇者はプレフツ!
スロベニアとしてはペテルカ以来2人目。
グランドスラムを達成できなかったのが不思議なくらい強かった。


プレフツはインタビューで「緊張した。それも、ものすごく。ここ3日間は緊張して眠れなかった。でも今は力が抜けとにかく嬉しいだけ。今夜もあんまり眠らずお祝いすることになると思う」と

フロイントは「今回はとても多くの事が上手くいって、4つの表彰台も挙げることができて、かなり楽しい4ヒルズトーナメントとなった。自分は色々正しくできたのだと思う。今回はとても多くの喜びを与えてくれたし、もしかしたら次に続く楽しみも与えてくれたのかもしれない」

ハイベック「すごく厳しい戦いの末の3位だった。上の塔にもテレビがあって、ガングネスがどれだけ飛んだかよく見てた。だから余計グリーンラインを越えられたのが嬉しかった。今季の4ヒルズトーナメントは僕にとってこの上なく嬉しいものとなった。プレフツは信じられないほど凄い」

ガングネス「今日はかなりがっかりしてしまった。1回目でミスをしてしまい、それで表彰台をふいにしてしまった。総合的に見たら素晴らしいものとなった。この4ヒルズトーナメントの素晴らしい記憶を忘れることはない」


トップ争いのバトルは面白かったが、その他にも沢山の見どころがあった。
プレフツ3号機のアグレッシブぶりやフランス勢の躍進。
チェコチームのレベルの向上、シュリーリの苦悩やポーランドの失墜などと

チームジャパンは比較的良かったと思うが、択がいい条件での形が一度も無かったのと、憲斗は夏よりもパフォーマンスが少々下降していて、厳しい条件では辛かった。翔平は条件ごとでのスキルアップが課題だろう。潤志郎は闘うという気迫をもっと前面に出して周りを食ってやるくらいの気持ちでやってほしい。


中盤戦からどんな図式になって行くか!
目が離せない。


おまけ