聞きたくなかった、信じたくなかった、引退表明。
本当に残念で寂しく思う。
しかし、理解もできる。
ここに至った最大の要因は、昨シーズンの地元はクルムのフライング(1月10日)での大クラッシュ。
身体的には大事にはいたらなかったが、ひどい事故だった。
ジャンプの世界では、この事を空中分解したというが、一番起こってほしくない事故だ。
なんせ次に飛ぶ時の恐怖感がハンパじゃない。
モルギーはこの時あまり覚えてないらしく、外傷が癒えればすぐに復帰できると周りも割と楽観視していたが・・・
ジャンプを飛ぶにあたっての恐怖心の払拭は相当深刻だったようだ。
段々とあの悪夢のような記憶が蘇ってきたのだろう。
そしてこれが中々克服できないやっかいな事なんです。
以前、岡部孝信選手がフライングで同様の大クラッシュをしたことがあったが、
本人から、あの時は前後の記憶が全く無かったということを聞いた。
不幸中の幸いである。
次に飛ぶ時は全く恐怖心もなく普通に何事もなかったように飛べたと。
自分も空中分解したことは何度か経験があるが、しっかり覚えていて恐怖感を克服するのにはやはり相当の時間がかかった。
技術に自信が持てなくなってしまうんです。
アプローチを滑り出してからフラッシュバックみたいことが起き、動作することが恐くなる。
いくら強い気持ちを持ってアタックしても、身体は拒絶反応を起こし立ちたいところへ身体を運べない。
頑張れば頑張るほど身体は意志とは裏腹に、逃げの体勢(防御反応)に入ってしまう。
解ってはいるけど身体が言うことを聞いてくれない。
大好きなジャンプを飛ぶことが大きなストレスになってしまうんです。
自分自身が情けなくるほどに・・・
こうしてスキーを置いた選手は何人もいます。
自分の場合は一度現役を退いたんで、復帰したときにはまたフレッシュな感じで再チャレンジできましたがね。
モルギーの場合、オリンピックまであまり時間は残されていない時期でした。
調子も良く、オリンピックではメダル候補間違いないシーズンの状況でしたし・・・
ヘッドコーチのポイントナーもモルギーの枠は空けておくと明言しましたね。
ましてやスキー王国オーストリアというオリンピックで活躍することは至上命令のようなもんですから、泣き言なんか言ってられなかったでしょうし。
何より本人が最後のオリンピックかもしれないということと、
プライドも許さなかったのではないのでしょうか。
飛んだことの勇気と根性はリスペクトに値するもんでしたね。
チーム戦では銀メダルに貢献することのできるパフォーマンスを見せてくれましたし。
その後はすっかりOFFに入りました、やはりリフレッシュは必要ですから。
新しいシーズンのスタートからフィジカルトレーニングもしていたし、つい何日か前にはジャンプを飛んでる姿をUPしてたので、今シーズンもモルギーのジャンプが観られるんだなぁ、と思っていた矢先の引退発表。克服しきれなかったんですね、そう簡単ではありません、仕方がありません。
あまり大きな要因ではないかもしれませんが、子供の存在も多少影響があると聞きました。
何か心にポカーンと穴が空いたような感じです。
記録も残してきてますが、記憶にもしっかり残るキャラのある名ジャンパーでした。
16歳のWCデビューがついこの間のようです。
BLOGを書きながら、どうやら自分は解説者でありながらも結構なモルギーファンだったんだと思わせられていますw
次のステップにジャンプしても応援し続けていこうと思います。
ありがとう!!
Thanks !!
Danke !!
トーマス・モルゲンシュテルン 27歳
WC通算23勝
WC総合優勝2回(07-08,10-11)
02-03 WCデビュー
WC初優勝リベレツ(CZE)
五輪 トリノ(LH金TEAM金)、バンクーバー(TEAM金)、ソチ(TEAM銀)
世界選手権 金7 銀2 銅1 (個人金1銀1銅1)
4ヒルズトーナメント総合優勝(10-11)
インタビュー英語版
↓
Interview Thomas Morgenstern English04:06