スキージャンプ&スポーツ竹内元康発言

スキージャンプ選手、全日本コーチ、解説者、トレーナーを経て・・・今だから語れること。

サービスマンからのニュース

2000-04-10 23:14:51 | スキージャンプ
標題のジャンプスキーの件ですが、
昨シーズン途中に各社NewStyleのジャンプスキーを
アスリートに提供しましたが、その件について
海外でも日本でも大変な話題となっていました。
今後、あのようなスキーが使用できるのか
否かについて、4月5日オーストリア・ザルツブルグにて
ジャンプスキー製造全メーカー(Atomic、Elan、Rossignol、Fischer)に
よるミーティング及びFISジャンピング委員会が開かれました。

会議の議題は、ジャンプスキーの表面の件(文字の大きさ、
コマーシャル、等など)、スキー幅の最大値、スキーの形状、
スキーのサイズに関するものでした。

FISの用具委員会は、会議においての提案事項について
まとめ作業を進め、そのまとめられた提案内容を
来週中には製造メーカーに発表される予定になっており、
FISの理事会はその提案を受け入れる事になるでしょう。

更に6月の初めに、オーストラリアにてFISの会議が
行われる事になっており、新しいルールや規則の変更は
その会議において正式に認証される事になっています。
そのため、現在、NewStyleのジャンプスキーの製造を
する状況ではない。との事です。これは、Fischerのみならず、
全製造メーカーに言える事だと考えられます。

ですから、今後NewStyleのジャンプスキーのテストを
予定されている関係各位の方々へは、スキーの供給に
ついては当面供給不可能という連絡をさせて頂きました。

付け加えますと、ソルトレーク五輪から適用される新しいルールに
ついても、現在分からない状況だそうです。

体重減少に関するお話

2000-04-10 01:53:48 | スキージャンプ
フライングジャンプにおける体重減少

「フライングを3日間やったら、神経も肉体ももうへとへとだね。試合の後のテレビ
の出演依頼を初めて断ったよ。そのくらいぐったりだったんだ」:スヴェン・ハンナ
ヴァルト

「3日間のフライングで君も死ねるよ」:ディータ・トーマ

なぜフライングでジャンパーはこれほど消耗するのか?

ジャンプ、とりわけフライングは、肉体よりもむしろ頭の方が問題になる。
アプローチでの屈膝姿勢、踏み切り、空中でのバランス、ランディングなど、ジャン
プの際のエネルギー消費は実はそれほど大きくない。
しかし、精神的負担(競争からくるストレス、集中力、神経過敏)が、肉体全体に影
響を及ぼす。フライングの場合はそれが顕著である。そして、精神的負担の影響が、
体重にもろに現れるのだ。
フライングの試合では、予選1本、本選で2本飛ぶとすると、選手の体重は1日約2
キロ減少する。

この体重減少の原因は何か?

フライングに限らず、ジャンプの試合前や試合中には、選手は神経の緊張を強いられ
る。
フライングでは、ナーバスになるだけでなく、不安感を抱く選手もかなりいる。常日
頃練習しているノーマルヒルやラージヒルの台であれば感触がつかめているのだが、
フライングではそのような一種の適応効果が得られないのだ。
フライングの試合が行われるのは年に2~3回。台が大きく、飛距離が伸びるのだか
ら、当然転倒の危険も増す。ジャンパーが元来持っているジャンプへの畏敬の念が、
フライングでは不安に変わってしまうのだ。

肉体に何が起こるのか?

肉体の反応としてまず生じるのは、アドレナリンの分泌である。アドレナリンは、ス
トレスのかかる状況で分泌されるホルモンである(アドレナリンだけがストレスホル
モンではないのだが、ここでは言及しない)。
アドレナリンの血中濃度は試合の数日前からすでに高くなっている。フライングへの
精神的適応がすでに始まっているからである。
アドレナリンの効果とは、
―心臓の鼓動が速く、強くなる
―血管収縮による血圧上昇。
―筋肉の動きが活発になる。例えば、貧乏ゆすりをしたり、うろうろ歩き回ったり。

肉体のこのような変化は、神経症状に他ならない。とくに筋肉の動きが増えると、体
内のエネルギー消費量も高くなる。貧乏ゆすりなどは大してエネルギーを使わないよ
うに見えるが、1日中これが続くと、小さな筋肉の動きもかなりの量になる。
アドレナリンの影響はこれだけではない。このホルモンは肉体でエネルギーを蓄積し
ている脂肪とグリコーゲンを分解する。筋肉の動きが増えることによるエネルギー消
費量の上昇を、これらの物質の分解によって補おうとするのだ。これによって、体重
減少が引き起こされる。ジャンパーの多くは元来体重が軽く、皮下脂肪も少ない。そ
こにエネルギー消費量の上昇が加わることによって、第三の蓄積エネルギー、すなわ
ちたんぱく質にも影響が及ぶことになる。たんぱく質の分解は、肉体の消耗をもたら
すのだ。

1998年のフライング世界選手権開催前の9月に、この問題に関するスポーツ医学分野
の研究が発表された。この共同研究に携わったガイガー博士は、このような見解を
持っている。
「私見では、この激しい体重減少は、不安による排尿・発汗量の上昇が原因になって
いると思います」

「通常の」ジャンプでも神経はいくらか敏感になるが、フライングほどではない。
ジャンプ週間における体重減少は1週間で3~4キロ、フライングでは1日に2キロ
である。
1シーズン厳しい日程で転戦しなければならないジャンパーの体重は常に低く保たれ
ている。
肥満度指数(BMI)が18.5から24というのが標準的な体重。マルティン・シュミッ
トは身長180センチ、体重63キロ、BMI19.4、スヴェン・ハンナヴァルトは184セン
チ、64キロ、18.9である(両方とも平均値)。

この研究では、試合数過多がジャンパーの体重を減少させ、肉体を蝕む危険性がある
ことを示唆している。先シーズンのシュミットとアホネンの総合優勝争いでは、シー
ズン中に十分な休息をとったシュミットに軍配が上がった。しかし、医学的に証明さ
れたこの事実にFISが目を留め、試合数を適切に減らすかどうかはまだ分からな
い。

スヴェン・ハンナヴァルト:「フライングは1シーズン2回で十分だと思うよ。ます
ます常識はずれの距離を要求されるようになってきたしね」。

関係者には誠意ある対処を求めたい。「量より質」を…。